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〈富山アイコニック®︎〉春隣の空の下で

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3月に向けて制作を重ねる日々。〜vol.1〜

 写真は、2019年につくられた〈富山アイコニック〉のロング・ステムAの試作品第1号。商品化されたものに比べるとステム部分のガラスのボリュームもあり、バランスもどことなくズッシリとしている。しかし、この段階ですでにステムの中に富山の美しい自然の風景と凛とした空気を取り込むことがでていた。

 グラスのステム部分は、富山アイコニックのオリジナリティを産み出すものとなった。この部分の表現が製品全体のテーマとなり独自のフォルムと光、影がつくり込まれていき、更にブラッシュアップされガラスのもつ透明感や捉える光の美しさも伝わる「ラグジュアリー なガラス製品」となっていった。

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7人の作家たちが導く 2021シーズン の方向性。

 2021シーズンは岩坂卓、北村三彩、キム・ドンヒ、古賀雄大、小宮崇、小寺暁洋、下田顕生の7名のガラス作家たちにより新しいテーマを模索している。世界中で日々の暮らしや生活スタイル、人々の価値観までもが大きく変わりつつあるなかで、これからの〈富山アイコニック〉が目指す方向性について連日話し合われた。

 誰もが家で過ごす時間が多くなり、食事の楽しみ方も大きく変化する中で「おうち時間の豊さ」が注目されている。そこで「カジュアルな器を入れていこう」という方向を探ったり、また家であっても「ラグジュアリーな生活に寄せるべきだ」という意見に動かされたりしながら「日常の中にあるハレの日に使いたくなるガラスを・・・・」という方向性が導き出され、試作へと進んでいく。

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機能と美しさ、そして富山らしさの創造。

 何度となくおこなった試作を持ち寄り繰り返された新製品開発ミーティングではそれぞれの作家が持つ独自の技術も一緒にテーブル上に並べられる。ガラス作家として日々の創作のなかで見つけ出した技術を、惜しむことなく試作品の中に落とし込まれ公開された。それは富山らしさを創造するのに欠かせない魅せられたテクニックであった。更に宙吹きガラス技法で使いやすく美しいかたちをつくり出すためには、高い技術力も求められた。この高い品質とハンドメイドの技術は〈富山アイコニック〉というブランドのもっとも重要で、いままでにない富山ガラスのモノづくりの大切なプロセスとなったのである。

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繰り返し行われた検証と食卓の風景。

「もうひと手間かけなくては〈富山アイコニック〉にならない」と形状に、色に、技術を織り交ぜて試作は繰り返された。「そこまでやってしまったら価格が高くなりすぎる」「これでは宙吹き技法の良さが伝わらない」など侃侃諤諤(かんかんがくがく)と意見が交わされながら少しずつ完成形への道が見え始めてきた。

 もう一方で、料理家やフードスタイリストの力も借り、実際の食卓風景でも検証が始まる。季節ごとに移り変わる素材、さまざまな料理を楽しむことを想定しながら料理を実際に盛り、器の美しさや使い勝手も検証した。継続して制作されるアイテムも、より使いやすくエレガントなガラスであるための細かな修正が加えられた。この実験で、さらに高いクオリティとフォルムを目指し制作されることになった。これらテーブルを彩るアイテムは3月に東京で行われる新製品フェアに満を辞して登場することになる。〜vol.2へつづく〜

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(Food styling by Saki Sugioka)

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