“選挙に行こう!”運動を叩き潰すための作戦会議・その4

 【外山恒一の「note」コンテンツ一覧】

 〈「その3」から続く〉
 〈全体の構成は「もくじ」参照〉

 2015年12月16日におこなわれた東野大地&西南大M氏との座談である(紙版『人民の敵』第17号に掲載された)。したがって基本的には古い話題ばかりであることはお断りしておく。しかし、“古くなっても面白い!”があらゆる外山コンテンツの自慢である。

 東野大地は我々団の党員、「M」君は、当時「西南学院大学アナキズム研究会」の“議長”で、外山が2014年夏以来、年2回のペースで開催している「教養強化合宿」の第1期生でもある。
 第3部は原稿用紙換算18枚分、うち冒頭6枚分は無料でも読める。ただし料金設定(原稿用紙1枚分10円)はその6枚分も含む。

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  “意識高い系”にとって「ファシズム」とは?

外山 しかしどっちが民主主義についてマジメに考えてるかと云えば、客観的に明らかにこっちだろう(後註.第1部冒頭で言及されている「アイボート」の活動を具体的に粉砕するための作戦会議が続いている)。

東野 嫌われそうだ……。

外山 でも実際、“民主派”の反応も割れると思うよ。我々の側を支持する人は、これまで「選挙に行こう!」と云ってた人たちの中にも出てくると思う。福岡のアイボートがビビって引いたら、やっぱり関西や東京に出張って攻勢をかけるだけの価値はありそうだ。

東野 野間(易通)さんにもますます嫌われそうだ……。

外山 この件でもし明白に反外山の側についたら、それこそ野間さんのニセモノ性が暴露されちゃうことになるよ。

 やっぱり野間さんの方が“サブカル”だった、ということになりますよね。

外山 そもそもこんな“投票割引”とか、我々より先に「民主主義を守れ」だの「民主主義って何だ!?」だの云ってる連中が怒るべきことだし。……東京でやる方が反応があることは分かってるからなあ。
 福岡のアイボートなんか、この抗議文(後註.未公開文書。もちろん「アイボート」への、公開質問状のようなもの)を書き上げた今の段階ですでに勝利してるようなもんでしょう(笑)。向こうは「ファシスト」なんてものがこの世に存在するなんて思ってもみないだろうしね。

東野 「ファシスト」って何なのか、そもそも分かるのかなあ。

外山 さすがにこういう活動をやってるんだから、「ファシズム」ってのが何かとても良くないものだという認識ぐらいあるでしょう。

東野 いや、それすらない可能性もあると思いますよ。

外山 そうかなあ。もちろんファシズムってのがどういう政治思想で、どういう思想的・哲学的背景を持ってるか、歴史的背景を持ってるか、そんなことはそこらへんの政治学者だって知ったかぶりしてるだけなんだから、ましてアイボートの学生が知ってるわけないけど、「とにかく悪いものだ」ぐらいの認識はあると思いたい(笑)。

  読む側を萎縮させる抗議文の書き方

東野 それにこの抗議文、「愚劣きわまりない」とか「愚弄」とか……今どきの学生はもうマンガの中でしか見たことないような語彙ですよ(笑)。

外山 今回使った一番難しい言葉は「使嗾」(そそのかすこと)だと思う。

 あ、ぼくその字、読めませんでした(笑)。

東野 マンガにも出てこない熟語(笑)。

外山 ネトウヨとか、頭の悪い右翼だと思われないようにしようと、わざと要所要所にそのテのワードを散りばめてる。「民主主義が容易に衆愚制へと転化する可能性は、プラトン以来さまざまの哲学者・思想家が指摘してきたことは誰もが知るとおりですが……」とか(笑)。

東野 「古代ギリシア以来」云々ってくだりですね。

外山 柄谷行人の本とか読んでてもよくあるじゃん、「周知のとおりヴィトゲンシュタインは……」とかって、ちっとも“周知”されてなさそうなことを引き合いに出して、「いやいやこれはきっと知らないオレの方が非常識なんだろう」と読む側を萎縮させる書き方(笑)。

 でも「衆愚政治」なんて言葉は、高校の倫理・政経とか世界史の教科書でもかなり重要なキーワードではあると思いますよ。

外山 うん。一定の素養がある層にはとくに難解な概念でも何でもない。

 アイボートに参加してる学生の多くはやっぱり文系だと思うし……。

東野 しかし“一定の素養”があればアイボートなんかに参加しないでしょう(笑)。

外山 それに“素養”はあくまで必要条件であって十分条件ではないから、素養があってもバカはバカですよ。それこそ青木大和だって慶応じゃん(笑)。

東野 そうか……。

外山 増山麗奈だって東京芸大ですよ。

東野 中村政人(紙版『人民の敵』第3号第11号での東野および山本桜子による徹底批判参照)も東京芸大ですね。

外山 単に出身ってだけじゃなくて中村政人は今や教えてる側じゃないですか(笑)。そもそもこういう話を始めたら、シールズを絶賛してるのだって高学歴インテリばっかりだ。

  ファシストなりに“民主主義を守る”運動

外山 ……「選挙改革案」はいつ発表してもいいし、むしろ早く発表した方がいいだろうけど、問題は「抗議文」の方だな。あんまり早く発表して、まだ選挙ムードも盛り上がってないうちから向こうがシュンとしちゃうと話題になるチャンスを逃しちゃうし。

東野 向こうが簡単に撤退しちゃったら、「なんで簡単にあきらめるんだ」って追及したらどうですか?(笑)

外山 ラーメンズの、NHKの集金人を追い返すコントみたいなやつね。簡単にあきらめられると、「もっと来いよ!」っていう(笑)。
 ……むしろこっちが逆のこと始めちゃうのは? “投票割増”?(笑) 投票に行かなかったことをどうにかして証明すると、割引してもらえるの。

 ムチャクチャだ……。

外山 でも論理的には破綻しないと思うんだ。こっちは“真の民主主義者”として、「金銭的利得で投票に行くとか行かないとか左右されちゃうような奴はそもそも投票に行くべきでない」って云ってるわけで、「投票に行ったら割引」というのは民主主義を腐敗させるけど、「投票に行かなかったら割引」というのは、そういう奴らを投票に行かせないという、“民主主義を守る”運動だもん(笑)。

 そうか、なるほど! ズルい(笑)。

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