見出し画像

あのパビリオンは今…(1)ポートピアみどり館 深海潜水艇 PC-18

クジラのような外観(神戸ポートアイランド博覧会写真集. 1982. 192pより)

今から43年前に開催された神戸ポートアイランド博覧会・ポートピア'81。『新しい"海の文化都市"の創造』をテーマに、ユニークな外観のパビリオンが会場を彩りました。閉幕後は建物を含めほとんどの展示物が解体・処分されましたが、いくつかは神戸市内や県外へ移設されました。

今回は、今なお残るポートピアのカケラの一つ、ポートピアみどり館で展示されていた深海潜水艇・PC-18をご紹介します。


ポートピアみどり館について

当時のパンフレット(Yoshimi Kumazawa.さん提供)

ポートピアみどり館は、三和グループ所属企業の共同出資による「海底へのいざない」をテーマにしたパビリオンです。観客はまず『シミュレーションシアター』という潜水艇を模した劇場で神秘的な海の映像を鑑賞した後、展示ゾーンで深海の雰囲気を楽しめる構造となっていました。『シミュレーションシアター』では臨場感を演出するため、映像の動きに合わせて劇場の床を左右前後に揺らす装置、エアースプリングシステムが国内で初めて導入されたそうです(パンフレット・公式記録の記述より)

展示場の様子(神戸ポートアイランド博覧会写真集. 1982. 192pより)

そして展示ゾーンの目玉となっていたのが、深海潜水艇・PC-18の実物大レプリカ。水深200〜300mでの海底開発や探査活動を目的に製造されたもので、先端には海底作業に不可欠なリモコン作動のマニピュレーター、ダイバーが簡単に海中に出入りできるダイバーロックアウトシステムなどが取り付けられていました。

子どもたちの目を輝かせたPC-18。ネットで調べてみると、閉幕後は東京・船の科学館の屋外展示場に運ばれ、以来40年以上その場所で静かな余生を過ごしていることが分かりました。

いざ、船の科学館へ

新橋駅のホーム

というわけで2023年9月、現地へ行ってみることにしました。ポートライナーと同じ自動運転のゆりかもめに乗って、船の科学館に向かいます。始発は新橋駅。新橋は何度も来たことあるけど、ゆりかもめに乗るのは初めてです。わくわく。

ニューヨークの地下鉄っぽい風景

出発しました。こんな感じでビルの合間をすり抜けるように進んでいきます。途中高速道路の下をくぐり抜けたりしながら…

わ〜い、橋だ

だんだんと景色が開けてきて、レインボーブリッジが見えてきました。

は、速い…!

並走する車を横目に、ものすごいスピードでレインボーブリッジを渡ります。ゆりかもめ、こんなに楽しい乗り物だったとは!

フジテレビ本社のある台場の次の駅

ゆりかもめに揺られることおよそ15分。船の科学館の最寄り駅、東京国際クルーズターミナルに到着しました。楽し過ぎてあっという間です。

でーん!

駅のホームから見た景色がこれ!一度見たら忘れられないインパクトです。

船の科学館は、埋立地の東京臨海副都心に、1974(昭和49)年7月20日に開館した海事博物館です。イギリスの豪華客船クイーン・エリザベス号をモチーフにした外観で、「海と船の文化」をテーマに様々な展示品を見ることができました。

ゆりかもめや東京ビッグサイトなど、臨海副都心で本格的な開発が始まったのは1990年代のこと。そのためしばらくは、周囲に何もない状態が続いていたそうです。ちなみに手前に見える広大な駐車場では、2008年までシーサイドプールが営業していました。

しーん…

早速行ってみましょう。それにしても、悲しくなるほど人がいません。

それもそのはず。船の科学館は塩害や地盤沈下、施設の老朽化などを理由に、2011年9月30日に休館。そのまま10年以上の月日が流れており、全体的に腐食が進んでいるようでした。一度中に入ってみたかった…。

二度と開くことはないシャッター

かつてはこのシャッターの前でたくさんの人が入場を待ちわびていたのだと想像すると、なんだか寂しい気持ちになります。

ドラゴンボールのホイポイカプセル投げたら出てきそう

屋外展示場には、実物大の船や灯台が展示されているのですが、中でも面白かったのがこちらの海底ハウス"歩号一世あゆみごういっせい"。1968(昭和43)年に、世界で初めて民間人の手によって作られた海底ハウスの実物で、静岡県沼津市の沖合水深8mに設置されたそうです。レトロフューチャーなデザインが魅力。

お取り込み中すみません

中をのぞくと、ドライスーツに身を包んだおじ様が。
うまく地上と繋がったのでしょうか、嬉しそうな表情をしています。

いよいよPC-18と対面

はじめまして!

そして、ありました!紛れもなく、みどり館で展示されていたPC-18です。
大きな一つ目がチャームポイント。かわいい、感無量です。

案内パネル

案内パネルにも、しっかりポートピア'81について記載されています。

チャーミングなおてて

海底作業で活躍したマニピュレーター。熟練した技術が必要そう。

はいチーズ

当時会場で販売されていたステッカーといっしょに記念撮影。それにしても、雨や潮風にさらされているのに全然退色してないのがすごい!何度か塗り替えられているのでしょうか。

ガンダムに出てきそう

こちらはPC-18のお隣に展示されている潜水調査船・たんかい。
いかにも兄弟みたいなカラーリングですが、こちらはポートピアとは無関係です。

船の科学館は2024年2月から解体作業へ

本館を見つめながらどこか寂しそうなPC-18

そんな船の科学館も、2024年2月から敷地全体で解体作業が始まりました。現在はバリケードが設置され、屋外展示場にも入ることができません。

PC-18はどうなるのだろう?船の科学館に問い合わせてみたところ、残念ながら今のところ分からない、との回答でした。ポートアイランドへの里帰り、なんて難しいかな…と思いつつ、今後の動向に注目したいと思います。

展示がめちゃめちゃ充実してます

なお、船の科学館の前に係留されている南極観測船「宗谷」は引き続き見学できるとのこと。展示がすごくしっかりしていて、この後1時間ほど堪能しました。

関連記事

ポートピア'81についての関連記事です。
よろしければご覧ください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?