見出し画像

2 黒皮剥ぎ・マクラメ・陸前高田

引っ越してきて3週間が経ち、少しずつこの暮らしにも慣れてきました。既に都心の人混みや満員電車の感覚を忘れている自分に驚いています。自炊も今のところ頑張っていますが包丁で指を切ったり、土鍋の火加減を見ていて髪を焦がしたり…。てんやわんやの日々です。

黒皮剥ぎ

前回のnoteで漬けていたコウゾの皮を剥ぐ「黒皮剥ぎ」作業をしました。

楮の皮(左)の黒皮をさらに剥ぎ、白楮(右)の状態に

東山支所からいただいた資料によると

乾燥した黒楮は一晩、流れの水に浸けて、うるかします。うるけた楮は、水切り後に黒皮を取る黒皮挽きをします。
「東山和紙ーそのひと冬のために」(2019)

一晩漬けて”うるけた”コウゾを引き上げ、軽く水を切ります。

濡らすことをうるけるっていうのかな

次に、

専用の挽き台に、軟らかくなった黒皮の太い根元の方を左手で一本ずつ掴み、台に平らに伸ばして置きます。小刀を右手に持ち、黒に直角にあて、小刀は動かさずに猪を引っ張り黒皮を挽きます。このとき、小刀をあてる角度が大切です。

と、あるように、引き台と小刀で一本一本皮を剥いでいきます。

ひたすら皮剥ぎ
ゴムがはってある引き台

職人さんからのアドバイスも忘れないようにメモ!
・使うのは刃の中央、台の中央。
・刃は動かさず、寝かす。直接地面に置かない。
・コウゾを引く時は根の方を持ち、下に向かって引く。
・置く時は根の方を揃えて並べる。

今回私が使うコウゾは福島県三春町から届いたものですが、東山和紙の原料「コウゾ」「ミツマタ」「トロロアオイ」の全てが東山で栽培されているそうです。(原料の栽培の後継者不足も大きな課題!)
紙を漉く作業こそ冬のみですが、良い和紙を作るためには一年を通して欠かさず手入れする必要があります…!来月からは原料の栽培に関する作業がメインになります。
既に川の水の冷たさに慄き、冬の作業をどう乗り越えるか…と考えていましたが、8月の猛暑の中でのトロロアオイの芽かき作業も過酷なものになりそう…!
厳しい寒さと暑さ!自然との戦い!挑戦者求む!

話を戻して…
剥いだ黒皮の一部は「かす紙」として紙に漉きこみます。

かすがみ

初日は7時間で2束しか剥げなかったところを、3日目には6時間で3束剥げるようになりました。(まだまだ遅い)来週も剥ぎます。

終わって立ち上がったら想像以上に剥いだ皮が積もってて、美容院で髪切った後に床を見たら想像以上に髪の毛落ちてた時の気持ちになった
刃を持ってた箇所がくっきりと…
手の皮も厚くなってきている気が
水でゆすいだら束にして結び、天日干しします。
乾くと右のような「白コウゾ」に!
何十年も保存できます。

マクラメ タペストリー作り

先週の挨拶回りで東山地域の交流館「輝楽里」にお邪魔した際、可愛いタペストリーが展示されていて、

部屋に飾りたい!

「これ売ってますか?」と尋ねたら「これか?買うんじゃなくて作るんだよ!」と教室が開催されていることを教えていただき、マクラメタペストリー教室に参加してきました。

マクラメとは手で紐を結んだり編んだりという工程を繰り返し、模様を生み出す技法のこと。驚くことに先生はYoutubeの動画を見よう見まねで覚えたそう…!

今回は初心者向けのプラントネットに挑戦しました。

3m20cm×8本の糸をリングに結びつける
ひたすら編む(4の字編み)
先生は焼き鳥の串を編み棒として愛用していました。
私もやろ
この日一番の盛り上がりは、
ミニ直売所の売り切れていた椎茸が搬入された瞬間!

地元のマダムと楽しく談笑しながら制作しました。続きはまた来週〜
帰りにはネギとほうれん草とサバの水煮のお裾分けまでいただきました…!

そんなわけで、夕食はほうれん草とキャベツとサバのパスタに

和紙を細く切り、こより状にして作る「紙糸」でタペストリーを作っても面白いかも…。

陶芸体験

先週の田おこしで土を触ってからというもの、無性に陶芸がしたくなり…。
厳美町にあるあすみ工房(https://asumi-kobo.com/)のチラシを見つけ、即予約!陶芸体験に参加して、お茶碗とカトラリースタンドを作りました。

来月は釉薬を塗ります!

今回は体験でしたが、教室に入会して月に一度通うことにしました。様々な分野のものづくりを知って、和紙に活用してみたいです。
早くも一関での暮らしがしっくりきている気がするのは、自然を調理して料理や日用品をつくる、ということを探求する暮らしが心地よいからなのだと思います。あと、何よりあたたかい人が多い!

陸前高田へ

野球の用事で陸前高田まで行くけど乗ってくか?と課長に誘っていただき、陸前高田を観光しました。

8:00
誰もいない海
波の跡がきれい

ひたすら海沿いを歩きました。
昨年まで30分弱歩いて通学していたのに、早くも車社会に慣れ全く歩かなくなっていた自分に気づく…。
その後は近くの博物館へ。

陸前高田市立博物館に考える人が!
名古屋市立博物館から貸し出されているそう。
「失せ物絵馬」
漁をしていて海中に誤って刃物などを落としたときは、海の神が機嫌を損ねて不漁になってしまうと伝えられた。これを避けるため、漁師は浜に戻るとすぐに紙に失くしたものの絵を描いて神社に奉納した。(キャプションから引用)
行為に対するゆるいイラストのギャップがおもしろい。
失せ物多めの私もやろうかな…。


道の駅に併設されている津波伝承館にも行きました。

市街地があったところに唯一残る震災遺構
「米沢商会ビル」

タイトルを忘れてしまいましたが、震災の手記をまとめた本の中で心に残っている一節があるのでここに載せておきます。

感動は、日が経つにつれて、色あせてくる。
原始人から、一気に現代社会人になっていく。
すると、感動のようなものが、自分の中で嘘っぽく感じてくる。時間を置いてから始めようとすると、自分の気持ちが風化していく。ライフラインが普及すると、だんだん贅沢になってくる。自分の心に嘘をつきたくない。
だから、気持ちの熱いうちに、何とかしなければ。

気持ちの熱いうちに、何とかしなければ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?