メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第381号「単方」(内景篇・精)15
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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
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第381号
○ 「単方」(内景篇・精)
◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
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こんにちは。「単方」の「韭子」「龍骨」です。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(「韭子」「龍骨」p86 上段・内景篇・精)
韭子
主夢泄止泄精得桑〓蛸龍骨主(〓虫票)
漏精微炒爲末或散或丸服之本草
龍骨
主夢泄精又龍骨韭子爲泄精
要藥火煆爲末或散或丸服綱目
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
韭子
主夢泄、止泄精。得桑〓(虫票)蛸龍骨、
主漏精。微炒爲末、或散、或丸服之。本草
龍骨
主夢泄精。又龍骨、韭子、爲泄精要藥。
火煆爲末、或散、或丸服。綱目。
●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)
▲訓読▲(読み下し)
韭子(きゅうし)
夢泄(むせつ)を主(つかさど)り、
泄精(せつせい)を止(とど)む。
桑〓(虫票)蛸(そうひょうしょう)、
龍骨(りゅうこつ)を得(え)て、
漏精(ろうせい)を主(つかさど)る。
微(すこ)し炒(い)り末(まつ)と爲(な)し、
或(あるひ)は散(さん)、或(あるひ)は
丸(まる)めこれを服(ふく)す。本草(ほんぞう)
龍骨(りゅうこつ)
夢(ゆめ)に精(せい)を泄(せつ)するを
主(つかさど)る。又(また)龍骨(りゅうこつ)、
韭子(きゅうし)は、泄精(せつせい)の
要藥(ようやく)たり。火(ひ)に煆(や)き
末(まつ)と爲(な)し、或(あるひ)は散(さん)、
或(あるひ)は丸(まる)め服(ふく)す。
綱目(こうもく)。
■現代語訳■
韭子
夢泄に主として用い、泄精を止める。
桑〓(虫票)蛸と龍骨と共に用い、漏精に主として用いる。
少し炒り粉末にし、散薬として、または丸薬として服用する。
『本草』
龍骨
夢泄に主として用いる。龍骨と韭子は、泄精の要薬である。
火で煆いて粉末にし、散薬として、または丸薬として服用する。
『綱目』
★ 解説 ★
精の単方のうち、韭子と龍骨です。
これもほとんど大丈夫でしょう。
読みと内容で、前号で訂正したところの、前々号の内容と同様の
「爲末、或散、或丸服」が登場しています。
これは粉末にして、散薬、丸薬として服用する、つまり二種類の方法が説かれている、ということですね。
先行訳に関して、龍骨の項目にこうあります。
火であぶって韭子を入れて粉末にし(後略)
つまり、原文の
又龍骨、韭子、爲泄精要藥。火煆爲末、
(又龍骨、韭子は、泄精の要藥たり。火に煆き末と爲し)
の部分を、「韭子を入れて粉末にし」つまり韭子と一緒に用いる、と読んでいるわけです。
ところが、原文では
又龍骨、韭子は、泄精の要藥たり。
火に煆き末と爲し
とで文が切れていて、「火に煆き末と爲し」は龍骨単品についての記述のように読めますよね。そう読み、そう伝わるように、また「要薬」など原文が用いている語や文の流れをできるだけ尊重して訳したたのが、上の私の訳です。
これが一つながりの文で、先行訳が言うように龍骨と韭子とを共に用いると言っているのか、そうではなくて龍骨単品について言っているのか、ご自身で検討していただけたらと思います。
◆ 編集後記
単方の韭子と龍骨です。今号も二つでお届けしました。
この単方は残り三つの生薬を残しているので、次号では三つまとめてお届けできたらと考えています。その次は通常では鍼灸法となる流れですが、この章ではその前に、導引法が挿入されています。そちらもどうぞお楽しみに。
(2020.09.06.第381号)
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