これからは「ニーズ先行型」ではなく「インサイト先行型」でデザインされたプロダクトが人々の価値になる。

この記事の目的

「これからの時代に勝っていけるプロダクトのデザインプロセスって、どういうものだろう?」という問いについて、探りたいです。

その問いについて考察して、立てた仮説について、まとめてみます。

(なお、私がコーヒーブランドのプロダクトデザインに関連して考えていることなので、考察がリアルプロダクト寄りになっている部分が多々ありそうです。ご了承下さいませ。。mm)

この記事の3つのポイント

・「ニーズ先行型」「インサイト先行型」でデザインされたプロダクトってどんなの?

・これからは、「インサイト先行型」でデザインされたプロダクトが勝っていく

・じゃあ、どうすればインサイト先行型のデザインで勝てる(売れるプロダクトをつくれる)のか?

何かをつくりだすときには、2種類の出発点がある

ひとつめは、「ニーズから生まれるもの」

例えば、家電をつくろうとしているとき。

ユーザーヒアリングをしたら、消費者の求めているものが見えてきた。

「もっと軽いもの」「もっと小さいもの」「もっと強力なもの」「◯◯機能がついたもの」

じゃあ、この要望に合わせたものをつくろう。

...という商品開発のデザインのプロセスのことを、「ニーズ先行型」と呼びます。(私が勝手に名前をつけただけですが。。)

そしてふたつめは、「インサイトから生まれるもの」

誰も「ほしい」とは言ってないんだけど、つくり手自身がほしいものを具現化した。

偶然にもそれが、たくさんの消費者に「ほしい」と思われる。

このように、ニーズから出発していない着想のものづくりのデザインプロセスを「インサイト先行型」と呼びます。(と名付けてみました。)

これは、「プロダクトアウトかマーケットインか」という議論とは少し性質が違います。

そういう意味で、"先行型"という名前をつけました。

ビジネスにおいて、そのふたつは常にグラデーションだと私は考えています。

ニーズは過去から導き出された結果論

インサイトはニーズからは生まれてこない。

私はニーズは、「過去から生まれた結果論」だと考えています。

なぜなら、ニーズとは「消費者が顕在している意識として『ほしい』とすでに思われていること」だからです。

それは誰かがつくりだした「既知」の価値であるということです。

そのニーズに当てはめていこうとすれば、その「既知」をつくりだした人たちとパイを奪い合うことになります。「ニーズがある」時点でレッドオーシャンということです。

さらに難しいことは、その"過去の結果論"が今も同じ状態だ、なんてことは特に今の時代ほぼないんじゃないかと思っています。

市場のグラデーション化のスピードが速くなっている

ニーズが流れていくスピードはどんどん早くなっています。

だから、ニーズを追うことは、逆にリスクになる時代になってきていると感じます。

市場も多様化して、重なりあって、誰も正解なんて言えなくなっているのが現状なのではないでしょうか。

例えばインターネットが、市場の重なり合いを急速に進めて、境界線をなくすスピード=市場のグラデーション化のスピードを急速に速くしています。

リサイクルショップの最大の競合は隣町のリサイクルショップじゃなくてメルカリであり、レンタルビデオショップの最大の競合は大手系列のレンタルビデオショップではなく、NetflixやAmazon Primeになってきています。

さらに速いスピードで"過去の結果論"が通用しなくなりつつあるこれからの時代、売れるプロダクトのデザインプロセスの均衡は、どんどんと「インサイト先行型」に傾いていく、というのが私の仮説です。

ニーズ先行型のブランド

経営の規模の大きい企業は、「ニーズ先行型」に当てはまりやすい傾向があると考えています。(例えば、家電領域など。)

大体のマスプロダクトは、こちらに当てはまるんじゃないかと思ってます。

例えば経営の規模が大きな会社では、"必ず"マスに売れる=たくさん売れる必要があります。ニッチに小さくても売れるプロダクト開発をしよう!という経営判断をすることはなかなかありません。

市場のグラデーション化のスピードが遅かったこれまでは、広く「ニーズ」として、すでに顕在化しているお客さんの「ほしい」に対してプロダクトをつくることが、安定して確度が高くたくさん売れるものをつくるためのアプローチとなっていたと思います。

インサイト先行型のブランド

私が尊敬していて、素敵だなぁと感じてる企業は、私の呼ぶ「インサイト先行型」でデザインしている事例が多いことに気付きました。

BrewDog、BALMUDA、Patagonia、SONY、Apple、GoPro ...など。

個人的にとても気になっているONFAddも、かなり振り切ったインサイト先行型に当てはまるのではないかと感じます。その上で十分に、マーケティングも練られている。めちゃくちゃカッコいい。

スタートアップは「インサイト先行型」で勝つしかない。

上記の大企業が行うアプローチを考えてみても、スタートアップが勝っていくには、「ニッチに突き刺して、実はそれが大きな市場だった(市場をつくりだした)」というアプローチを常に目指していかないといけないと考えています。

「ニーズ」として顕在化している領域に飛び込んでいる時点で、レッドオーシャンで戦うことが決まってしまっている、ということを意味しているからです。

これでは、経験値も浅く資金力でも負けているスタートアップでは勝てない。

スタートアップは「インサイト先行型」でプロダクトをつくっていけないと、勝つことはできないのではないでしょうか。

じゃあ、どうすればインサイト先行型のビジネスで勝てる(売れる商品をつくれる)のか?

考えた結果、以下の3つの経験値を積み上げ、プロダクトデザインの精度をひたすら高めていくことが、インサイト先行型で売れる商品をつくれるようになる方法という仮説にたどり着きました。

1. インサイトを『発見』する力

自分の感情 (喜び、楽しさ、悲しさ、怒り、etc.) から、その感情の本質、核の大事な何かを拾い上げる力。そのインサイトが、自分が気持ちいいと感じる何かである、ということです。

そして、ある程度の市場規模が(実は)存在するインサイトを見つけることができる確度も、ビジネスとして成り立つプロダクト開発をするには大事になってきます。

「これ、他の人も絶対気持ちいいと思うじゃん!」みたいに感じるインサイトを確度高く拾い上げることができる力。

ex. GoProのニック・ウッドマンは、創業者がサーフトリップに行った時、自分が波に乗っている時の様子を手軽に撮影できないことに気づき、もっと簡単に撮影できるようにするため、サーフィンしている本人が身につけられるカメラをつくった

ex. Patagoniaのイヴォン・シュイナードは、ヨセミテのビックウォールを登攀するために「ロスト・アロー」と名付けた自分たちのためのピトンづくりを始めた

2. インサイトを緻密に『具現化』する力

そのインサイトを緻密に具現化する力。

自分が気持ち良いと思った体験自体を"えぐりとって"、そのプロダクトを使った人が自分と同じ気持ちよさを感じれるように、プロダクト(サービス)として具現化する力。

このとき、余計な機能が入ってはダメで、よりシンプルに、よりピュアにそのインサイト(=『発見』)を、『具現化』する必要があります。

ex. GoProは「スポーツなど臨場感あるシーンを体験として記録する」ためだけのデバイスをデザインした。それは「小さくいビデオカメラ」というカテゴリに入るものではなかった。

ex. BALMUDAはインサイトを忠実に具現化するために、凄まじい数のプロトタイピングと改良を重ねている。Green Fanなど(羽根のプロトタイピングのストーリーは凄まじい。。)

3. 価値を『伝搬』する力

最後は、商品自体のモノをつくるところとは離れて「売る」部分です。

「売る」=「価値を伝搬する」ことだと考えていて、これなしに「つくる」部分だけでは「売れる商品をつくる方法」とは言えないと考えています。

商品は「お金」という翻訳ツールを使って価値の交換が行われて初めてその商品が"価値がある"と実際的に証明されるからです。

常にこの『伝搬』は何かをつくりはじめる段階から、セットで考えておきたいプロセスです。そして大抵は、『具現化』と並行して行われます。

チャネルを決める、こういうマーケティング施策を打つ、などなどなど。

そしてこの『伝搬』では、1番コスト(時間・お金など)に対するパフォーマンスの高い施策を少なく絞り込んで、その施策の仮説検証を素早く、緻密に繰り返すことが重要です。

ex. Redbullは、エクストリームスポーツへのサポートや、パワフルな印象を与えるイベントなど、よりRedbullの体験そのものに近い印象を与えるマーケティング施策を実施している

ex. Patagoniaはカタログに大きな力を入れていて、環境への危機意識からピトンの製造を辞めてチョックのみの製造に切り替えたときも、カタログに14ページものプロクライマーの「クリーンクライミング」に関するインタビューを載せて一気にチョックの販売数を伸ばした

...

以上の力を鍛えて、洗練させていくことで「本当に人がほしいと感じる」プロダクトをつくれるようになるのではないかと考えています。

現在私たちが取り組んでいるプロダクトデザインは、この『発見』『具現化』『伝搬』の3つのレイヤーに従って、デザインプロセスを仮説として組み立て、細かく修正をしながらデザインを進めています。

私たちの大切にしたいことを本当に大切に出来る、素敵なものをつくりたいなぁ。。。

これだけ仮説を文章としてアウトプットしてる分、実践も必死にがんばります(がんばってます)。

さいごに

みなさんは、どう考えますか?

「インサイト先行型」と「ニーズ先行型」。

これからの時代に勝っていけるプロダクトのデザインプロセスって、どういうものでしょうか?

...

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Instagramでは、心の奥底から生まれた感情をその本質だけを見事に捉えたデザインとしてピュアに具現化されたような、そんな素敵なものたちを集めていきたいなと思ってます。

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とつ ゆうた

ながく、時代を超えるなにかをのこすこと

4つのマガジンに含まれています

コメント3件

初めてコメントさせて頂きます!コーヒーがめちゃめちゃ好きで前々からnoteなりTwitterなり拝見させて頂いておりました!このnoteはとても共感です。ニーズの多様化と変化のスピードはインターネットにより凄いスピードで促進されているので、インサイトが必要ですね。それと3の伝搬は情報が溢れている中でいかにメッセージを届け、ファンにしていけるか、が重要だと感じます。
コメントありがとうございます!!(すみません確認しておらず今気付きました😹)
コーヒー好きの方にコメントいただけたのめっちゃ嬉しいです。。。笑

>ニーズの多様化と変化のスピードはインターネットにより凄いスピードで促進されているので、インサイトが必要

そうですよね...!!!人が「ほしいと"言っている"価値」と、「ほしいと"感じる"価値」は大きく違っていて、これからのブランドやプロダクトはここがさらに重要なポイントになるんじゃないかなと感じてます。未知の既知化を起こしてくれるようなブランドが、長く強く大きく売れていきそうだなと考えています。

>伝搬は情報が溢れている中でいかにメッセージを届け、ファンにしていけるか、が重要

そのとおりですね。。。波紋の内側の深度ほど、より重要になってくると感じてます。波紋の内側にファンがたくさんいる="熱狂"状態みたいなものをつくりあげているブランドって、すごく強いですよね。そして、メッセージを届けるって、めちゃ難しいですよね。。。ここが上手い方々、とても憧れます。。。
とんでもないです!お返事もらえて本当に嬉しいです!
コーヒーは大好きで毎日飲んでいます!笑
個人的に好きなのはベトナムのダラットの豆でとったコーヒーです。笑

本当にそうなんですよね。そうゆう意味ではサイエンスとは違うところでインサイトを摘み取っていかなければいけない時代かもしれません。つまりKPIや数値だけで表現できていない感情を摘み取ってあげて、そこに向けて訴求する。凄く定性的でありつつも、そうした”人間に寄り添ったプロダクト”が生き残っていくと思います。

波紋の内側の深度、凄く面白い表現ですね!でもまさに仰る通りだと思います。
強い熱狂ファンがいるブランドは根強いリピーターが推奨者になってくれるので、実質広告を打たなくても親和性の高い潜在層に届くようになります。
プロダクトはやはり制作から販売までが、価値伝達のプロセスなので、「伝える」ことも製作者側が責任を持ってやらなければいけませんね‥!;
情報で溢れている時代なだけに本当に難しいですが、逆に攻略したくなる時代でもあります。笑
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