見出し画像

情報サービス業出身者から見た「製造業のここがすごい!」

Yoshiです。

僕は今、製造業と関わるお仕事をしています。

しかし前職は全く異なる業界・職種で働いていました。

詳しいことは書けないですし説明も難しいのですが、情報サービス業界でのお仕事をしていました。

情報サービス業→製造業というキャリアの人間は少し珍しいかもしれませんね。僕自身、製造業の転職を目指していたわけではなく、結果的に製造業に流れ着いたというのが正直なところですし。

そんな僕だからこそ、製造業界の「すごいところ」も「違和感」も人一倍感じられるのではないかと思っています。それを一つの武器にして頑張っていきたいところです。

さて、今回はそんな僕が製造業界を見て良い意味で驚かされたことをまとめさせていただきます。細かく書きすぎるときりがないので、厳選した3点をまとめさせていただきます。

①工場現場リーダーたちの情報伝達力の高さ

一番最初にびっくりしたのがこれです。

情報サービス業では「言った/言ってない」を明確にするためにメールで情報伝達することがほとんどでした。重大な決定の前には念入りにパワポを作りこんでプレゼンすることが多かったです。

しかし、工場現場ではパソコンを触る機会は多くありません。少なくとも現場作業員は工作機械を前に作業している時間が長いです。

したがって工場現場リーダーには、「口頭で誤解なく情報を伝達できる能力」と「現場メンバーが理解したかを確認しながら伝える力」が求められます。もちろんメールもパワポも使わずにです。

現場リーダーが口頭で明確な指示を出す光景は、ずっと工場勤務されてきた方々にとっては「当たり前」なのかもしれません。しかし、僕にとっては新鮮でした。

同時に、メールもパワポも情報伝達の手段であることを忘れて、それらの作成が目的化してしまっていた自分にも気づくことができました。現場リーダーたちの「伝える力」を僕も真似していきたいです。

②恐ろしく洗練されたプロセス

僕は自称「プロセス屋」です。ビジネス全体を俯瞰し、各業務のつながりを調べたり改善したりするのが好きです。

しかしまあ、前職では業務プロセスの現状整理が大変で大変で骨が折れました。

情報サービス業では皆がPCに向かって作業するのが当たり前です。そして編集しているのはフォルダ上に存在しているファイルです。一見して誰が何をやっているかが理解できず、作業者にヒアリングしてみないと業務内容がわかりません。

しかも、プロセスが複雑怪奇だったり、パターン分岐が無数にあったり、おまけに当の本人が認識しているプロセスと実態が異なっていたり・・・ひどいときには、誰もが目的を理解しないプロセスが存在するなんてこともありました(暗黙知化)

特に複数部署が同時並行で作業している業務なんかは最悪でしたね 笑

一方の製造業はどうでしょうか?企業によって程度の違いこそあれ、恐ろしいほどにプロセスが洗練されていると感じました。

これは日本製造業の徹底したコスト意識により、プロセス上の「ムリ・ムダ・ムラ」が排除されていること。作業工程が目に見えやすく、誰が(あるいはどの機械が)何の工程を行っているかが明確です。パターン分岐も多くありません。

僕は製造業の洗練されたプロセスを目の前に、思わず感動して涙を流すところでした。おかげさまで新たに参入したばかりの僕でも、比較的容易にプロセス全体像を理解できるという状況になっています。

業界によるプロセス洗練の違いは『ビジネスプロセスの教科書』でも指摘されていました。非常に納得のいく説明でした。

『ビジネスプロセスの教科書』山本政樹 著

③ミス防止に対するこだわり

「品質第一」「ミス防止を徹底」。そうした文化が製造現場にはあります。品質に対する徹底した意識は全作業員に浸透していて、素直にすごいと感心していました。

もちろん情報サービス業でも品質やミス防止への取り組みはありました。それでも誤って納品してしまったファイルはすぐに送り直せる場合がありますし、内容次第では再作成も即座に完了します。(顧客情報流出や個人情報管理など別の問題もあるが、それについては今回触れない。)リカバリーが効きやすいので、トラブル後も不問になるケースも多いです。

一方で製造業は、製品に実態があることで制約が増えます。誤発送をして送り直す場合や不良品を作って材料から作り直す場合、時間もコストも大きくかさむことになります。

どこの業界でも品質コントロールは難しい分野ではあります。やりすぎると「過剰品質」なんて言われちゃったりしますし。それでも「基礎の基礎」のチェックは絶対に必要です。そして、製造業のほうがより徹底したチェックがなされていると感じました。

まとめ

製造現場でずっと長く働いている方々にとって、上記の内容は「当たり前」のことかもしれません。特に意識もしていないかもしれないですし、「凄い」と思ったこともないかも。

しかし外の世界の人間から見た場合、彼・彼女らの当たり前はとても価値のあることだったりします。「自分では価値と思っていないことが、他の人から見たら価値となることがある」。まさにその典型例だと思います。

これからも製造業界の観察は続いていきます。僕のような外部からの視点によって、製造業界の良さが改めて認識されるようになればいいなと願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?