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就活の失敗は逆にチャンス 日本の大卒・職歴なしがShopifyで働きはじめるまでの話

2016年5月。フロリダへの留学から日本に帰ってきた自分はすでに大学6年生。周りがとっくに就活をはじめている中、あまり焦りもせずにちょこっと就活のイベントに行ったり、気ままに過ごしていた。

なぜか?

絶対に入社したい会社があったのだ。そこはスポーツメディア関連の会社。9歳から野球を見はじめて、ロペスとディアスが大好きだったカープファンの少年は、その日までに累計1,000試合くらいはカープ戦をテレビで見ていた(そのせいでポップカルチャーの知識はゼロ)。さらに毎週末にはNFLや大学アメフトの観戦。さらにWWEが大好きで、MLB、自転車、ラグビーなど様々なスポーツを無差別級に見まくっていたので、日本のスポーツ中継が抱えている問題に関していっぱいアイデアを持っていた。その企業はまさに自分が興味を持っていることを仕事としていたのだ。

ということもあり、単勝1点勝負で就活を乗り切ろうとしていたのである。自分が競馬をやるときには絶対に賭けないベットの仕方。キタサンブラックにもアーモンドアイにも単勝は買わない。広く浅く保険をかけるタイプの人間なのに、このときは絶対に受かる自信があった。面接の練習は人生で一度もしたこともなかったし、筆記試験の勉強もゼロ。それでも入れると確信していた。

試験や面接もうまく行き、残すは最終面接。そこでもなんとかやりきった。そして、内定の通知がくる…ことを確信していた。

しかし、まさかの不採用。最後まで行ったのに。自分こそが最適な人材じゃないのか?俺を採用しなきゃ誰をとる?

しばらくは何も考えられなくなった。季節はもう11月。自分が興味ありそうな日系企業の採用は全部終わっている。さて、どうしようか?

当時は将来的にはアメリカに住みたいと思っていたから、見にくい就活サイト(Indeedさんあなたのことです)でフロリダの職を見たりした。もしかしたらヨーロッパにワーホリでもいいかもしれない。逆にこのピンチは長期的に見たらチャンスでは?とポジティブにとらえて、みんなが気づいていない仕事や自分にぴったりの仕事があるかもと探し回っていた。

そんなときにたどり着いたのが野球のメディアの仕事である。今回の主題ではないので、多くは触れないが、Facebookで求人を出しているのを見て、さささと記事を書いて送ったら(人生ではじめて記事を書いた)、まさかの採用。卒論を書き終わったら働くことになった。しかし、他にもできることがあるのではないか?そう考えて、Wantedlyに登録した。(アフィじゃないよ)

Wantedlyにはプレミアムプランがあって当時は1週間の無料体験ができた。このプランの特徴は、企業からのスカウトメールがいっぱい受け取れることらしい。ということで、実際に登録してみたら、いっぱいメールが来た。その中に一通のメッセージがあった。一通だけきた英語のメッセージ。それが今働いている会社「Shopify」で日本にチャンスを見出していた前カントリーマネージャーからのメッセージだった。

詳しい内容を書いていいのかわからないから要約すると、「日本でやる気のある人を探している!」という内容だった。BDマネージャーを探しているらしい。もちろん、大学卒業すらしていない社会経験がない自分は対象にされていないはず。なのに、なぜかメッセージが届いた。とりあえず興味があるという旨を伝えた。そうしたら、今度Skypeで話さないかと。そんなこんなでShopifyとの関わりがはじまった。Shopifyという名前が日本でマジで無名だったとき。2016年12月のことである。(ちなみに当時はスカウトメールを送っても色んな人に無視されたという話を後日談で聞きました)

Shopifyとは誰でもネットショップを作ることができるカナダ発のサービス。当時、Twitterで検索をかけてもほぼ誰もつぶやいていなかった。一部の人には知られていたみたいが、日本ではEC業界であっても海の向こうの存在。まさに超無名。

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当時のTLの様子(1日1ツイートくらい)

もちろん自分もShopifyは知らなかった。そもそもなんて読むのか?というところからだ。英語の発音を調べるためにYouTubeで色々な人がShopifyについて語っている動画を観まくった。どうやら「ショッピファイ」とか「ショップファイ」と発音されるらしい。サービス内容についても研究したが、単にすごそうだというのが率直な感想。ECのバックグラウンドがないから、フラットに見ることができた。競合他社はたくさんあるようだが、どこか一社が独占してるわけでもなし。チャンスがある。そして、もしかしたら外資系で最新のサービスを提供している会社で働けるかも?

幼い頃からこれと言った将来の夢なんてなかった。大学に進めば見つかるかもと思ったけど、4年間過ごしても特に見つからず。学生時代は4年間アメフトをプレーした関係で5年生でアメリカに交換留学をしたが、そのときに触れた数多くの向こうのサービス(AirbnbとかUberとかSnapchatとかTinderとか)を日本で広めたいという思いはなんとなくはあった。ただどうやって?という話である。そういうツテはないので、とりあえず自分の興味のある分野で探していたところ、前述の職を発見して一目ぼれしてしまったのだ。

はじめてボスとSkypeで話したときにどういう話をしたのかは覚えていない。ただ画面の向こうにいるカントリーマネージャーはすごく若そうだと思った。30歳くらいだろうか(本当は40近い)。そのときに日本向けのローカライゼーションをしたいみたいなことは言われた気がする。実際にShopifyで最初にやった仕事はホームページの翻訳。コードが送られてきて、それを翻訳した。

その後も定期的に送られてくるファイルを翻訳しながら、Shopifyとの関わりを深めていった。そして2017年3月23日、Shopifyはカナダ大使館で日本初のShopify ミートアップを開催。こんな感じで実は豊田もいます。

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はじめてのミートアップの写真@カナダ大使館

とても運が良いと思ったのは、ミートアップの前日にWBCで侍ジャパンが米国代表に負けたことだ。もし、侍ジャパンが勝っていたら、決勝戦の日程とミートアップが丸かぶりで、記事を書いていたので、大使館には行けなかった。もし、大使館に行ってなかったら別の人生を歩んでいたかもしれない。

当時は肩書きも何もなかったのでただのバイト扱い。かっこよく言えばフリーランスの翻訳家(大学は2017年3月に卒業できた)。ボスは僕をインターンさせたいと考えていたようだが、リソースがゼロの日本チームで受け入れるのは不可能だし、そもそもカナダ以外でインターンを雇ったことがないから、機が熟すまで!ということで先延ばしにされていた(ちなみに後にも先にも日本でのインターンは自分のみです)。ちなみに、この頃のShopifyが日本で何をしていたのかはShopify Japan第一号社員の上野さんがここで書いています。

余談ではあるが、当時はShopifyが管理画面を多言語化(日本語化)することなんて「絶対に」ありえないと言われていた。ただ、それでは日本人には広まるわけがないので、Chrome拡張機能で翻訳するプラグインが提供されていて、自分たちでも作った。ここからまだ使えると思います。

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公式に日本語版を公開したときの写真(日本っぽい場所=渋谷みたいな安直な考えから)

Shopify側のリソースも日本進出の予算もないからこそ、自分みたいな安価でなんでもやってくれる労働力が意外と重宝されたのだろう。そこには特定のスキルは必要なく、頼まれた仕事をする確実に遂行する能力があれば良い。ただ、与えられた仕事を全力で行った結果、10月からはインターンとして働くことになり、2018年の4月には正社員として契約。コンテンツストラテジストという肩書きで、Shopify Japanで働くことになった。

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というのが日本の大卒で職歴もない人間が外資系企業で働くようになったお話です。すべてが動きはじめたのが11月で、それまで内定はゼロ。当時の11月末の内定取得率は94.4%なのに!というか最後まで内定はもらえていないです。

誰かの参考になる話でもないけど、人生は運とタイミングでできていると思うので、就活で内定が取れなくてもそこまで落ち込むような話じゃないし、それで人生が終わったなんてことは絶対にない。むしろそれをチャンスととらえるくらいが精神衛生上良いのかなぁって思います。そんなこんなで5年とかShopifyにいるので、Shopifyでは立派なおじいさん。何か聞きたいことがありましたら、ぜひTwitterもしくはLinkedInにコンタクトしてきてください!

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