子育て応援フードパントリーを開催して

先週の土曜日、寝屋川市民たすけあいの会で子育て応援企画「子育て応援フードパントリー」を開催させていただいた。この企画は、実はSNS上でつながらせていただいている八幡浜市社協さんが開催された企画をいただいて、企画立案をさせていただいた。チラシの原案も快く使わせていただいたことに本当に感謝します。ありがとうございます。
 寝屋川コミュニティフリッジは、その登録の対象を「ひとり親家庭とそのこどもさん」、「生活困窮者世帯」としていて、今回のフードパントリーは、対象を子育て世帯一般にさせていただき、かつ、事務局が袋詰めしたものをお渡しする形での開催にさせていただいた。
 はじめての試みで、反省もある。特に、人数読みが難しく、かつ、やはり15%くらいの方が申し込みいただいたにもかかわらず、お越しいただけなかった。予約枠がいっぱいになってしまって、断った方もおられただけに、人数の調整の難しさなど痛感する。しかし、その反省をした上でも、普段私たちが行っている活動で出会う方とは違った方へのアプローチを行ったことで、いろいろなことが見えてきた貴重な機会だった。

 寝屋川コミュニティフリッジをはじめて、1年9か月が経過している。内部では、現在が第4期でもうすぐ見直しの第5期にさしかかるという整理をしている。私たちはそもそもなぜ「コミュニティフリッジ」にとり組み始めたのか?を振り返ってみる、と改めて、いま 今回の「子育て応援フードパントリー」のようなイベントを開催することの意味もみえてくると思う。
 そこには「フードバンク(ここでは、フードパントリー・コミュニティフリッジ含む)」に付与された強い社会的なラベリングから、必要な方へ届けられない情報と活用の壁を感じていることが1つある。岡山型のコミュニティフリッジを立ち上げた北長瀬コミュニティフリッジのホームページには、「食品をうけとることへの抵抗感が感じられなかった」と立ちあげやその後の活動開始からの取り組みで述べられている。
 では、寝屋川ではどうか?
 寝屋川は貧困率の高い街である。そして、子どもの相対的貧困率も高い。
 そういった数字よりも、私たちが肌で感じている貧困感覚の「ねじれ」があり、そのことがこの話にもつながっている。「支援をうけるのはあたりまえ」の感覚をもっている人たちと、そうではなく「人の世話にはなりたくない」という人たちが、いわゆる社会の一般の常識的な視点とは一致せず、複雑に絡み合っている。そこにさらに「支援をする側」がもっとも勘違いをしている「支援を求めても支援へのアプローチ、支援に実際に結びつくことの難しさ」が厳然とそこに横たわっている。
 いろいろな取り組みの仕方を複合的に重層的にしていかないと、いまの世の中の複雑には対応できないとつくづくおもう。そんな問題意識もあって、今回、こういったアプローチ(子育て世帯一般)のイベントを企画させていただいた。
 当日、来ていただいた数十世帯の方。親子づれ、お父さんだけ、お母さんだけ、友だち家族と連れだって、などなど。お子さんの年齢層もバラバラで、こちらのねらいどおりのイベントになったと思う。

 長年、地域でソーシャルワーカーの活動をしていると、さまざまな人、さまざまなことに出会う。もう一人のスタッフと当日の対応をさせていただいていて、2人ともが一致して、来られたうちの15%くらいが「いわゆる狭い意味の「福祉」対象になるだろう人たち」だろうという感覚をもった。
その中から、寝屋川コミュニティフリッジへつながる方もおられるだろう。それだけが目的ではないにしろ、それも1つの目的でもあった。
 一方で、「次はいつですか?」というお声も多くいただいた。フードパントリーとして行うかどうかは別にして今後の展開はもちろんかんがえてはいるが、これほどたくさん方にリアクションいただくということは、
【どういうことなのか?】、
(ほんとうは)行政や首長、議員の人にも考えてほしいと思う。

 その流れで1つ感じたことがあった。今回、申し込みフォームに「同居されている18歳以下のこどもさんは何人ですか?」という設問をつけさせてもらった。そうすると、ある方から「実際、こどもが何人いるのか、の確認の書類がいりますか?それか、なにかで確認されるのですか?」と尋ねられた。私たちは「きょとん」とした。
 なんでも、証明書、を示すことを要求する世の中。私たちは、性善説にたって、さらっ、と、「自己申告です」と答える。が、どうもそうはならないらしい。まして、無料で食べ物がもらえるときに、訝しくなるのだろうか。 
 なんだか、行政や公的機関と近しくするのが恥ずかしくなってしまう。。。

 実は、数日前、寝屋川コミュニティフリッジに、インターネットを通じてお菓子の寄付があった(寝屋川コミュニティフリッジにはインターネットから食品を寄贈できる仕組みがある)。その寄付の主は、寝屋川市のある小学校の生徒さんだった。
そのメッセージには
「本を読んでフードバンクをしり、調べているうちに寝屋川コミュニティフリッジにたどりつきました。自分のお小遣いから寄付しました」
とあった。
 今回の子育て応援フードパントリーに、実は、ひと家庭だけこどもさんがお一人で取りに来られたご家庭があった。小学生くらいのこどもさんだった。そして、偶然にもその住所は数日前にお菓子の寄付をいただいた生徒さんと同じ校区にだった。もちろん、その子がなぜ、ひとりで子育て応援フードパントリーに食品をとりにきたのかはわからない。いろいろ推測は可能だろう。
 ただ、ソーシャルワーカー的な視点でみると、この地域の中の「分断」はすでに深いところで進み、ねじれを起こしているように見える。想像力を働かせてみてほしい。。。


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