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子どもの興味を形にするには。「気付けば大イベントのまちたんけん」(後)

「では、どのチームも、みんなで車には気を付けて、付いてくださるお母さんたちの言う事や、お店の人の言うこともしっかり聞いて、たんけんしてきましょう。」

赤白帽子に、肩かかけのたんけんバックを携えて、

2年生の子ども達は、たんけんチームごとに出発し始めた。

あっという間にたんけん当日。暑すぎもせず、雨も降らずの6月半ば。

引率のお母さんたちに連れ立って、それぞれのたんけん場所へ向かう。

僕の担当は、場所でなくメンバー構成で、元気な男の子がなぜか集まった、

歩いて3分の地元のスーパーマーケット。

2年生の子ども達の興味のベクトルは、

予想だにしない面白さがあるなと感じながらも、

普段おうちの人とも買い物に行っているだろうスーパーに、

メンバーのほとんどが男の子という状況に、

「じゃあ、スーパーマーケットチームは僕が行きます。」

と、引率の希望を伝えたのだった。

スーパーマーケットにつくと、事前に連絡をした時に対応してくださった、

店長さんが待っていて、案内もしてくださると言う事で、

みんなで入り口の前で「よろしくお願いします。」とあいさつをする。

元気いっぱいの声が駐車場に響くが、

その明るさに店長さんもにっこり笑ってくださり、

店内を順番に案内してくれた。

野菜のコーナーから始まって、鮮魚、肉、お惣菜、日用品。

それぞれのコーナーごとに足を止めて、品物ががいつ届くのか、

どんな工夫をして並べているのか、丁寧に話してくださった。

話を聞きながら、たんけんボードに一生懸命メモを取る子ども達、

普段は、外で元気いっぱい遊んで、ケンカしての男の子たちが、

店長さんの話に、うんうんと頷きながらメモを取っている様子は、

なるほど、興味のあることを学ぶ姿勢ってのはこんなにかっこいいのだな。

そう感じるに十分の真剣な表情だった。

店長さんには、事前に子ども達がする質問について、まとめて送ってある。

子ども達は、メモに真剣すぎて質問を忘れてしまいそうな勢いだったので、

「ここのコーナーで聞きたいことがある人いなかったっけ?」

と、後ろから声をかけると、メモを急いで済ませ、

自分たちで用意した質問を確認し合う。反応もとても素早い。

「野菜のところできく(質問する)のだれ?」

「おれおれ、おれが質問する。はい!質問いいですか。」

質問を確認するときの友達言葉が、

店長さんに話すときには「ですます口調」になっているのが可愛らしい。

質問も、なるほど面白いものがたくさんある。

「なんで毎日、おんなじ野菜が無くならないのですか。」

「魚はいつ獲れたものですか。」

「日によって値段が変わるのは何でですか。」

「今日のお勧めは何ですか。」

今日のおすすめを聞いてどうするのだ。と思わず笑ってしまったが、

子ども達からするとどの質問も真剣だった。

質問の中に「これだけたくさんのものが腐ったりしないんですか。」

という質問があったので、店長さんは、

お店のバックヤードまで案内してくださった。

いつものお買い物では入ることのない裏側の世界は、

まさに「たんけん」感MAXに子ども達は感じたようで、

裏にキレイに揃えられた、日用品やペットボトル飲料の在庫を見るだけで、

「すげー!なんか基地みたい!」

「もうこれは一生暮らしていける。」

と、テンションもぐんと上がってきた様子。

そんな子ども達の様子に店長さんも、嬉しそうで。

そのまま冷蔵室・冷凍室まで見せてくださった。

はじめて入る冷蔵室に、子ども達はもう大興奮で、

いよいよ感想も「すげー!寒い!」と、冷蔵室を出たり入ったり。

冷蔵室・冷凍室には、生もの冷凍食品がきちんと整理されていて、

「これならお店の品物が売り切れる心配はないな。」

と、子ども達は安心したような会話をしていた。

子ども達の、想像していた以上にたんけんできた【まちたんけん】は、

僕自身も予想していないほどに大きなイベントになって、

2年生の関心を満足させる活動となったのだった。

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