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1964年と2020年の東京オリンピックの間に。

2020年の東京オリンピックまで1年だそうです。
2015年に書いたブログの再録です。

もめにもめてる新国立競技場問題。ようやく白紙に戻して、再検討となったものの、さてどうなることやら。近所に住むものとしては、様子をみておかないとと思いひさびさに足を運んでみた。

以前、このあたりを散歩していて偶然発見した、都営霞ヶ丘団地内のレトロというか、さびれかけた「外苑マーケット」。看板にあるように、鮮魚やフレッシュ!野菜・果物、米に精肉、ドライクリーニングや、文房具、雑貨、なんでもあり。コンビニなんかない時代、ここに来れば、一通りのものは揃ったんだろう。入り口で看板に見入っていたらおじさんに話しかけられた。

「ふしぎなものがあるな〜、て、顔で見てるね」

雑貨、タバコ屋のご主人でした。「どうぞ」と招き入れていただくと、正面右がおじさんのお店。ほとんどたたんだような状態、タバコや洗剤、ふとんたたきなど、昭和な生活雑貨が残ってる。今年いっぱいでここも出ないといけないらしく、日々、片づけをしてるそうだ。

「あ、ごめんよ、たばこ吸ってる」
「タバコ屋だからねぇ、かんべんして」

片付けているのは、商品ではなくて、おじさんが子どもの頃に描いた絵だとか、写真、町内会の手描きの案内。何枚か見せていただいたが鉛筆書きの丁寧な絵。渋谷川、国立競技場、周辺のいまはなきなつかしい風景。この近くの明治公園で生まれ、この都営霞ヶ丘アパートができてから、50年ずっと商売しているそうだ。

「さびしいよね」

聞けば聞くほど地元愛を感じる。1964年と2020年の東京オリンピック、ふたつのオリンピックに悩まされてる。

「個人的には、東京オリンピック反対。でも、しょうがない。どうせつくるなら、税金もむだにせず、のちのち意味のある建物にしてほしいよね。」

雑貨屋と奥の八百屋だけが残ってる。

おじさんと別れた後、周辺を歩いたが、国立競技場はなくなって更地に。日本青年館も大穴があいて、大型トラックが残骸を運んでる。そこにあったはずのものがどんどんなくなる。

大友克洋さんの「AKIRA」で、2020年に東京オリンピックが開かれるという設定が、リアルになったと話題になったこともあった。2020年、ぼくらはどんな未来をむかえるのだろ。おっと、いけないいけない、人ごとじゃない。未来はじぶんで選択するんだ。



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