反出生主義の断章

【与太話1】
今日は暑いですね
こんなに暑い日にエアコンが壊れるとか、
停電になっちゃうとか、断水されるとか
産まれさえしなければ
そんな目に遭うことはありません


【論駁1】
幸せかどうかは子供が決めるから
産まないのは親の勝手である
反出生主義は、子供の可能性を奪うことである

おおかたの人の可能性など、
たいしたことはありません
ほとんどの人は
ただの労働者になるはずです

可能性といえば、
障害を負う、病気やけがをする
事件や事故を起こす、あるいは巻きこまれる、
社会的な不適合に陥るなどの可能性もまた、
生きる過程で、誰にでもあります

いや、重い軽い、一時的かずっとか、など
個人差はあっても必ず誰にでもあります

子供が「不幸だ」と考えたとき
安楽死してやれますか
それができないのに産むのは無責任ではありませんか

そもそもあなたは、そんなに人生が楽しいですか
苦しいこと、嫌なこと、腹の立つこと、
悲しいこと、面倒なこと… たくさんあるでしょう

なお、
死にたくない=生きたい、
死ぬのが怖い=生きるのが幸せ
ではないので、
そこを混同しないように



【論駁2】
少子化で、社会が成り立たなくなるから産め
あなたは働かせるために
子供産む(産んだ)のですか? と尋ねましょう

また、あなたの子供がニートにならないと、
なぜ言えるのでしょうか

子供が働くとして、労働者のほとんどは
生活のために働いているのではないですか?
楽しくて働いている人がどれほどいるでしょうか

生活のため、なら、まだましかもしれません
企業のため、国のため、福祉のため
したくもない労働をしているのではありませんか


【論駁3】
少子化で、介護する人がいなくなるから産め

これも、あなたは介護をさせるために
子供を産む(産んだ)のですか? と尋ねましょう
たいしたエゴイストです

子供がロボットのように従順に
介護をしてくれる、とは限らないことも
指摘しておきましょう


【論駁4】
それでもやはり人が生き、苦しむことには意味がある
人は苦しんで成長するものだ

んなわけねーだろ、たわけwww
おっと失礼
苦しみに意味をみいだせる
マゾヒストばかりではございません
人間として成長したからなんなのでしょう
どうせ老いて病んで死ぬのに
(中二病かww)

というか、苦労が必修科目みたいな価値観、やめませんか


【挿話1】
イタイ人だなあ、と読んでいる、とあるツイッターの話
赤ん坊を育てています
あるとき、電車の人身事故に遭遇して、
「早く帰りたい、あ、自分の電車動いてる、ラッキー」としか
とらえないことに、どんびきしました

レールの上しか走らない電車で
人身事故が起こる意味を考えたことはないのでしょうか

あなたの子供が将来苦しみ、絶望した挙句
自殺するかもしれない、と
想像もできないのでしょうか

あるいは、あなたの子供が
他人を(直接・間接に)死に追いやるかもしれない、と
考えたことはないのでしょうか

どんな人でも幸せ100パーセントで
生きることはできないのです

【挿話2】
ちなみにこの人、今第2子妊娠中で、
胎児の心臓に結構な障害があることがわかっているそうです
なんとおいたわしい…この人じゃなくてその子が
あなた開胸手術を受けたことがあるのか
とんでもない苦痛を背負わせるのに、
そこはなんとも感じないのか…親とは鬼ですね


【挿話3】
電車ネタもうひとつ
私の近くの駅にもホームドアができています

ラッシュ時や酔っぱらいの事故防止、といえば
それまでですが

事故以外のなにか
都会のホームの端の青いランプの理由
逃げることは許さない、ただ働け
そんな都会のメッセージを聞いたような気がしました


【挿話3】
夫婦に一人息子、小学生

ちょっとニートの話をしたときの
奥さんの反応
「そんな子供やだ!」

この夫婦「貯金ができない」といっておりまして、
老後については
「…くん、がんばって」といっていました

今は大事に育てられているようですが
‐それが幸せかどうか、は別に
ツイッターのどこかに書いてます‐
この少年の将来はいかに


【挿話4】
事故で障害が残った人のドキュメンタリー番組を
みていて、うちの親の一言
「親がかわいそう」

わたしゃ親じゃないのでわかりませんけど
この人にとっては
子供は別の人間ではなく、
自分の作品かなにかなのでしょう

私のすることなすこと
作品として、大変気に入らないようですが
それはまた別の話です


【アイデア1】
そんなわけなので、
新婚ほやほやの夫婦、
作っちゃった婚を狙うバカップル、
精神的においつめられた愛人さんなどをあつめて
「はじめての反出生主義講座」なんか
できたらおもしろいですね

われわれは、気がついたらそこにいた
産まれたくて産まれてきたわけではない

おっと大切なこと
2億の精子が競争して卵子目指して
走って走って…というのは勘弁してください
精子も卵子も人間ではありません
それは親側の生殖細胞であって、
子供ではありません

子供を作るのはなぜか?
そこにエゴイズム以外の理由はあるのか?

まあ生物なので普通にしていて
「繁殖に疑問をもつ」ことは難しいでしょう

人間をつくるなんて大事業の前に、
欲や自己愛、伝統への服従をいったんわきに置いて、
「自分の頭で」「子供の立場に立って」考える機会が
あってもいいとおもうのです

*この記事は2019年7月の弊ブログ記事に
 一部加筆・訂正したものです
 今読んでも別に悪い気がしないので
 (反出生主義者とナルシストは両立する)
 転載いたします