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真っ赤に染まった私の中国進出

2021年7月。
私は大きな覚悟を決めた。
それはそれはあのときの私にとっては大きな決断で、
そのときから16ヵ月。
私はずっと、ひたすらに真っ赤だった。

踏ん張ってみたけど、2022年11月。
1年間Tmall globalを自分で運営してみて、この先の黒字化を見込めなかったので、
中國市場撤退を決めました。

16ヵ月前は何もわからなかったけど、
16ヵ月分わかったことがあるので、
事業家としての私個人学びを残しておきます。

中国最大のECサイトTmall globalに「Haruulala海外旗舰店」をオープン。

事業家としての個人の学び〈心得編〉

①2回目は注意する
・おごらない
・資金はない(最小限のスタート)
・成功体験はまぐれだと思って捨てる
・違う国・事業であれば、0からだと思ってやる
(私にとって、台湾に続き、海外展開2か国目でした。おごっていたわけでも、楽観的にうまくいくと思っていたわけではないけれど、“頑張れば絶対なんとかなる”と、台湾事業の黒字化が私の自信になっていたのは事実。
今振り返ると、台湾事業の黒字化の要因=海外進出の成功の方法 と、経験の少ない私は、勘違いしてしまっていた気がします。成功の要因は、外部要因も考慮し、客観的に見る必要があります。)

②常になぜを問う・最小スタート
・最低限でスタートし、必要なものはそこから足していくスタイル
(台湾のときは何もなかったから、つけるKPI1つ1つがなぜ必要か考えてから生まれたものでした。
中國のときはその経験が邪魔をし、考える前にKPIシートができていた。
ほとんどのシートが、台湾からの横展開。
スタート時からかなりの数のシートがあり、深く考えずに、“こなす”という言葉がぴったりかもしれない状況になっていました。
必要だったら足していく。工夫していく。そのプロセスはとても大事なことに気づきました。)
➂自分の本音にフタをしない・徹底的に向き合う
・戦略は自分が100%いけると思ったものを
・自分がダメかもと思った事業はいい結果にはならない
・自分の感情には徹底的に向き合う
(気づいたら癖づいてた、自分を思い込ませる術。“まだ大丈夫だ、まだやれる、私はやる気満々”といい聞かせる一方で、“もうダメかもしれないな”という本音にフタをしながら進めることが常習化していました。スピードも落ち、判断も遅くなる。そのときにしっかり本音に向き合うことから逃げないのが大事。)

中国をスタートさせてから、髪を真っ赤に染め、色んな持ち物も赤にしました。

事業家としての個人の学び〈オシゴト編〉

①お金に対しての細かさ
・売上0の月は作らない
・収入・支出・PL・CFをしっかり把握する
(中國は特に支払い方法が指定されてることが多かったので、
①日本の口座②中國の口座➂Alipay④We chat pay➄携帯チャージ⑥REDBOOK⑦タオバオなど6つの口座を使用し、お金を管理する必要がありました。
また、施策の結果が出るのも、支出から2~3ヵ月後。施策の結果が出る前に、次の施策を打たないとスピードを持ってできないのも、コロナの状況もあっての中國の特徴でした。今自分の施策がどれくらい赤字を出しているのか、パッと答えられない時期もあり、金銭管理ができていたとは言えなかった。
また、打ち手が当たらない時期にやってくるのは、負け癖。
売り上げが立たないことに慣れ始めてしまい、金銭管理もまともにできていなかった私に、
事業家としてお金を細かく管理することの大切さと売りへの貪欲さの必要性のお手本を教えてくれたのは、いつも一緒にナポレオンをやっているアノサポのマサだったな。)

ボーダレスの同期と始めた月次会議(通称:ナポレオン軍団)

②ブレストの時間を確保する
・朝会の時間は大事
・必ずブレストの時間を取る
(タスクの効率重視&業務開始時間が全員違うので辞めた、全員揃っての朝会。台湾のときは毎日朝会で話していた時間は、ただのおしゃべり時間ではなく、意見をもらうためだけでもなく、相手に説明する時間こそが、私にとってはブレストになっていた。
考えを深め、打ち手の精度をあげる時間だった。
そこを省略すると、思考はどんどん浅くなる。)

➂創業期の人の雇い方
・フルタイムにしない
・2人は雇わない
・自分より能力のある人と働く
・初期に仕事の価値観・金銭感覚を合わせる(伝える)
(スピードを優先しすぎるがあまり、私は一気に2人を雇用。
結果、マネジメントに追われ、“明日頼む仕事を用意する”みたいな感覚に。
また、相手を尊重しすぎるがあまり、指摘もできずにいました。
ここは友達ではなく仕事の場なので、個性を尊重しつつも、働くメンバーには仕事観と金銭感覚は会社に合わせてもらう必要があります。
これは初期に行っておくと〇。)

事業としての学び〈中國でもらった観点〉

まだ無名の小さなブランドが、海外へ進出するとは。
中國市場を撤退し、Haruulalaとして新しい市場を探すにあたり、自分なりの解釈を持って、次の国を決めたいと思う観点にも出会いました。

①競合が多いとは
②広告費予算
➂国が広いとは
④現地人の感覚を社内に持つ体制
➄新しいシステムを理解する方法はあるのか

日本と台湾と比べても、中國はなんでも桁数が0が2つくらい違ったし、
市場が大きいという理由だけで国を選んでいたので、
“国土が広い・人口が多い”なりのマーケティングの難しさがあることも知りました。
また、2か国を経験して、
現地人の感覚を私が理解することが絶対に必要なこともわかりました。
今後、どういう体制で現地人の感覚を私の中に宿すかは、
髪を赤くしたり、中国料理を毎日食べるだけでは私は現地人になれないことも痛感したので、仕組みで解決したいと思います。

大阪で食べた本場の中國料理。中身から中国人になろうと、刀削麺を食べに。

失敗の中で見つけたよかったこと

①夢から覚めたこと
“China Dream”を夢みて、たくさんの企業があの真っ赤な国に挑戦する。
私もその挑戦者の一人で、
チャレンジするまでの私は、いつも中国市場での成功を夢みていた。

撤退を決めきれなかったのは、“中國に進出したらもっと売り上げがあがる”“バングラのみんなに仕事を増やせる”と考えていられる夢から覚めたくなかったからかもしれない。

でも撤退を決めたあと、
“中国市場”という選択肢をなくした上で、Haruulalaの今後の海外展開の未来を考えられるようになった。

夢からは冷めてしまったけれど、私はこのチャレンジをしたからこそ、
本当の意味で、また一歩夢に近づけたんだと思う。

神様の力も借りようと、熊本に滝行にも行きました。


②週次シートを毎日つけていたこと
「うまくいったことあるんですか?」
と聞かれたら、私は自信を持って、YESとは言えない。
中国進出は、私にとってそれくらいなにもかもうまくいかないチャレンジだった。

でも、その失敗は、すべて私の知識となった。
そう言い切れるのは、毎週週次シートをつけていたから。
ダメだった理由も全部わかるし、私は心から納得して撤退を決められた。
(ボーダレス流からもらった週次シートの内容)
・今週の動き(打ち手の進捗と数値結果)
・事業の学び
・経営課題
・今後の打ち手
・個人の感想
“失敗の数ほど人は成長できる”というと勘違いしてしまうけれど、
失敗の数ではなく、きっと“失敗から学んだ量・質”が、その失敗が次に活きるか活きるかを左右するんだと思う。

➂私はとてもとてもとてもちっぽけだったこと
Haruulalaは中國市場で全く通用しなかった。
このことに気づけて、私は個人としてもだけど、ブランドとして会社としても、とてもよかったと思う。

溢れるほどモノがあるあの真っ赤な国で活きているお客さんには、
商品力も、
デザイン力も、
品質も、
マーケティング力も、
会社の規模も、
他のブランドと比べて、秀でることができなかった。
選んでもらうことができなかった。
心を動かすことができなかった。

これでは社会は変えられないと思うと同時に、
今まで自信しかなかった商品力が通用しないのでショックを受けると同時に、
自分たちには伸びしろがどれだけあるんだと、ワクワクする自分もいた。

喜んでくれたお客さんはもちろん0ではなかったです。REDBOOKの投稿より。

次の国へ

台湾・中國の進出を経て、
今はHaruulalaの第4ヶ国目の準備をしています。

もうテーマはカラーは決めました。
私の髪の色がその色に染まるとき、私はきっと中國の失敗を糧にして、やっと前に進めるんだと思います。

最近は、バングラのマネジメントメンバーのみんなも、展開の進捗を気にしてくれたり、海外進出のアドバイスをくれるようになりました。

みんなに少しでもいい報告ができるように、
チャレンジのサイクルを早め、前に進んでいきたいと思います。

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