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#14 ゆめちゃんが好きなのは?

猫本来の食事スタイルは、1日10回以上。つまり少量を頻回に摂るスタイル。元の飼い主であった叔父も缶詰のウエットフードは1日2回、ドライフードは数回に分けてあげていたそうです。

私たちもできるだけその習慣を崩さないように注意しました。猫は環境の変化に弱いですし、一度に食べる量が多いは吐き戻すこともあると聞いたので。もちろん頻回に与えて食べ過ぎにならないように、1日に与える量を計ってから小分けしてあげていました。

もともとゆめちゃんは小食なのか、1日に与える目安よりも少ない量でしたが、食欲はちゃんとあって喜んで食べているようでした。体調を崩すこともほとんどなく、毎日元気で運動もしっかりしていました。
(※運動については下記のリンクからどうぞ)

ですので私としては、ゆめちゃんとの暮らしを存分に楽しんでいたのですが・・・弟は少し違っていたようです。

以前は帰宅すると、玄関でお出迎えをしてくれてゴロゴロと喉を鳴らし喜んでくれていたのに、最近はお出迎えしてくれないと言うのです。

そりゃあ、お昼寝してることだってあるだろうし、運動してるときはものすごく熱中してるからお出迎えしないことだってあるだろうと返すのですが。

起きてるときも運動してないときもだ、「ゆめ、ただいま」と声をかけても近寄りもしないと、イラッとした様子で反論します。

ん? かえったの?

とちらりと弟を見てすぐに視線を逸らしてしまう、それがもう1~2ヶ月続いているのだと。

私としては、猫じゃらしで遊びたいときはちゃんと来るし、撫でてほしそうなときに撫でるとゴロゴロ喉を鳴らすし、いいんじゃないかなと思うのですが。ウチに慣れて、安心して自由に振舞っているということかなと。なにせ猫ですから(笑)

それでも弟は納得できないようで。
遂にある日。

その日もお出迎えがなく、「ただいま」と声をかけて抱っこしようとしても逃げるし、いつもご飯をあげている位置でお座りして待つし、用意をしているとやって来て足にスリスリするけど撫でようとしたら逃げて定位置に戻ってしまうし。

ニャー!(おなかすいた~! はやくちょうだ~い)

ご飯が目の前に出されたらガバッと器に顔を突っ込んで食べ始めたし・・・で。

「ゆめは、ゆめは俺より猫缶の方が好きなんだー!」

弟より少し遅れて帰宅した私は上着をハンガーに掛けたりしていたときでした。

「はぁ?! 何言ってんの?」

メチャクチャお腹が空いて、早く食べたかっただけじゃないの?
何その、新妻の " 私と仕事、どっちが大事なの?! " 的な発言は!

いじけてしまった弟は何を言っても聞く耳を持たず・・・

その後、私たちもTVを見ながら食事をしていると。   
何やら気配を感じ振り向くと、ゆめちゃんがじーーーっと弟を見ています。  何かむくれている様子。だんだん目つきが険しくなっていきます。
しかもご飯はまだ随分残っています。

どうしたの? これ好きでしょう? お腹空いて・・・るよね? 

尻尾をバシバシと床にたたきつけるように揺らしながらも、弟を睨み続け、どんどん機嫌が悪くなっていると見て取れます。

「あっ! もしかして、さっき猫缶の方が好きとか言ってたから、違うと言いたいんじゃないの?! 」

驚いた弟がご飯を残しているのを見て・・・

「猫缶より俺の方が好きだって伝えようとしたのか?! 賢いな! 相思相愛だな! ゆめ!」

やっとわかったの! おそいよ!

喜ぶ弟にはかまわずご飯を食べ始めたゆめちゃん。

うわぁ・・・この賢さは・・・凄いの一言。
出迎えてくれないとか、自分より缶詰の方が好きだとか、言ったことを理解しているのも凄いけど。
更に『そうじゃない』と伝えるためにご飯を食べないでいるなんて、「賢い」の一言では足りない気さえします。  

弟はすっかり機嫌を直し、いつものように猫じゃらしで遊んで、いつものように一緒に寝て一日を終えました。

単純と言うか大人気おとなげないと言うか・・・子どもじゃん。
ゆめちゃんの方が大人じゃん!!


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。



参考書籍:ねこのきもち (株)ベネッセコーポレーション




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