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嫌いな人をどうすれば


嫌な人、苦手な人のことを思い浮かべる時、その人はあなたの頭の中で笑っていますか。




少し前まで私が「嫌だな苦手だな」と思う人達のことを思い浮かべる時、彼らは私の頭の中で笑っていた。

相手は私に酷いことを言ったりしたりして楽しんでいるのにとか、私の生活を脅かしているくせに彼らは幸せに暮らしているとか。そんな風に思い浮かべては、あいつ、私のことを踏み台にしておきながら…と悔しく悶絶していたのである。頭の中では「自分に害を及ぼす人が幸せで、自分が被害者」の図式が定番になっていた。なぜなのか、いつからかはわからないけれど。
あなたはどうですか?頭の中で相手はあなたのことを嘲笑っていますか?

でも、この頃考えるのだ。
果たして本当にそうなのかと。

私のことを嫌いだと思う人が10人いたとして、そのうち何人が私を困らせ楽しんでいるのだろうか。私が相手に激しく憎まれるくらい悪いことをした場合以外はおそらく誰も私のことなど、気にしていない。それぞれがそれぞれの毎日を生きるので精一杯なはずである。私自身も外で嫌な人がいても、家に帰ったら考える余裕もない。愚痴愚痴言うことはもちろんあるが、四六時中、相手のことを考えてはいられない。他人のことなどかまっちゃいられないのである。


ここで少し話を変えて、以前出会った私の苦手な(嫌いな)人についてお話ししたい。
周りはその人のことを「意地が悪い」と言っていた。私がその人と仕事をすることになった時、その人を知る人達(私の周りの信頼できる人達)が口々に「あの人は気をつけた方が良い」と忠告してくれたのである。

もちろん私は身構えた。「仕事がうまく行かなかったらどうしよう。やることなすこと批判されたらどうしよう」と、心配になった。

しかし本人と関わって分かったことがあった。その人は被害者意識が強く否定されるのが苦手でとても執念深い性格をしていたのである。

ある時、上司がその人を注意した。
傍から見ればごく普通の、そして仕事をする上で必要な注意だと思う。しかし、その人は注意の内容でなく自分を否定されたと思い傷つき、1週間は毎日上司の悪口を言っていた。その後、同じように上司のことを苦手に思う人を見かけると一緒に悪口を言って笑っていた。

その人が周りから「意地が悪い」と言われたのはそういうところなのだと思った。ご自身は深く傷ついていても、表に出る行動は「楽しそうに悪口を言う」なので経緯を知らない人が見ればただの意地悪である。

私には、その人をリードしなくてはいけない業務があったが、その場面を見てからは、あからさまに注意をするのはやめようと思った。
その人と一緒に仕事をすると実際に困ることも沢山あり、面倒だから好感はもてなかった。そんな日々が配置換えまで続いた。

もう1つその人のことを話したい。
その人はおしゃべりだった。身の回りの他愛もないことはもちろん、過去を恨めしく語ることも多かった。
話を聞きながら、その人は何でも他人のせいにするし他人の親切な助言さえ否定的に捉えてしまう考え方の持ち主なのだと感じた。生きづらい人だなあと思った。

私も生きづらい方だが、別の分野でその人も生きづらいようだった。

誰彼かまわず悪口を言い、あからさまに感情をまき散らす人には敵も多いだろうし、おそらく穏やかな生活を送れていないだろう。表面的に一時的なところを切り取れば相手は強くて楽しそうに見えるが、実のところ本人は傷つきやすく自信のない人なのである。だからその人のことを少しも羨ましいとは思えなかった。関わるだけ損。巻き込まれないように浅く付き合おうといつも距離を置いていた。

当時も今も、私がその人を思い浮かべる時、相手は幸せそうに笑ってはいない。多分これから先、その人が私を攻撃して笑う機会があったとしても、その人が幸せそうに笑う姿を想像できないと思う。

それは相手をよく知ってしまったからだ。
嫌いな相手のことを知りたくもないのが本音だが中途半端に知ることで嫌いになり、よく知ることで何かが振り切れたのである。

相手を地続きで考えれば自分と大差ない人に思えるし、むしろ自分の方が相手より優れている面が見つけられるかもしれない。

そんなことがあり、私の中で「嫌いな人=私を困らせて笑っている人」の図式が消え、
「嫌いな人=距離を置いた方が良い人=近くで巻き込まれると面倒な人」の図式に更新された。

相手のことを知り、冷めた目(客観的ともいう)で見ることができれば、嫌いな人に対して必要以上に消耗しないで済むかもしれない。

昔の時代劇のように「金持ちで幸せな悪代官が、正直者の貧しい町民を苦しめ、正義の味方が成敗してくれる」そんな勧善懲悪の世界なら思い切り相手を憎めてすっきりできるかもしれないが、この世界にはお金持ちで不幸せな人もいれば、貧しく嘘つきな人もいる。さらに争い事にはそれぞれ言い分があるから、いくらヒーローでも簡単に一刀両断はできない。

そんな世界で生き延びるために、自分なりにダメージの少ない考え方をしたいと思う。

思い切り憎むことですっきりする方もいらっしゃるだろう。でも私の考え方でこの話を続けるなら、人を憎むのはとても疲れることだ。そんな暇があるならダラダラしていたほうが良い。

そこで結論として

嫌いな相手、苦手な相手には深く関わらない。巻き込まれないようにする。

もし関わって傷ついたり不利益を被ったりした時は、被害が酷くならないように適切なところに相談する。続くなら記録を取り、然るべき相手に報告する。でもそんなことをするには労力がいるから、極力関わらないようにする。

これからしばらくはそのようにして、穏やかな暮らしを目指したいと思う。