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【投資の心得】この記事を読まれる方へのご案内

はじめまして、山崎和邦と申します。
私は今、メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で、「投機の流儀」というレポートを毎週、配信しています。
おかげ様でご好評をいただき、かの堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りという栄誉をいただきました。

より多くの方にしっかり稼いでいただきたいと思い、今回noteに「投機の流儀」を掲載させていただく運びとなりました。
はじめての方も多いと思いますので、僭越ながらまずはご挨拶として、自己紹介をさせていただきたいと思います。
投資に興味をお持ちの方、資産を増やしたい方、どうかお付き合いください。

アナリスト、ストラテジストと筆者との違い

私が金融市場に足を踏み入れてから、かれこれ半世紀にもなります。
人生の前場は野村証券の営業マンとして「セルサイド」の道を歩みました。
左翼学生から転向し、激動するカネの流れを体験すべく野村證券に入社することで、生きたカネが激流の渦の中で回る様を厭になるほど見てきました。
故あって中途退社し、人生の後場を「バイサイド」の立場をとり、三井系企業の常務取締役の職に就きながら、金融資産の増殖に努めました。
退任後は、大学院の教授として金融論を講ずる「研究者」として過ごしています。

故に筆者は、「セルサイド」「バイサイド」「研究者」という三つの立場を生きたことになります。
この「三つの立場」から見えてくるものこそが、行為せずに解説するだけのアナリストやストラテジストという稼業と筆者との違いです。

今回、noteに寄稿するにあたり、何冊も一緒に本をつくってきた編集者が、あらためて私にインタビュー取材をしてくれました。
「投機の流儀」には、投資で資産を増築するためのエッセンス詰まっています。
ぜひご活用いただき、市場というジャングルで成果を挙げていただきたいと思います。

【インタビュー】歴史や格言に学んだ「哲人投資家」としての矜持

山崎さんは投資歴半世紀。57年にもわたって投資を続け、6億円の運用益をあげた投資家です。「歴史に学ぶ」がモットーで、人は彼を「哲人投資家」と呼びます。
下落局面で割安銘柄を買う手法を極め、デリバティブはほどんどやらず、現物株を主体とした取引をしています。
インタビュー中、山崎さんはいくつもの格言を織り交ぜて話をしてくれました。
自身の経験をもって語る投資法や流儀、心構えには、抜群の説得力があります。
半世紀にわたる投資歴から導き出した常勝哲学。ぜひとも、ご覧ください。(取材:武田淳平)

半世紀にわたって利益をあげ続けた「常勝」哲学

――今、運用額はどのくらいになりましたか?
山崎 投資信託と株を合わせて、時価会計で6億くらいかな。
――ずいぶん増えましたね!
山崎 僕は、時価総額が300兆円くらいのときから「時価総額の100万分の1で運用すべき」と言っています。それに比べたら、今は少し負けているかな。
――東証1部の時価総額はおよそ647兆円ですね。
山崎 新しい銘柄が上場していくと、時価総額が増える。その分、負けている状態かな。自由市場の世界に生きているんだから、時価総額の100万分の1くらい取れてなきゃ負けだと思うんだよね。
――投資歴は何年になりましたか?
山崎 1961年からだから、57年だね。僕はもともと野村証券で働いていたから、お客さんのおかげで失敗も成功も勉強させてもらったよ。特に失敗から学ぶことが多かった。後半は自分のお金でやりはじめて、さらに学ぶことが増えた。一生、野村証券にいたら、きっとうまくいかなかったと思う。証券会社にいると、短期売買の癖ができちゃうんだ。
――山崎さんは、割安株を買うのがモットーですよね。
山崎 保有株の半分くらいは日本株だけど、今は現金が多くなっているよ。この37年間で、日経平均が2~3倍になる局面が6回あった。2倍を6回繰り返すと64倍になる。2倍になったら売る。これを6回繰り返すだけ。1000万円の投資額だったら、6億4000万になる。そういう理屈で大底圏内で買って、大天井圏内で売るんだ。これは、誰でもできる投資だ。
――今はどんな投資をされているんですか?
山崎 今は、次の大底圏内のチャンスを待っているから現金が多いんだけど、ジャンク債といった特殊な債権をいくつか持っている。
――格付けが投資不適格の債権のことですね。
山崎 そう。年金や投資信託を運用する機関投資家のファンドマネージャーは、投資不適格の債権を持ちたがらない。万が一のことがあった場合、責任問題になるからね。だから、機関投資家はこれを投げる。そうすると、一気に値崩れする。そういう商品を証券会社で分けてもらうんだ。それが上がったら売る。最近だと、シャープがそうだった。あと、ウクライナの国債をドルで買ったよ。丁度内戦中の時だった。1年待ては100ドルになる商品を、40ドルで買ったんだ。
――デフォルトのリスクが高いのでは?
山崎 もちろん、ウクライナがなくなれば無価値になる。買う前に、プーチンについて徹底的に調べたんだ。その結果、「プーチンが後ろ盾にいる以上、大丈夫」という結論になった。そう思って、証券会社から分けてもらったんだ。案の定戻ったから、すぐに売ったよ。
――そういう国債や社債は、どこで手に入るんですか?
山崎 馴染みの証券会社に声かけておくんだ。そういう意味では、ネット取引よりも営業マンを介して取引したほうがいい。デイトレードするならともかく、手数料なんて知れたものだ。常連顧客になっておくと、いろいろな融通が効くんだ。
――ジャンク債を買うには勇気がいりますよね。
山崎 だからこそ、裏づけを徹底的に調べるんだ。プーチンは、嫌われることを何とも思っていない。損得のみで物事を判断する、冷静な人間だ。メルケルとプーチンが会談をして、ウクライナへの銃の供給はやめると合意したんだ。でも、次の日にはもう、どんどん銃を流している。すごい奴だよ。
――投資行動には、何かの根拠がいつもあるということですね。
山崎 基本的にはウォーレン・バフェットが言ってた「町に血が流れている時に買う」を実践しているよ。

誰でもできる、利益を出し続けるコツ

――今は景気がいいとされていますが、実感はありますか?
山崎 これは常識の範囲内だと思うけど、株価は景気に先行するからね。だから景気が拡大期の今は、ヤマが近い、つまりすでにヤマは超えているってことだな。
――ピークアウトが近い?
山崎 僕は、24100円でピークアウトしていると思っているよ。
――「休むも相場」とよく言いますが、今はお休みですか?
山崎 そうだね、株は今、資産の1割くらいしか持っていない。
――利益を出し続けるコツみたいなものはありますか?
山崎 自分の流儀を守るって事だと思うよ。大底圏内は、何年もない。僕の場合は、大底を見極めて、大底の時に買って、2倍になったら売る、これをきちっと守るだけ。
――銘柄の選定は?
山崎 「This is JAPAN」、つまり「これこそ日本だ」っていう銘柄がいい。トヨタやNTTみたいな株だな。民主党から自民党に政権が移り変わった時、これは経済の素人から玄人に移り変わった瞬間だった。経済政策は、間違いなくよくなる。そういう時に買うんだ。その時、トヨタ株は3000円で買えたんだ。それが今は8500円。野村証券は、250円が900円になった。トヨタ、日立、東電、ソフトバンク、三菱銀行、三井銀行……そういうのを大底圏内で買って、倍になったら売る。それだけ。
――それが長きにわたって利益を出し続けるコツなんですね。
山崎 「売るべし、買うべし、休むべし」という言葉がある。休むってのは、休憩することではない。次の大底を待って、虎視眈々と「見ている」ってことだ。今、景気は拡大期に入っている。拡大期ってことはヤマに入っているってことだ。株価は先行する。8600円だった株価が、今年の1月には24000円になっている。さらなる上昇を期待して1000円や2000上がったって、梢の柿の実を取りに行くようなものだ。
――美味しいとこは過ぎたってことですね。
山崎 だからこそ、次の機会を待って、一歩引いてマーケットを見ながら機会を待つ。今は、そういう時だと思うな。
――見極めが大事ですね
山崎 難しいことではない。株価は景気に先行するってことをちゃんと頭に入れておけばいい。だから、景気が悪いときに株を買うんだ。一番悪い時に買う。
――景気がどん底の時は、株価は底を打っているものですか?
山崎 実際にどん底の時は、株価は上がり始めているよ。だから、どん底の前から買い始めないといけない。「上場層は万人の下の中から始まる」と言ったジョン・テンプルトンの言葉のとおりだ。景気が上がり始めた時は、みんな半信半疑。でも、そのときにはすでに株はいいところまできちゃってる。原理原則だけわきまえて投資すれば、誰でもできることだよ。
――山崎さんが言うと簡単なことのように聞こえてしまいますね。
山崎 繰り返しになるけど、原理原則を守る、これが大事。世の中が「景気はどん底」って言うときが、株でいうと、買い時。これが大事だ。
――循環があるんですね。
山崎 失敗から学ぶことだ。失敗から成功を学ぶ。他人を見て学ぶのも大事だ。僕は、野村証券時代にいろんな人を見て学ばせてもらった。今のやり方も、その時に学んだことだ。僕が和歌山支店にいた時、あるご老人が日立と荒川電気、今で言うシャープのことなんだけど、これを60~70円で買ってね。3年後に200円になったら全部売れって株券を全部持ってきたんだ。「自分もこういうやり方しないといけないなあ」って思ったね。

山崎流「投機の流儀」

――ということは、今は日本株にはあまり手が出せませんね。
山崎 そうだね、僕なら今の日本株には全力で手を出せないね。
――日本以外はどうですか?
山崎 僕はあまりリスキーな投資はしないけど、例えば破綻しない国の通貨が今、最安値で買えるならトルコだね。あとは、アルゼンチンかな。
――どちらも政情不安定なのでは?
山崎 アルゼンチンは破綻したことがあるけどね(笑)。まあそのあたりのものなら12パーセントくらいの利回りがあるのが多いから、一部はそういうのに投資してもいいかもね。潰れかけの国に投資、それはもちろんメインではなく、保有資産の一部でやらないとね。
――では最後に、山崎さんの「流儀」を教えてください。
山崎 2007年の8月に「ダイヤモンド」誌の取材を受けて、「今は大天井だ」と話しました。その翌月にサブプライムが起こって、リーマンショックで暴落した。大きな曲がり角で、退場するときは退場して、出るときは出る、これだね。短期売買はしない。これが僕の流儀だな。
――貴重なお話、ありがとうございます。
山崎 こちらこそ、ありがとうございました。

更新:毎週日曜日


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

【著書】
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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