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【投機の流儀 セレクション】「関西電力株」について

山崎先生
以前も何度か質問させていただいた、地方公務員のTです。毎週メルマガの着信を心待ちにしています。
私は、単なる相場の指南書、儲け話のネタという類ではなく、実践的リベラルアーツの最高峰としてこの週報を読んでおります。(山崎:有り難うございます。だが、そこまでおっしゃられるといくら図々しい私でも少々テレます)
ただ、先生のご指導のとおり、老年期相場の退屈な日々に耐えるのも、一つの修練と思ってはいるものの、なかなか実践できず、悩ましい日々です。(山崎:それは私とて全く同じことです。老年期相場終焉後の、迂闊に手を出してはいけない退屈な日々を次の大底が来るまで待つというのはなかなか難しいことで、迂闊にすると相場から離れてしまって大底を見逃す、または相場から離れないためにゲリラ資金で参戦するつもりがいつの間にか深入りしてしまう、という間違いを冒します。私の1年先輩が1人、3年先輩が1人がこういうことで流動資金の半分以上を喪失した方がいます。相場から離れないために参戦するつもりが、主力部隊まで投じて大いなる痛手を受けたという結果であって全く本末転倒です。お互いにこういうことは気を付けましょう)。

さて、2つ質問させていただきます。

1、9503関西電力株について
関西電力の役員による金品受領事件が世間を騒がせております。
10/2の会見で社長および会長が辞任するものと思っておりましたが、「適切ではないが違法ではない」という理由で居座っておりましたが、10/9に辞任の報道が出ております。(山崎註:関電の幹部に限らずどこにも多少はあり得ることだと思います。事実、私も三井の役員をやっていた頃は似たような饗応は受けましたが桁が違います。関電のケースは、世間で通る常識的な桁と少々違うと思います。それを違法ではないからいいと言って居座っている、あまりにも図々しいしバカです。そういう図々しいバカが会長・社長に居ること自体が企業風土の異常さを示していると思います。助役から受けたと言うからその原資は市民税も入っているかもしれない。日立から東電の社長になった現社長が「東電を普通の会社にしよう」と内部で常時呼びかけているそうです。日立から見れば東電は異常な会社だったのでしょう。私から見ても異常な会社に見えます。かつて経団連会長を務めた木川田東電会長などは財界で木川田天皇と呼ばれて、「東電などという独占企業は誰がやってもうまく行くだろうにあの威張り方はなんだ」と陰では言われていたものです。また、原発事故の時の態度も「自衛隊に任せて東電社員は引き上げよ」という指示を出したとかいう。これもまた非常識であり、それを作戦本部たる首相官邸を空にして飛んで行った菅首相もまたバカでした。最も首相になってはいけない鳩山・菅の2人が首相になったその間に起こった事件だったということが、日本の迎えた不幸だった。これは東電の話しだが、関電も似たようなものだと思います。私は三井の九州支店長を3年間務めたが、福岡というのは三井鉱山もあり、地域のGDPには貢献した三井であったが、とにかく福岡県は「関電県、西鉄市、三井村」と言われ、最も威張っていたのは関電、二番目が西日本鉄道、旧三井財閥はそのまた下だという意味でした。確かに九州帝大卒・九州電力取締役というのがロータリークラブでもゴルフ場でも中洲の夜の酒場でも幅を利かしていたものです。関電も東電・九州電力と似たようなものでありましょう。だから、大きな上昇は望まず、おっしゃる通り半値戻りという点で妥協するならば私はその方針は間違ってはいないと思います。半値戻り程度のリバウンドを期待するならば、それは適切な行動ではないでしょうか。)

ところで、株価の動きですが、
事件発覚前の終値が(9/26)1393.5円。
そこから窓を二つ開けて下げて1208.5円(9/30)を付け、会社側会見の直前に1274.5円までの戻りがありながらもズルズルと下げ、10/7に1200.0円近辺を付けたのち、10/9現在1240.0円近辺で推移しています。

私はこれこそが、先生のよくおっしゃる「大通りにある一流銘柄の一瞬の極端な下げ」の典型ではないかと感じ(山崎:確かに「大通りにある一流銘柄の一瞬の極端な下げ」の一例ではありましょうが、不祥事の内容が小さすぎるし下げ幅も小さすぎる気がします)
(山崎:事件発覚前の終値から3日間で二つ窓を開けて190円下げたというのは一つの魅力ある買い場には見えます。が、関電のこの事件は不祥事としては小さい方だと思います。一番は、ストップ安で比例配分後の完全合致、という姿が短期買いとしては望ましいところです)。
自分としては久々にまとまった金額を仕込みました。(山崎:まとまった金額を一挙に買おうということは私ならしません。所謂「打診買い」と称するやり方で当初予定の金額の3分の1くらいを買います。つまり、3回に分けて様子を見ながら買うという意味です)。

PBR0.71倍、PER7.74倍、配当利回り4.12%と指標はどれも割安、(山崎:確かに指標面から見れば割安であり、著名割安株の一典型でありましょう)。
総括原価方式につき赤字懸念なし。(山崎註:赤字懸念がないということは純資産も減らないことだし、企業価値を保つということで考えていいと思います)。
時価総額が中部電力以下となっている
ことも短期捩れのサインと見ました。(山崎註:時価総額が中部電力以下になっていることを私は気が付きませんでした。ここは面白い着眼点だと思います。取り敢えず、少し買ってみるのは私もそうしたいと思いますが、手は出していません。事件の内容が小さすぎるし下げ幅も小さいような気がします。
経営者が問題があろうとも、企業価値には変わりがありませんし、むしろ膿が出て改善の可能性もあると思います。(山崎註:経営者に問題があっても、PERや配当利回りは変化がないことは事実でしょう)。

短期間での半値戻し1300円位を目標に考えております。
関電の不祥事と、それに伴う株価の推移について先生のご意見をお聞かせください。(山﨑;不祥事としては、下品で小さすぎる、と思います。よくも、あんな下品で非常識でバカな人を会長社長にしたものだと呆れます。それが関電の企業文化のでしょう。だから、上値もたいしたことはないでしょう)。
なお、個別株についての質問ですので、差し支えがあるようであれば、不祥事銘柄への対応について、先生のお考えをお聞かせいただければ幸いです。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況
(1)「アイランド・リバース」(離れ小島)を形成したが懸念なかろう
(2)個人投資家の売買シェアが2001年以来18年ぶりの低水準になった
(3)筆者のように思った通りを語り、語る通りを書く、ということを続けていれば、おそらく半数かまたはそれ以上の人々には嫌われる場合が多かろう
(4)中小型株が流動性縮小
(5)政府、外資規制強める、これは1963年夏のケネディ暴落(★註)を連想する
(6)レンジ相場・サンドイッチ相場はトランプが繰り出すカードに翻弄されてきた
第2部 中長期の見方
(1)景気動向指数、5段階の最下位「悪化」に
(2)民間債務の異常な膨張暴―-暴発したらどういうことになるか、誰にも予想はつかない
(3)今どきの政局―-安倍首相の後継者は「菅・進・太郎」だという
(4)BREXITはどうなるか
(5)「銀行株に買いの気運」という日経の見出しを既報10月6日号で本稿では批判したが……
(6)世界景気の暗転のシンクロナイズ現象
(7)米経済にも高まる景気後退懸念
(8)株価低迷の間はトランプは強硬な姿勢をとらない
(9)米中貿易摩擦を巡って金融市場は悲観と楽観を行き来している
(10)日本国内景気に先行き警戒ムード
(11)トランプに野党攻勢、ウクライナ疑惑の盛り上がり
第3部 「長期投資のヒーロー」で通ってきた澤上篤人氏
第4部 安倍長期政権の功罪
(1)史上最長記録を更新し、83ヶ月目を迎えるアベノミクス景気
(2)最長期政権を記録する安倍政権
(3)対中国外交で前車の轍を踏むな
(4)伝説づくりに勤しむな。地道に内政のやるべきことをやれ
第5部 交信「関西電力株」について

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
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