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平成東京大学物語 第14話 〜35歳無職元東大生、受験前日の深夜に自分自身を慰めていたことを語る〜

 今にして思えば、その渋谷のホテルの部屋こそがぼくが初めて勝ち得たぼくだけの秘密の部屋だった。実家にも子供部屋はあったがそれは隣の妹の部屋とふすみ1枚で隔てられただけのもので、プライバシーなどあったものではなかった。他人の目がまったく届かない密室で18歳の高校生たちがやることといったら、性的な結合か、自慰しかない。ぼくは、その夜、自分に言い訳ができる程度に断続的に参考書を見直しながら、合計3度、下半身に手をのばした。ちょうど買い替えたばかりの携帯電話の画面はフルカラーになっていた。現代のスマートホン時代に比べたら実にささやかなものではあったが、見つけようと思えばいくらでもいやらしい画像を見つけることができた。当時は顔胸というジャンルの画像が隆盛を極めていた。素人女性が生まれたままの姿で顔と胸を晒した画像である。ぼくは丁寧に時間をかけてぼくの心を震わせてくれる女の子を探しだしては、刺激に敏感になったぼく自身をときに優しく、ときに激しく愛撫し続けた。ぼくが最後に果てたとき、部屋の壁にかけられたスタイリッシュなデザインの時計は、午前三時を回っていた。

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