ふりかけ日記2

ミクの日じゅうに書き切ろうとしたので後半文章終わってる可能性大です。許してください。

「あっついですね〜」
「今年の夏は特にだね〜」
「もうアイス無いんですか?」
「んー...無さそうだね〜」
「マスターが食べすぎるから...」
そんな軽口を叩きながら暑いので外出する気にもならずソファで2人でゴロゴロしていたら、突然ふりかけちゃんが立ち上がり
「そうだ!マスター!今夜お祭り行きませんか?」
今は世間で言うところの夏休みである。夏は永遠に家に居たいという気持ちがありはするものの、たまには遊びに行きたいという気持ちもあり、どちらを優先すべきか悩んでいたところ期待した目を向けられたので食い気味に行きますと答える他無かった。
「それいつあるの?」
「今日です!」
「え?」
「今日ですよ?」
「え!?浴衣とか何も準備してないよ!?」
時刻は昼ごはん時である。私も彼女も朝起きてから何もしていないので今から急いで準備をして浴衣のレンタルに行って何とか夕方の祭りに間に合うかどうかという程度だ。どうしたものかと頭を抱えていても仕方が無いのでとりあえず彼女を引き連れて浴衣のレンタルに行くことにした。急いで身支度をし、電車に飛び乗ったところでようやく一息つくことが出来た。
「何とか間に合いましたね〜」
「ギリ...ギリだった...けどね...。とりあえず...浴衣...選んだら...荷物取りに...帰ってから...祭り行こうか...」
走ったために息切れしながら返答すると、その様子が可笑しかったのか、少し笑ってから
「そうしましょう!私がマスターの浴衣も選んであげます!」
「じゃあ、任せようかな」
その後、電車を降り、目的の店に入店し店内を一通り見回ったところで何か良い浴衣はあったか聞くと、自信ありげに頷いたので手を引かれるがままについて行くと、彼女が指した先には彼女の髪色に似た水色を基調とした花柄の浴衣と、白地に金魚があしらわれた浴衣があった。
「水色のが私で、こっちの白のがマスターのです!どうですか?」
「良いね!これにしよっか!」
そう言ってレンタル料を払い、浴衣を受け取り、家に戻って荷物を纏めた後、浴衣を着てふりかけちゃんを確認してみると、彼女も着付けが終わったようで
「マスター凄く綺麗です!」
「ミクさんよく似合ってるよ」
同じタイミングで相手を賞賛することになった。少し気恥ずかしかったために一瞬沈黙が生じたが改めて彼女を見てみると明るめの色の髪の毛と対照的に落ち着いた印象を与える淡い青の浴衣がより一層彼女の魅力を引き立てている。可愛かったので見入っていると顔を真っ赤にしたふりかけちゃんが頬をふくらませてこちらを見ていた。
「もう!急がないとお祭り間に合わないんじゃなかったんですか!」
「ごめんごめん。じゃあ、行こっか!」
2人とも慣れない浴衣だったので駅までは少し時間がかかった。祭りの会場の最寄り駅へ向かう電車には大勢の人が乗っていた。車内にいたほとんどが私たちと同じ駅で降りたので、皆私たちと同じ目的だろうかなどと思いながらしばらく歩いていると祭りの会場に到着した。到着して間もなくふりかけちゃんが
「私、まずは何か食べたいです!」
そう言い、私も少しお腹が空いていたので二人で屋台が並ぶ道を少し歩いて何かないか探してみることにした。
「マスター!あのたこ焼き食べましょう!」
「色んなもの食べたいし、半分こする?」
「はい!」
列にしばらく並んだ後にたこやきを買い、近くで待っていたふりかけちゃんのところへ持って行き、近くのベンチに腰掛けて食べようとしたところ横から手が伸びてきてたこ焼きをかっさらって行った。犯人は言うまでもなく、ふりかけちゃんである。
「めっちゃ熱いじゃないですか!火傷するかと思いましたよ!先に言っておいてくださいよ!」
「いや、今言おうとしてたんだけど...」
何故か理不尽なことに私が怒られたので言い返すと彼女は少しむすっとしながらもベンチに座った。お祭りで食べると普段普通ぐらいに感じる物も美味しく感じるよね等とありきたりな話に花を咲かせながらたこ焼きの熱さにまたもや目を白黒させながらたこやきを頬張っている様子を眺めているとこちらの視線に気づいたのか、少し挑発するような笑みでこちらを向いて
「何ですか?食べさせて欲しいんですか?」
「別に〜?」
柄にも無い挑発を仕掛けてきたのをあしらいつつなおもニヤニヤしながら眺め続けているとたこ焼きの熱さに赤くなった顔が更に赤くなって行き、小刻みに震え出した。
「もー!何でさっきからずっとこっち見てるんですか!」
そう言ってぽかぽかとこちらを叩いてきた。痛くはなかったが周りの目がこちらに集中しているのを見て宥めて落ち着かせるために頭を撫でていると落ち着いたものの、疑わしげな目を向けながら
「マスター、私が怒ったら頭撫でとけば良いと思ってませんか?」
図星だったので内心焦りつつも平静を装いながらそんなことないよ、と返すと一応納得したのか少し不満をもらしながらも落ち着いた様だった。私もふりかけちゃんもたこ焼きを食べ終えたので次は何をしたいか尋ねると射的をしてみたいと言われたので射的に行くことにした。
「うーん…全然当たらないですね〜…」
景品に狙いを定め難しい顔をしながら最後の弾を発射した。当たりはしたものの景品は少し後ろに行った程度で落ちる気配は一向に無い。
「もう1回やってもいいですか?」
「良いよ!次取れなかったら私がやってもいいかな?」
「その必要はありません!私が落としちゃいますから!」
胸を張ってそう宣言したものの、やはりそう上手く行かず、景品は落ちなかった。1回目とは違い弾は当たっていたのだが、狙いがそこそこ大きなぬいぐるみなので少し当たった程度ではほとんど意味が無いのだ。
「もう少しだと思ったんですが、全然落ちないですね…」
「嬢ちゃん!惜しかったな!でも目玉景品はそう簡単には取らせてやれねぇよ!」
そう言って豪快に笑っていた屋台の主らしきおじいさんに再度お金を渡し今度は私が射的をやることになった。様子見として1発打ってみると当たりはしたもののほとんど動かない。2発目を打ったところでどの程度逸れるかを大体理解したので3.4発と連続して打つと2発とも命中したところにダメ押しとばかりに最後の弾を打ち込むとようやく目当てのぬいぐるみが落ちた。
「か〜!落とされちまったか!なら仕方ねぇ!持ってきな!そっちの嬢ちゃんに良いとこ見せられて良かったな!」
そう言ってまた豪快に笑っていた店主にお礼を言い、射的から離れ、ふりかけちゃんにぬいぐるみを渡してあげた。
「マスター、ありがとうございます!」
少し恥ずかし気な様子でぬいぐるみで口元を隠しながらお礼を言ってくれた。
「どういたしまして。次は何する?」
「わたあめ食べたり、金魚すくいしたり、花火見たりしたいです!」
「多いなぁ…じゃあわたあめ買って食べながら金魚すくいの方に行ってその後花火見に行こっか!」
「はい!」
わたあめを食べて顔を綻ばせている様子を見ながら屋台の並んだ道を歩いていると金魚すくいの看板が見えてきた。
「あそこにあるみたいだよ。どうする?食べ終わってからにする?」
「そうですね〜…先食べてからにします!」
口に入れた瞬間溶けていく感覚が面白いのか、口に入れる度に少し目を瞬かせている様子がとても可愛かった。
「マスター、一旦このぬいぐるみ持っておいてくれますか?」
「落としたら大変だもんね。持っておくよ。」
そう言って金魚のいるビニールプールに向き直って真剣にポイを構えている彼女をしばらく見ていた。小さ目の金魚を狙おうとしたところ、近付いてきた大きな出目金を一緒にすくい上げてしまい、早くもポイが少し破れてしまっていた。その後5.6匹順調にミスなくすくっていたが、またもや出目金が割り込んできたせいで破れてしまったポイでは耐えられず、破れてしまった。
「もう破れちゃいました…」
「大きい出目金もすくえたし良かったんじゃない?ほら、すくった金魚の内から2匹持って帰れるって書いてあるし!」
「この金魚さん、家で買ってもいいですか?」
「良いよ!でもちゃんと世話してね?」
「もちろんです!」
店主に持って帰る金魚を袋に入れてもらい、店を離れ、花火の開始まであと15分といったところだったので花火の会場の方へ行くことにした。
「去年は花火見に来れなかったので今年は来れて嬉しいです!」
「そうだね〜。去年はミクさんが夏バテで寝込んでたもんね〜」
「そ、そうでしたっけ…」
「違ったっけ?それにしても花火見に行く人多いのかな?結構混み始めたね〜」
「そんなことありましたっけ…ちょっと覚えてないですね…アハハ…中々進めませんね〜」
この祭りのメインイベントだから人が集まるのも当然かと思いつつ、人の波に巻き込まれながら進んでいくと広場のような所に出た。見晴らしも良く、花火を見るには絶好の場所、といった風である。しばらくすると花火が上がり始めた。10分程
夜空に咲き誇る色とりどりの花々を楽しんだところで終わりを告げるアナウンスが流れた。
「とっても綺麗でしたね!」
「そうだね〜」
「マスター!私、今日はとても楽しかったです!」
「楽しんで貰えたなら良かった!」
「来年もまた来たいです!」
「もちろん!じゃあ今日はもう帰ろうか。」
帰りの電車はまだ祭りで遊び足りない人が多いのか、あまり人はいなかったので座ることが出来た。やけに静かだなと思っていると彼女は横ですぅすぅと寝息をたてていた。電車に揺られて体を揺らしていたのでこちらに抱き寄せてあげると私の肩に頭を預けたまま寝続けていた。しばらくすると最寄り駅につきそうだったので彼女を起こしてあげて、電車を降りたはいいものの、私も疲れていて彼女も眠気のせいで歩くのは厳しそうだったので駅のロータリーに止まっていたタクシーに乗り込み家に帰ることにした。家に着くと彼女はそのままソファで寝てしまった。毛布をかけてあげて、しばらく寝顔を眺めていると少し微笑んだので余程楽しかったのかなと思うと少し嬉しかった。
「おやすみ、ミクさん。」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?