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激動の時代を印象付けるような出来事に感じました

1月3日の記念日【駆け落ちの日】

1938年(昭和13年)のこの日、女優の岡田嘉子と日本共産党員で新協劇団の演出家であった杉本良吉が、当時日本領土であった樺太の国境を越えてソ連へ亡命しました。ソ連に亡命して間もなく、二人はスパイ容疑で国家警察に逮捕され、岡田は禁錮10年・強制収用所送りとなり、杉本は国家反逆罪で銃殺されました。その後岡田はモスクワ放送局に入局。日本語放送のアナウンサーを務め、11歳下の日本人の同僚で、戦前の日活の人気俳優・滝口新太郎と結婚した。また、現地の演劇学校に通い、演劇者として舞台に再び立っていたとの事。

満州事変、国連脱退、そして日中戦争間近な1938年、歴史を紐解けば戦争前夜とも言える激動の時代に、お正月からすごい事件が起こっていたのだなと、この記念日を見つけて驚きました。

共産圏のソ連は、おそらく当時日本が敵対していたであろう国連加盟国、アメリカやイギリスとは、国家の思想が違う国である事や、杉本さんが共産党員であったことなどから見れば、妥当な亡命先の選択だったのだろうと思われます。しかしそこは暴走がどう進路を変えるかわからない当時の日本が、翌年日中戦争を始めてしまう事で、二人のソ連での立場は一気にスパイという見られ方になったのかもしれません。個人の犯罪と違い、スパイ容疑などは、国に嫌疑をかけられているわけですから、逃げようも言い分を聞いてもらいようもないわけで、駆け落ちした二人の人生が、まさに戦争の時代を表しているかのように感じました。

駆け落ちなどと聞くと、恋の熱が上がっている人達からすると、自分達の愛を貫くロマンチシズムの甘美な香りを感じるかもしれませんね。ただできれば、その後も見据えて、できれば周りに祝福されるような決断ができたらいいなと、そう思ったりもしました。

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