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壬寅 2022年 暦学で時代を読む

2022年は、壬寅年。
だが、この一文自体に、語弊がある。

西洋暦(新暦)=東洋暦(旧暦)ではないため、
正確にいうと、
2022年2月4日から寅年であり、
現時点では、まだ丑年だ。

今年は北北西に向けて、恵方巻を
食べる時から、寅年はスタートする。

寅と虎

年賀状には虎の絵が描かれ、
新年を祝っていたが、
寅と虎は同じものなのか。

十二支とは、時間の経過を測る序数で、
植物の発育を模して名づけられている。

子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥

種子から芽を出し、生育し、
枯れて種核になり大地に落ちるという
植物の生生流転の様を用いて、
時間を著したのが、
本来の十二支の意味である。

文字が読めない人のために、
身近な動物に漢字を置き替えたため、
十二支に動物が符号された。

そのため、ベトナムやタイなど南方では、
卯がネコに、辰がワニの国もある。

しかし、名前とは不思議なもので、
「今年は虎の年だから、
勢い良くやろうじゃないか!」と、
人々の気持ちが虎的になると、
世相に「虎の気」が入り、
寅年は虎年になってしまうのだ。

株式相場の格言に、
「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ。
戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」という言葉がある。

これもまた、本来の植物の盛衰の意味ではなく、動物を模して世相を捉えた言葉であり、後からその年に起きた事象を関連づけることで、不透明な予測を読み解こうとしている。

西洋暦は2022という数字だけだが、
東洋暦は「壬寅」という漢字で記される。

そのため、この文字の気が、
人間心理に反映され、時代の世相を形成するのだ。

世相とは、時空間の群衆心理で形成されるphaseである。

3500年以上もの永い時間、
十二年周期で繰り返されてきたのが干支のバイオリズムだ。
そのバイオリズムで世相が形成され、
東洋人の遺伝子に組み込まれ、
その年に起きたデータを集積することで、
干支による統計学的予測が確立した。

欧米には、このような干支の概念がないため、
2022年に、虎の気の影響は一切ない。

欧米主導の時代は重視されてこなかったが、
アジアが、特に中国が力を得るに従い、株式相場や政治の動きなどにおける、干支暦の影響は軽視できない。

アジアの街のあちらこちらに、
虎のイラストや写真が飾られているので、
人々の心に虎が入り込み、
迷いを払拭し、潔く判断、
勢いを持って駆け抜ける、

虎の威を借りる、
虎のように動く、群衆心理が形成される。
元来そのような積極的な性格の人にとっては、拍車がかかる。

内向きな人の行動も外向きに引っ張られるという、寅卯天中殺の2年間も始まるため、殻を破って飛び出す人も増えるだろう。

今までコロナだ何だと、
自粛して、動けなかった人達が、
千里を走る勢いで駆け抜ける年になる。

特に今年は36年に一度の、
五黄の寅、最強の寅年でもある。

強気で押しまくる勢いが、
アジアを発信源として、
強まることが予想される。

時系列の中の、壬寅年

時間は継続している。
いきなり春になるのではなく、
冬が終わり、春が訪れる。

寅年も、いきなり訪れるのではなく、
子年 丑年を経て、寅年になる。

ここでは、本来の植物の生育に関連した「寅」年の意味に従い、
時代を追っていく。

2020年2月4日、
コロナが武漢で始まった頃、
庚子の年が始まった。

子とは、植物が種子(子)の状態。
季節で言えば、真冬
成長前の準備期間だ。

「庚」には更新という意味がある。
新しい時代の始まりに備え、
それまでやっていた事を見直して、
エネルギーを蓄える変革の年だった。

2021年は辛丑年だ。
2020年に新たに始めた種が、
地中に向かって根を伸ばす時期だった。

表面的には発芽していないため、
芽は見えず、混沌とした時代だった。

泥沼の中に根が伸ばし、滋養(情報)を吸い上げ、
発芽に備える状態だった。
自らの可能性を手繰り寄せたか、
水面下でどう動いたかが重要になる。

先が見えない中で、
2020年は、右往左往したが、
2021年の半ばあたりから、
新しいスタイルを生み出そうと、
新たな動きを模索した人もいただろう。

無観客のオリンピック、事業再構築など、
泥沼の水面下で行うことで、何が良いか分からないけれど、何かつかみ取ろう、根を張ろうとした動きを行った人は次に繋がる。

また、丑年の丑の文字形には
「赤ちゃんの掌」の意味もある。

怖がらず、泥沼の中に、
無邪気な好奇心で手を突っ込む。
何でもいいから可能性を手繰り寄せる年である。

そのようにして、
今までの仕事のやり方を見直し、
新たな可能性をつかみとり、
根を張ろうとしてきた人たちは、
激流の2022年、壬寅年に流されずに、
虎の勢いに乗って進むことができるのだ。

寅年には、
甲寅、丙寅、戊寅、庚寅、壬寅と6種類あり、
今年は、壬寅(みずのえのとら)年である。

壬(みずのえ)とは、大きな水の流れ、
大河・海を意味する。
水には、知性・情報の意味もある。

海を超えて虎が跋扈する、
IT/情報化が旋風を巻き起こす年でもある。

植物の発育序数としての「寅」は、
季節で言えば春、
発芽してすくすくと伸び始める時期を指す。

エネルギーを蓄え、根をしっかり張った種子は、
今年から芽をだし、大きく成長することが出来る。

いつからのエネルギーを貯めこむ必要があったかというと、
丙申年(2016年)からの動きだ。

2016年から、あなたが蓄積してきた力は何か。

2020年に、それまでのやり方を潔く捨て、
新たにやり方に変えたか。

2021年に、それまで面倒だから、見て見ぬふりをして放っておいた「苦手な事」「泥沼化した問題」に、手を突っ込んで、そこから可能性を引きずりだしたか。
何が何でも新しい時代に根を張ろうと、泥沼の水面下で試行錯誤してきたか。

この3つの質問次第で、壬寅の時流に、
虎のごとく乗れるかどうかが決まってくる。

何もせず、現状を憂いてばかり、
コロナだからどうしようもないと、
それまでのやり方を固守しながら、
何も変えずに、何となく毎日を過ごしてきた人は、

2022年、虎の威を借り強気になってくる、
情報、IT、5Gなどの時代の流れ、
海を越えてやってくる、
変革の嵐の中に流されてしまうだろう。

壬には、「海」「海外」「垣根を超える」という意味がある。

故に、この年は、
外部の力、社外の力、他業種の力を味方につけ、自らが虎になり、勢いよく走り抜けるべき年だ。

だが、何をやるのか、信念や理念、根が張られていないものは、逆に飲まれてしまう。

壬は、「妊」という文字にも繋がる。
はらむ、みごもる、子を宿す。

新しい可能性を大いにはらみながら、
大きく動きだす年にしよう。

南方熊楠の十二支考

最後に、虎の実態について、南方熊楠の十二支考を引用する。

虎は、日本には生息していないため、永い間、絵画などで見るだけの「千里を走る動物」という架空の存在だった。
つまり、日本ではイメージが先行している。

虎は、子を多く産み、
その子がことごとく取り去られた時に最も疾く走る。
それと同時に、足手まといになる子供は、
我が子でありながら、食べてしまうため、
2匹位しか残らない。
虎は人を食べるというが、
通常は牛鹿野猪や孔雀、蛙や他の小猛獣を食し、
それらの動物を追う体力がなくなった老虎のみが、
逃げ足の遅い人間を食べるのだという。
だが、自分(虎)を懼れぬ者を食わない。

動物園では虎ほど目に立つ動物はいない。
だが、草むらに身を隠すと、
低く薄く生えた草むらに伏しても、
虎ほど目立たず、見分けにくい動物はいない。

南方熊楠の十二支考 要約

虎が跋扈するの壬寅年。

虎を懼れず、前進あるのみだ。

悩んでいる時間は、ひと時もない。
逡巡した途端、飲まれてしまうのだから。

一般社団法人数理暦学協会
山脇史端


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