【外山恒一の「note」コンテンツ一覧】

　〈「その２」から続いてこれで完結〉
　〈全体の構成は「もくじ」参照〉

　2017年３月24日におこなった、九州ファシスト党“芸術部門”＝『メインストリーム』編集部の２人つまりスタッフＳ嬢こと山本桜子および東野大地との短い座談会である（他に外山主催の「“現役学生限定”教養強化合宿」の６期生でもある、福岡の西南学院大アナキズム研究会の“副議長”で、現在はすでに卒業し東京で「早稲田アナキズム研究会」を主宰しているＨ氏も参加）。
　この第３部では、まさに「なごやトリエンナーレ」の話とも関連してくる“街おこしアート”批判、助成金まみれの現代美術シーンへの批判的介入の謀略が練られ……実現性も、実現したとしてその効果についてさえも「？」だが、この“悪意あるバカバカしさ”は我が身内のことながらスゴイと思う。

　第３部は原稿用紙17枚分、うち冒頭６枚分は無料でも読める。ただし料金設定（原稿用紙１枚分10円）にはその６枚分も含む。

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　“助成金アート業界のドン”を監視するファシスト党員

山本　前にも話したけど（紙版『人民の敵』第11号）、在特会のデモの解散地点が警察の誘導の結果としてたまたま３３３１前になった時に（後註．山本・東野が従前より“街おこしアート”や“助成金まみれアート”の主導者と見て執拗に攻撃対象としてきた中村政人氏が主宰する「アーツ千代田３３３１」のこと）、リベラル政治学者の五野井郁夫って人が、「３３３１がケガれる」とか云ってて、しかし３３３１がリベラル的な“正義”の側かと云えば全然そんなことなく、あれはあれで……。

外山　在特会とはまた別種の“悪”?

山本　うん。中村政人さんが最近、３３３１を牙城として“アート・プロジェクト・スクール”みたいなのをやってるんです。それは彼がかなり前から温めてた計画が今年から動き出したんですけど、彼の構想としては、まず2020年の東京オリンピックにアーティストたちがさまざまな形で貢献した上で、その後は“東京ビエンナーレ”をやりたいらしいんですよ。

外山　むしろまだなかったのか、“東京ビエンナーレ”（笑）。

山本　うん、まだない（笑）。その“東京ビエンナーレ”開催につなげていく布石として、まあ我々の“教養強化合宿”みたいなもんで、全国から“アート・プロジェクト・スクール”に受講者を集めて、“アート・プロジェクト”のノウハウを、経済的側面とかマネジメントの側面とか身につけさせて全国に送り返すっていう。

外山　“悪のマニュアル”を叩き込んで、“悪の道”に染め上げるわけですな。

山本　そんなふうにして各地に“中村政人系”の“アート・プロジェクト”の団体を増殖させていこうとしてる。たしか今ちょうど第１期生がいろいろ教え込まれてる段階だと思う。

東野　期間は２、３ヶ月だったでしょ？

山本　うん、意外と短い。

東野　中村政人が構想してる“東京ビエンナーレ”って、従来の普通のビエンナーレとは違うものみたいで……。

外山　“不可視のビエンナーレ”？（笑）

東野　ある意味そうとも云えるかもしれない。詳しくは覚えてないけど、東京じゅうでいろんなアートがらみの出来事が起きてるその総体を“東京ビエンナーレ”と捉える、みたいな話だったような気がする。

外山　まあ、相変わらず“我々団芸術部”は中村政人界隈の動向に目を光らせている、と。

山本　最近ちょっとオロソカになってるけど。

東野　でもそういう、“サイトから安倍昭恵がらみの情報が消えてる！”みたいなことに気づけば（後註．「第２部」の有料部分で言及した、“森友問題”がメディアを騒がせたためか、安倍昭恵も発起人の１人として名を連ねる「神田くすのき会」なる謎の団体から資金援助を受けているという話が、３３３１のサイトからいつのまにか消されていた、的な話）、ちゃんとツイッターとかで話題にするぐらいのことはやってますね。“目を光らせてるぞ”ってポーズは見せてる（笑）。

　アート業界の犬

外山　しかし前々から疑問なんだが、日本のアート界とくに現代美術シーン全体の中で、その中村政人って人はどの程度の存在なの？

東野　うーん……90年代以降の日本の現代美術シーンではかなり名のある存在ではあると思いますよ。

山本　ベネチア・ビエンナーレとか、そういうわりとガチの“権威ある”ビエンナーレに、もうだいぶ以前（01年）に日本代表として出品したりしてる。……中村政人の秋田犬を誘拐しよう、って話もしてた。

外山　秋田（大館市）にも中村政人系の“アート・プロジェクト”があるって云ってたね。そこのマスコットみたいな犬なんでしょ？

山本　うん、“ノノちゃん”っていう。

外山　誘拐して、代わりに別の犬でも置いてきたら？（笑）

山本　チワワとかに……。

外山　あるいは逆にドーベルマンとか、とにかく一夜にして変わり果てた姿で同じ犬小屋につながれてるの。なんなら猫でもいい（笑）。

山本　“アートで街を元気にするために頑張ってる犬”みたいな触れ込みになってて、しょーもないことに酷使されて可哀想ですよ。ノノちゃんのツイッター・アカウントというのもあって、たぶん犬ではなく人間が書いてるんだと思うけど……。

外山　そりゃそうだ（笑）。

山本　「今日も頑張りましたノン」とか呟いてるわけです。写真集も出てて、「今日はお昼寝ですノン」みたいなキャプションがついてたりする。そういう、“動物に自我の表出を代行させる”とでも云えばいいのか、そういうのはとっても良くないと思う。

外山　じゃあノノちゃんを“盗撮”して、本当はこう思ってるかもしれない“本音”をキャプションにつけた写真集でも作って地下流通させたら？（笑）　意外と難解な用語を駆使して“現代アート批判”をやってたり……。

山本　それいいかも。写真撮りに行こうか？

外山　あとツイッターの“裏アカウント”を作って、「今日も丸１日、エゴが肥大して自己承認欲求でマズいことになってる人間にずっと付き合わされて疲れたノン」とか呟く。プロフィール欄には例によって「たまに毒吐きます」とか書いてあるの（笑）。

東野　「失うものは鉄鎖のみ……」

山本　たしかにリアルに鉄鎖につながれてる（笑）。

東野　「万国の“アートで街を元気に”させられている秋田犬よ、団結せよ！」

山本　そんなの１匹しかいないよ。

外山　でもまあ、人間の愚かさについて真摯に考察する、ノノちゃんの別アカウントがあってもいいだろう。

山本　東野さん、作ってください。

東野　「そもそも私は“ノノ”ではない」

外山　それ最高！　……そうだよ、裏アカでは“秋田犬Ｘ”と名乗るんだよ（笑）。“ノノ”は支配者どもに与えられた“奴隷の名前”だ！