寝屋川コミュニティフリッジ一周年

もうすぐ寝屋川市民たすけあいの会が開設運営している「寝屋川コミュニティフリッジ」が一年を迎えます。

コミュニティフリッジ 「地域の公共冷蔵庫」

寝屋川コミュニティフリッジをご紹介いただいた井出留美さんによると

2015年8月13日、米国国営ラジオのNPRで、スペインに「連帯冷蔵庫」が登場したことが紹介された。
これは、余っている食品を引き取り、必要とする人に渡す「フードバンク」のような役割を果たす、いわば公共の「シェアバンク」のようなもの。

北長瀬コミュニティフリッジの設立時の資料によるとドイツで2010年代初頭にはコミュニティフリッジができていたそうであり、草の根的に「地域のたすけあい」として、また、近年はフードロスの視点で公的な取り組みとしても世界中に広がっている。

日本では?

どこが日本で一番はじめか?などとは不毛な議論な気がするが、それでも2019年、2020年に、東京や横浜、そして、岡山でその取り組みはスタートしている。もちろん、「コミュニティ・フリッジ」とは言わず、冷蔵庫を設置して、食品をシェアする地域の取り組みを行っているところもある。
寝屋川市民たすけあいの会は岡山の北長瀬コミュニティフリッジの主催する「コミュニティフリッジ(・がない)」のネットワークに加わり、そのシステムを初めて移築し誕生した。

岡山と寝屋川の違い 社会実証実験として

 当初より、対象人口規模が大きく、ショッピングセンターの一角にあり、主催団体の性格も、そして、バックボーンとしてのひとり親家庭のグループと協働して設立した岡山と対象地域を限定し人口規模を小さくし、団体の一部を改装して岡山の1/3くらいの面積で、ポンと立ち上げた寝屋川とは全く違う結果がでるだろうと思っていた。
寝屋川の後にできた、山口県防府市、福島、佐賀、泉北なども、同じ「コミュニティフリッジ」といってもその実態は違うだろう。
その違いをよりクリアにするために、私たちはできるかぎり、北長瀬コミュニティフリッジのシステムに似せて仕組み(システム)の移築を進めた。

コミュニティフリッジの多側面

コミュニティフリッジは実はさまざまな側面をもった取り組みである。それは、私たちが打ち出した「フードロス解消」✖️「生活困窮者支援・こどもの貧困支援」という一言では実は済ますことができない。
ただ、寝屋川コミュニティフリッジでは立ち上げのときからこのふた側面が特に議論になった。
簡単にいえば、
たくさんの方に提供することによって、フードロスを推進することは、今日食べるものがない方がとりに来たときに、冷蔵庫や棚がガラガラであることが起こりうる。ということ。
福祉の課題としても繰り返し言われることであるが、
ではどのように「線引き」をするのか?
どのように、提供希望者を登録していただくのか?
立ち上げのときに、希望者グループの母体を持たなかった寝屋川コミュニティフリッジは、当初からこの課題を突きつけられることになりました。
結果として、他のコミュニティフリッジのように、寄贈と提供をスタートからオープンにはせず食品の寄贈が軌道にのってから、提供は拡げいくことにし、当初は関係機関からの生活支援のニーズのある人たちへの食品日用品の提供からスタートしました。

食品が足りない!

実は、それでも都度都度で食品が足りない状況が起こりました。一年間、どうしたら食品の提供が増えていくのか?をずっと考え続けてきました。
 企業からの大口とかフードバンク大阪さんにお願いして、といったアクションも起こしてはきましたが、いまのところうまくいっていません。それよりも、もともとのネットワークや地域の方への呼びかけによって定期的な寄付が少しずつ位置付いてきました。
 この秋からは、社会福祉法人みつわ会と医療法人三家クリニック、株式会社トイトイトイのご協力で、招集していただける拠点が三ヶ所増えました。
 綱渡り状態ながらなんとか確保できているのは、残念ながら、提供希望者を絞っていることと、この二年、クラウドファンディングでいただいた寄付による食品の購入によるものです。

食品は足りないのにミスマッチ

 需要と供給のバランスをとることが必要な取り組みは、総じてそのミスマッチに悩むことになります。寝屋川コミュニティフリッジは、食品が足りないのにミスマッチが起こっています。
 希望される食品はなく、持って帰っていただけない食品がでてきています。大量に同じものをいただいたときは、あらかじめ「プッシュ型」で連携している団体とのやりとりで引き取ってもらうというやり方も開発しました。
 それでも、悩みはつきません。

提供希望者を増やしていきます

 9月から提供希望者を一定の要件(岡山と同じ)をつけながらオープンにしました。今後、条件付きながら、どんどん登録していただけるように発信、システムを強化していきます。
 と、同時に、持ち帰る人が増えれば、ものはなくなっていきますから、これまでのようなアクションは続けつつ、資金のお願いを継続的に行っていくことにしました。

ぜひ、ご支援をお願いします。



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