5月11日、ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが亡くなった。その報せをスマホで知った時は、
「まだ61歳なのに…」
　と、目が真っ暗になった記憶がある。
　元々俳優志望だった上島さんは、1985年にダチョウ倶楽部のメンバーとなった。
　当初は、リーダーが現在電撃ネットワークの大黒柱である南部虎弾氏が務めていてメンバーには肥後克広さんや寺門ジモンさんがいる。ダチョウ倶楽部が全国区になったのは「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」（日本テレビ系列、当時の人気番組であるアメリカ横断ウルトラクイズのパロディーだったように思う）。
　当時の芸人たちが体を張ったクイズに挑んだが、その中でもダチョウ倶楽部は「聞いてないよぉ」などの名台詞を残した。特に「聞いてないよぉ〜」は1993年の流行語大賞にも選ばれ、もう一つの名台詞、「つかみはOK」はTBSでダチョウ倶楽部がメインのバラエティー番組のタイトルとなった。
　やがて、ふとしたきっかけから志村けんさんがメインの番組に出るようになった。「バカ殿様」では家来役、「だいじょうぶだぁ」や深夜の冠番組ではさまざまなコントにもトライした。特に志村さんと上島さんの師弟関係は、ドリフターズのいかりや長介さんと志村さんに近いものがあった。
　後輩からも慕われていた上島さんは「竜兵会」を立ち上げた。土田晃之さんや劇団ひとりさん、有吉弘行さんら後輩と飲みに行く機会があった。特に有吉さんが猿岩石の解散で苦しかった時に、手を差し伸べてくれたのが上島さんだったのだ。それほど芸人を慕い、芸人に慕われた存在はいない。
　ただ、２年前に師匠の志村さんが亡くなってからは元気がなかったという。しかも竜兵会で飲みに行く機会が減ったのも事実だ。それでも上島さんはドラマにも多く出ていたし、まだまだ大丈夫だろうと思った。
　その矢先に届いた訃報。きっと天国で志村さんに怒られていることだろう。
「お前なぁ、俺のとこに来るのは早すぎんだよ！　まぁ、俺もいかりやさんや注さん（荒井注さん）にまだ早すぎんだよ！って怒られたけどな」
　それも志村さんらしいペーソスある笑いをこめて。そんな言葉で笑いながら怒っていることだろう。天国で志村さんと上島さんが人々を笑わせてくれると信じたい。