行きがけのお気に入りの風景の画角に差し掛かり、

いつもの角度で写真を撮ろうとしたとき、

「おはよ！おはよう！」

と、足元から可愛い元気な声が聞こえてきた。

この駅に通勤して４か月、すれ違う人のことはほとんど覚えていないけれども、

この母子だけはしっかり認識している。

いつも元気で好奇心旺盛な年中さんくらいの男の子と、そのお母さん。

おそらく男の子の保育園か幼稚園まで連れて行っているのであろう二人は、

自分が駅を出る出口と反対側の出口まで、駅を通って歩いていく。

「おはよう。」

と、スマホをいったんポケットに入れて、しゃがんで返事をすると、

嬉しそうに笑って握手をしてくる男の子。

「今日も元気だねー。」と言って、抱えて高い高いをしてあげると、

大喜びでテンションが上がった様子。

お母さんが「すみません。」と笑って会釈をされる様子に、

「いえいえ、こちらこそ抱えちゃってすみません。」

と返す。

ほんの１分ほどのすれ違いざまのコミュニケーション。

男の子の名前もお母さんの名前もまだ知らない。

けれども確実にお互いに。

ただのすれ違う人ではなく、知り合いになっていて、

そんな小さな出会いに、今週も頑張ろうかと励まされる。

小さな出会いも、貴重な一期一会。

お母さんと男の子が素敵な月曜日になれますように。

太陽に向かってつぶやいて歩くと、

何だか自分も素敵な月曜日になるような気がしてきた。