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カーボンニュートラルへ向けた、ざっくりとしたエネルギー需給の試算

EV化、自動運転による効率化を念頭に、超ざっくりと評価してみた。(どこかで微妙に計算を間違ってる。。)

要点

現状の一次国内エネルギー供給、約20000PJに対して、EV化により2000の減少、自動運転化により2000の減少が見込まれる。

また、発電所の立地を変えることで、発電損失(約5000)を解消し、薪炭エネルギーの活用で3000、およびその他のカーボンフリーエネルギー4000で賄う、というところ。残り(約4000)を節約の工夫でひねり出す、という感じ。

現状(2017年度のデータ)

一次エネルギー国内供給 (20035)

原子力発電 265
水力・再可未活エネ  2194
天然ガス・都市ガス 4696
石油 7837
石炭 5043
(化石燃料計 17576)

エネルギー転換/転換損失 等 (6653)

発電損失 5233(電力は3854)
その他 1400

最終エネルギー消費(13382)

家庭 1990
運輸旅客 1839
運輸貨物 1260
企業・事業所他 8293

EV化による変化

前提
EV化により、運輸のエネルギー効率が5倍に(2021/5/6修正、以下のツィート参照)。エネルギー源が化石燃料から電力に変化。

最終エネルギー消費の減少(2829)

運輸旅客 1839→368
運輸貨物 1260→252

電力需要増による発電損失の増加(842)

電力620増→発電損失842増

一次エネルギー国内供給の減少(1987)

2829-842=1987

結果として一次エネルギー国内供給 (18048)

原子力発電 265
水力・再可未活エネ  2194
化石燃料計 15589

自動運転の実用化による変化

前提
自動車製造業の消滅により、企業・事業所の消費エネルギーが10%減少。
運輸エネルギーの消費量はさらに20%に減少。

林業従事者の増加による、薪炭エネルギーの顕在化により、3000のエネルギー供給へ。

最終エネルギー消費の減少(1327)

運輸旅客 368→72
運輸貨物 252→50
企業・事業所他 8293→7464

運輸の電力需要の減少による発電損失の減少(676)

電力498減→発電損失676減(2021/5/6:追加)

一次エネルギー国内供給の減少(2003)

1327+676=2003

結果として一次エネルギー国内供給 (16045)

原子力発電 265
水力・再可未活エネ  2194
薪炭エネルギー 3000
化石燃料計 10586

カーボンニュートラルへ向けて

化石燃料10916を0にすることを目指して、逆算してみる。(どこかで計算間違えてる。。)

前提
〇一次エネルギー国内供給(16375)
原子力発電 265
水力・再可未活エネ  2194
薪炭エネルギー 3000
化石燃料計 10916
〇エネルギー転換/転換損失 等(6799)
発電損失 5399
その他 1400
〇最終エネルギー消費(9576)
家庭 1990
運輸旅客 72
運輸貨物 50
企業・事業所他 7464

発電損失の解消

最大の課題は発電損失。廃熱を100%利用すると仮定すると、5399の改善となる。発電所を需要地の近所に立地させ、廃熱利用を促進するのが望ましい。のこりは5517

企業・事業所からのアプローチ

産業別にみたときに熱量消費の上位は以下のとおり。(統計処理上のずれがある可能性大)要は、化学工業と鉄鋼業が課題。

化学工業 2900
鉄鋼業 2341(自動車製造業の消滅で約30%(=1000)減少と想定)
石油製品・石炭製品製造業 880
その他 1172

化学工業と鉄鋼業で、半減させれば、2600ほどの減少。残りは、2900

家庭からのアプローチ

半減で1000。残りは1900

カーボンフリーエネルギーの活用

以下のようなものが考えられる。

・原子力:2000<但し、需要地から遠いと、発電損失が発生する。>
・太陽光、風力、地熱、中小水力等のさらなる活用
・炭素固定技術を使った化石燃料の利用(対象が1800になってはいる。)

カーボンニュートラルなエネルギー需給

最終エネルギー消費(5986)
家庭 1000
運輸旅客 72
運輸貨物 50
企業・事業所他 4864

エネルギー転換/転換損失 等(1400)
発電損失 0
その他 1400(減りそう)

一次エネルギー国内供給(7386)
水力・再可未活エネ  2194
薪炭エネルギー 3000
その他カーボンフリーエネルギー(原子力発電等) 2192
化石燃料計 0

【参考】電力需要(2100程度か)
家庭 1000のうち500
運輸旅客 72すべて
運輸貨物 50すべて
企業・事業所他 4864のうち1500程度か

おまけ①・芋発電

(追記@2021/6/11)
昔聞いた時には、ちとバカにしていたけど、今振り返ると、結構なポテンシャルやなぁ。。22500PJ供給可能って、全部面倒見れるやん(^^;

おまけ②・木造建築の推進

(追記@2021/8/2)

木材を発電材料として燃やすと、すぐにCO2になってしまうけど、たとえば、木造建築に使うならば、炭素は大気中に放出されず、数十年間固着されることになる。

この論点については、以下のような記事があることを、こちらでご紹介いただきました。(@2021/8/17)

その効果を粗々ながら、評価してみた。

【林野庁】「木材需要拡大に向けたこれまでの取組」

木造住宅における木材使用量は、在来工法の場合、(中略)平均的な住宅(120m2)であれば、1戸当たりの木材使用量は約24m3となる

比重を0.7とすると、木材は1戸あたり大体20トンになる。

日本の住宅が6000万戸なので、すべて木造建築にすると、20トン×6000万戸=12億トン。

ビルなんかも考察しようとすると、こんな統計があった。

【国土交通省】建築物ストック統計の公表について

【推計値】(平成 29 年 1 月 1 日現在)
床面積の総量 約 77 億 2,045 万 m2 
住宅 (民間・公共) 約 57 億 3,888 万 m2 
法人等の非住宅建築物 約 19 億 8,158 万 m2 
【集計値】(平成 27 年度)
公共の非住宅建築物 約 06 億 4,720 万 m2 

ここの「非木造」を評価対象にすべきか。

住宅 (民間・公共) 約 18 億 1,227 万 m2 
法人等の非住宅建築物 約 18 億 5,016 万 m2 
合計 約 36 億 6.243 万 m2

建築物の寿命を50年と考えて、 一年あたりの(木材としての)固着効果を考えてみる。

0.16(トン/m2)×36 億 6.243 万(m2)÷50(年)=1200万(トン/年)

2018年度のわが国の温室効果ガスの総排出量は、12億4,000万トン-CO2

木材と「CO2」の変換が必要だけど、1%オーダーくらいで効いてくる、という感じか。。この稿で言うと、数百PJ~千PJくらいの効果がありそう、ってところかな。

(日本でいろいろ試したうえで)これから都市化が進む途上国において、展開するのがいいのかも、と思ったりはする。

こういった『おまけの具体策』を記事としてまとめてみるのもいいかもなぁ。。

団塊Jr。エンジニアを生業としつつ、経済学→経営学→心理学へと関心が移ってきた変な人。ついに退職し、「知識志本主義社会」へ旅立つ。夢(妄想?)は、アダムスミスやドラッガーのように結果として新たな学問領域を打ち立てること。SF:戦略性/学習欲/内省/慎重さ/着想