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出版不況の時代に出版業界に飛び込んでみたけれど、狂気が止まらないのでここに開陳する

皆さん、こんばんは。
このnoteの書き手である遠山が、出版業界に飛び込んではや半年以上。今日は抑えきれぬこの狂気を、皆様に惜しまず開陳をしようと思います。

飛び込んでは見たけれど

広告業界から出版業界に飛び込んで、幾月か経ちました。 広告業界も斜陽産業だとは言われてきましたが、出版業界も事情は同様です。いや、広告業界以上に厳しい状況でしょう。

かつて、出版という場はスターを輩出する、王道の場所でした。

書店にはいつも人がいて、人気メディアとして成り立っていたのです。人々が手にできる情報や娯楽もまだまだ限られており、それを待ち望む人たちがたくさんいました。ちょっと良い本であれば、何もしなくてもそれなりに売れた時代です。


ところが時代は代わり、娯楽や情報で溢れかえる世の中になりました。

人々の趣向に合わせてメディアは細分化され、みんなが注目してくれる都合のいいメディアはなくなってしまいました。

本を読む人は減少し、最新の情報や面白い創作は、ネットで探す時代になっています。

出版という場は、すばらしい才能を持つ人を人気者にするために、用意された場でした。

しかし、今はもうすでに人気のある人たちを出して、その力で売りしのぐ世界になってしまいました。そこまで力の無い新人がチャレンジする場は限られ、生き残っている人気作家がしのぎを削る世界になりました。

そんな出版業界を、人々はどう思っているのでしょうか。ああ、あの時代は良かったのに、と回顧にふけるのでしょうか。俺たちの時代はすごくてさ、と現実逃避をしながら?

それとも出版業界なんてもう終わりだ、と冷笑的なスタンスを取るのでしょうか。仕方ないよね、時代の移り変わりさ、と自分を納得させながら?

いや待てよ。それは納得できない。どうしても納得できない。

だって、あんなにもすばらしい才能が、人々にもう知られることがないなんて、納得できない。あの編集者の、絶妙な編集力で成り立っている、寝食削って深夜に生み出されたあの傑作の数々を、もう誰も手に取らないなんて。誰も知らない私のことを、たった1冊の本に言い当てられる経験ができないなんて。その紙束ひとつで、世界を変える様を見れないなんて。

自分は絶対に納得できない。だからここにいる。人に、世相を読む力がないと言われても、それだけは肯定できない。

もちろん、業界の問題はたくさんあります。変わらなくてはならないことも多くあります。もっとしなくてはいけない努力も、いっぱいあるでしょう。
コンテンツの発表の仕方も、もっと変わってくることはたしかです。

日々大量に刊行される書籍の量も、この先かなり淘汰されると思います。ネットの時代に、出版が時代が逆行しているのも、よく分かっています。

それでも、黙っているのは耐えられない。いや、あなたも俺もお前もあんたも、この状況に沈黙し続けるのだろうか?すくなくとも、自分はこういいます。「否」、と。

明らかに、不利な状況に立たされ、それでも耐えている。そもそもこの業界に居る人は、衰退しかない業界でなお働き続けているという、かなりクレイジーな状態である。すました顔して、まっとうな顔して、相当の狂いっぷりなのだ。作家は狂っているなんて言うけど、この業界を支え、愛している人だって十分おかしい。

理性では測りきれぬ何かがある。この狂気を黙って抑えておけばいいものだろうか。いや、出そう。出してしまえ。

と、いうわけで誰に望まれなくても、勝手に始めます。“出版業界の狂気シリーズ”。腐女子とかオタクとか、その存在感を示し始めた感はあるけれど、出版界の人間だって十分狂っている。我々のクレイジーさを見よ。これは生けるコンテンツだ。我々がコンテンツになる番が来たのだ。

出版業界の人のここが狂っている①調査オタク

出版業界の人が、自分で作家候補を見つけに行くこともあります。自分のようなエージェントであれば、なおさら調査してこの人は、と思うスターを探します。影からひっそりと。

(影から情報を収集する遠山の図)

書籍を世に出すには、途方もない苦労が発生するわけですから、一から発掘してくるのは容易ではありません。しかし、そこにすばらしい才能があれば、追わずにはいられない。いま、この人の持つ力は世に求められている、と思えば熱心に研究します。なぜこの人が必要とされるのか、売れるのかのバックデータもがっちり抑えています。

そして、熱い、熱すぎる思いの丈をこめて、アタックするのです。ときに重過ぎる愛をこめて。熱いメールがネット回線を駆け巡ります。

(あらためて客観視すると、直視できない何かがそこにはある・・・!!)

このようにして、苦労してアタックしても、実らないことのほうが多いのです。最終的に出版が決まらなかったり、多くは著者候補の方からお断りされるケースがほとんどです。まあ、あきらめないんですけどね。

そして、本当にごくまれに出版してもいいという著者にめぐり合えることもあります。実際にお会いして、出版の話を進めるのですが、その時点では相当のファンになっているのであります。実はこんなこともやっているんですよ~と、教えてもらうこともあるのですが、大体の情報はすでにつかんでいます。

はい。裏アカウントとか、過去のブログとか、ツイッターのつながりとかまで見てる。全部見てる。あなたのことが知りたくて、読んでいる。

まったくなんの利益にもならないことがほとんどだけれども、知っている。それは、あなたへの愛があるから。あなたの可能性を感じているから。あなたの存在そのものを、世界に届けたいと思っているから。

このような必ずしも成果につながらないことを繰り返している人は、ここまででなくてもこの業界にたくさんいるはず。我々は毎日、このような狂気を世界に垂れ流しているのです。およそ生産性とはかけ離れたことを。

さて、あなたはこの狂気を笑うでしょうか。それでもかまいません。あなたは、いったいどのポジションからこの記事を読んでいますか。私のことを笑うか、それともどこか相通ずるものがどこかにあるか。

(注:出版業界の狂気シリーズは、続きます)

▼自己紹介

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▼創作に携わる、すべての人にこれくらいのメンタリティでいてほしい②


▼創作に携わる、すべての人にこれくらいのメンタリティでいてほしい③


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