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お絵かきの意味1:お話物理:場の量子論

前回は,場の量子論を摂動論的に解析していく上で,ファイマンルールという絵と計算するものを対応させるルールについて話した.

摂動論では相互作用"λ"が小さいと思って,自由粒子が"λ"の影響を逐次的に受けるような取り扱いをする.例えばφ^4理論では

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のようなルールがあって,二粒子の散乱は

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のように絵をかけるのだった.

今回はこの絵の意味を話して行こうと思う.

場の理論の量子化は"経路積分量子化"と呼ばれる,時空全体の場の値が取りうる全てのパターンを確率の重みで足し合わせる方法で行うのが一般的だ.そういう意味ではこの絵は一つの絵が,ある種類の経路を代表して書かれている.

今考えているのは二つの粒子が飛んできて,相互作用で反応したのち,また飛び散っていく反応だ.ということは時間と空間のどこか一点で"ぶつかる"ような状況を想像できる.

この"ぶつかる"点は経路積分の気持ちで見れば,この世の全ての時空の一点それぞれで起こらねばならないのだ.

例えば時間と空間(のどれか一方向)を模式的に書いて見よう.

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青丸の四点は,粒子を打ち込んだ場所と時間を表している.これは観測してしまったわけだから経路積分の"ありうる経路"でも固定されている.

時間の順番で見れば,左の丸それぞれから粒子が飛んで,どこかでぶつかって右の丸にたどり着くわけだ.

逆向きに飛び出した粒子がどこかでぶつかって,跳ね返り,また飛んでいく.と言われれば,まともな感性をしている人は,普通青の経路を想像するだろう.

しかし経路積分の気持ちで見れば,赤や緑の経路,つまり跳ね返った後時間を逆行しているような経路や,同じ向きに出た粒子がぶつかった後なぜか逆向きに跳ね返されるような経路を考えなければならないのだ.

"時間を逆行したり,空間的に踵を返すような動きをしていいのか?"と思うかもしれないが,経路積分の視点から見れば,そうなってしまう.

相互作用する点がこの世の時空の点全ての経路を代表して一つの絵で表している.


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