外山恒一&藤村修の時事放談2015.11.26「しばき隊“闇のキャンディーズ”事件を語る」(その1)

 【外山恒一の「note」コンテンツ一覧】

 〈全体の構成は「もくじ」参照〉

 紙版『人民の敵』で一貫して好評コンテンツだった、福岡在住の“天皇主義右翼(!)”藤村修氏との“時事放談”シリーズの初回である。
 対談は2015年11月26日におこなわれ、紙版『人民の敵』第15号に掲載された。

 “時事”とはいっても“安倍政権がどうこう”的な天下国家的な話になることはあまりなく(たまにはある)、多くは左右の政治運動シーンで生じる諸々の出来事が主要な話題となる。
 とくに藤村氏が“しばき隊”の野間易通氏の“ある種の”熱狂的ファンである関係上、話題はどうしてもそっちに偏りがちではある。初期しばき隊の主要メンバーの1人であった清義明氏をして、藤村氏を“しばき隊評論のトップランナー”とまで呼ばしめた、いわゆる“しばき隊リンチ事件”をめぐっての名対談はこの約半年後の第2回“時事放談”(紙版『人民の敵』第21号に掲載。そのうち「note」でも公開する)だが、この初回にしてすでにその片鱗は現れているだろう。
 この15年11月当時の運動シーンの状況としては、13年はじめに結成された「レイシストをしばき隊」はすでに14年10月に「クラック(対レイシスト行動集団)」と改称しており、引き続き各地(およびネット上)で「在特会」などと衝突を繰り返していた。しばき隊と親和性の高い学生団体「シールズ(自由と民主主義のための学生緊急行動)」は、その前身である「サスプル(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)」をこの15年5月に再編したもので、翌16年8月に解散を表明するから、この対談時まだ「シールズ」として存在している。その他、細々とした出来事については本文中でその都度、説明が入る。

 なお対談中では正確に「クラック」の語が主に用いられているが、一般には「しばき隊」の名称のほうが浸透しているから、まず「もくじ」などでおおよその内容を把握したい人の存在を念頭に、小見出しには「しばき隊」の語を用いた。

 第1部は原稿用紙換算14枚分、うち冒頭4枚分は無料でも読めます。ただし料金設定(原稿用紙1枚分10円)はその4枚分も含みます。

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 “闇のキャンディーズ事件”

藤村 (紙版)『人民の敵』を改めて読み直すと、どのコンテンツもかなり濃密だよね。早いうちに(第2号アイドルの話をしといて良かった(笑)。他の人たちはそんな話題は持ち出さないもん。

外山 いや、あのアイドル論は面白かったよ。あれはいいコンテンツだった。……とりあえず飲みましょう。勝手に飲みます(と、缶ビールを開ける)。

藤村 あ、私も(と、缶ビールを開ける)。……もう録音してるの?

外山 うん、一応。

藤村 しかも何だコレ、ICレコーダーじゃないか

外山 最新兵器(笑)。

藤村 テープレコーダーを使ってなかった?

外山 夏ごろかな、大阪で山本桜子と東野大地(いずれも九州ファシスト党〈我々団〉メンバー)が千坂(恭二)さんにインタビューした。ぼくも同席したんだけど、BGMとか他の客の話し声とか、かなり騒がしい喫茶店で、東野がICレコーダーで録音してて……だけど後で聴いてみると、とんでもなくクリアに録れてるの。衝撃的だった。テープレコーダーだと絶対、起こす時にメチャクチャ苦労してる。それでついにぼくもIT革命に屈して(笑)、東野と同じICレコーダーを買いました。

藤村 テープレコーダーにこだわってたでしょ?

外山 それは文字起こしする時の操作性の問題。その点は今でもやっぱりテープレコーダーの方が圧倒的にいいと思うけど、それも肝心の音声がうまく録れてた上での利点だからね。聴き取りにくくて何度も巻き戻しするんだったら、操作性は悪くても1回聴けば何と云ってるか分かるICレコーダーの方が、時間は節約できる。

藤村 なるほど。……ところで今日は何の話をしましょうか。運動方面の最近のトピックなら、「クラック」(「レイシストをしばき隊」の後身団体)界隈と高島章弁護士のバトルとかかな?

外山 その件はあんまりよく知らない。高島弁護士って、たぶんツイッターでぼくにも肯定的に言及してくれてたことがある人だと思うけど……。『スレッド』(『嫌韓流』の版元・晋遊舎が07年に創刊し3号で終刊した、ネトウヨ向けの月刊オピニオン誌。外山も「ネット右翼矯正収容所」と題した連載を持っていた)に書いた「法治国家」の定義に関する文章(「我が国は“法治国家くずれ”である」。現在は外山のサイトに掲載)を何度か紹介してくれてたのが、たぶんその弁護士。ツイッターにアカウント、あるよね?

藤村 うん。で、この高島さんがクラックの“闇のキャンディーズ”って人にツイッターでボロクソに書かれて、逆襲したという話。

外山 大阪にいる間(11月5日から21日まで、同22日投開票の大阪ダブル選で“ニセ選挙運動”を展開していた)、情報源はほとんどツイッターだけで、もともと世情に疎いのがますます疎くなってたからさ。それでも新潟日報の報道部長がどうこうって話は、チラッと見たような気がする。……(藤村氏がまとめた資料を見て)なるほど、その“報道部長”ってのが“闇のキャンディーズ”の正体だったのか。

藤村 そういうこと。高島弁護士が調べて暴露した。


 しばき隊vs高島章弁護士

外山 “闇のキャンディーズ”はクラックのシンパなんだね?

藤村 “シンパ”どころか、メンバーでしょう。

外山 新潟の人なのに?

藤村 福岡にも「クラック九州」があるのと同じように、新潟にもあるんじゃない? まあ、クラックの正規メンバーかどうかは知らないけど、クラック系のカウンター勢の一員だよ。少なくとも(在特会などへの)カウンター行動の現場にも何度かは参加してるみたい。

外山 そういう人が、なんでまた高島弁護士を誹謗中傷したの?

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