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ダービー卿チャレンジトロフィー 2021【予想】

ダービー卿チャレンジトロフィー 過去

春の到来を告げる中山の名物ハンデ重賞。過去10年で1番人気馬は【1.2.0.7】と中山1600mらしく一筋縄ではいかない難解なレース。

Bコース替わり初日で、良馬場で行われた先週土曜は最終レースの2勝クラスが1分9秒0の勝ち時計。
本日5レースの未勝利戦の勝ち時計が2分1秒2で、7レースの1勝クラスが1分34秒8。
思っていたほど速くなっていないが、過去5年で稍重だった17年を除けば勝ち時計はいずれも1分32秒台。ペースが流れることを想定するなら1分32秒台での決着もあるかも知れない。

去年まで馬体重520kgを超える馬が4連勝中で、連続開催の後半に差し掛かることもあってスピード以上にパワーも欲しいところ。


①スマイルカナ(⋯)

オークス16着後にすぐさまマイル路線に切り替え、初めての古馬との対戦となった米子ステークスを勝ち、続く京成杯オータムハンデでもハナ差の2着。

昨秋の富士ステークスではシーズンズギフトに絡まれたことで前後半4F 45秒4-48秒0というハイペースに沈んだが、中2週で挑んだ前々走のオーロカップでは番手の競馬で2着を確保。さらに前走のターコイズステークスでも無理せず離れた3番手に控えて、直線で
抜け出す優踏生の競馬で重賞2勝目を飾った。

もともと【4.1.1.1】とハナに立てば粘り強かったが、脚質に柔軟性も出てきており、中山1600mはこれまで【3.1.0.0】と最も得意としている舞台。

今回は実質トップハンデタイとなる55kgのハンデと休み明けがポイントになりそうで、昨夏の京成杯オータムハンデでハナ差先着を果たした②ボンセルヴィーソとの当時あった3kgのハンデ差がなくなる。

約3か月半ぶりとなる休み明けについてはその京成杯オータムハンデでも2着に走ってはいるが、本質的には叩いて良くなるタイプに思うし、ヴィクトリアマイルが大目標のはず。

馬場についても極悪馬場だった桜花賞をデアリングタクト、レシステンシアの3着と逃げ粘っており、自己ベスト1分32秒7を記録した昨夏の米子ステークスは50kgの軽ハンデ。次位が7着に敗れたチューリップ賞での1分33秒8だから、実はあまり速い時計で走ったことがなく、時計の掛かる馬場が理想にも思う。

抜群の中山1600m実績を買われて1番人気に推されてはいるが、1分32秒台の決着を想定する今回は穴狙いで思い切ってバッサリ切る。

②ボンセルヴィーソ(☆)

2〜3歳時は朝日杯フューチュリティステークスやニュージーランドトロフィーでも3着に好走した実績もあるキャリア35戦を誇る7歳馬。
昨年の本レースでは展開がやや向いた面はあったにしても2着に好走しており、夏には叩き良化型でありながら京成杯オータムハンデを約2か月半の休み明けに勝負処で手綱を引く不利がありながらも3着に好走。

レース上がりが35秒を切った以降の3戦は凡走が続いたが、前走の東風ステークスでは57kgの斤量を背負ってクビ差の2着に好走。
全3勝を挙げる【3.0.4.3】の京都巧者に見られがちだが、中山も3度の重賞好走を含めて【0.2.2.2】。

叩き2戦目【2.1.2.2】で迎える絶好の舞台に前走から2kg減となる55kgのハンデ。勝ち味に遅いだけに頭までとなると怪しいが、好走は期待できるはず。

③ソーグリッタリング(△)

前が残る馬場の恩恵こそあったが、不良馬場でも2着を確保した昨春のエプソムカップを含めて、これまで3度の重賞での3着内好走があるもののタイトルには手が届いていない7歳馬。

掲示板を外さない堅実さが売りでもあった馬がここ2走は掲示板外に敗れる凡走を続けて、年齢による衰えを危惧される声もあるが、中京記念(阪神開催)は荒れた特殊な馬場、前走のキャピタルステークスは戦前から「気持ちが入っておらず、ピリッとしない」と休み明けの影響を陣営から示唆していたように状態面に敗因があったのかも知れない。

大箱1800mがベストの印象で、前半からペースが流れやすい中山1600mが合うようには正直思えないが、浜中騎手の急遽乗り替わりがあったにせよ、わざわざ先週の六甲ステークスからスライドさせて川田騎手を鞍上に迎えており、池江調教師も集中力を高めるためにチークピーシズ着用も示唆、高い勝負気配を感じる。

【3.2.0.3】の叩き2戦目こそベストも、【3.3.1.2】と元々は中9週以上の間隔を空けたローテーションでも好走しており、7番人気の伏兵だけに内々を巧く立ち回ってくれることを期待して。

④ルフトシュトローム(◎)

新馬→1勝クラス→ニュージーランドトロフィーと3連勝と勢いに乗って挑んだ昨年のNHKマイルカップ。
ニュージーランドトロフィーの完勝が中山1600mの舞台と展開がハマった印象もあって半信半疑だったが、前有利の馬場に直線では強烈な向かい風もあった中で後方からメンバー2位の上がりで0秒5差の5着ならマイル路線での世代上位の実力は示したと言える。

昨秋の始動戦は初の古馬との対戦となった京成杯オータムハンデ。24kg増とパワーアップを果たして飛躍を期待された中でシンガリ16着の大敗を喫したが、陣営は戦前より夏負けの影響を示唆しており、当日も最高気温が26度を超える暑さ。
レース当週も右前脚に挫跖のような症状があるとして木曜追いに変更しており、実際に管理する堀調教師もレース後、「レースから上がって馬体がフラフラしていた。右前脚の蹄を少し気にしている」とコメント。参考外の一戦と言っていい。

今回は改めて仕切り直しの一戦で、昨春から成長した姿を披露するのは実質初めて。
ニュージーランドトロフィーではシーズンズギフトを外からねじ伏せて勝っており、1分33秒0の勝ち時計も優秀。NHKマイルカップでは内の先行馬が有利だった中で出遅れて後方からの競馬になった上に、直線でラスト1Fまで前が壁になるロスがありながらもメンバー2位の上がりで0秒5差まで詰めた。

グランアレグリアのついでとはいえ、乗り替わりとなるルメール騎手も最終追い切りに跨って感触は掴んでおり、少なくともレシステンシアやラウダシオンに次ぐ能力があると評価しているだけに、ハンデGⅢなら勝負になっていいはず。
内枠を引いただけにテンの速さがどれだけ向上しているかがカギになるが、逆にいえばそこをクリア出来れば絶好のポジションで競馬が出来る。

リスクを考えると妙味は薄いが、魅力的な穴馬も少ない以上は逆らいづらい。

⑤ブラックムーン(⋯)

3年前の京都金杯勝ちが1分34秒3、その前年マイルチャンピオンシップが1分34秒1で走って0秒3差の6着。

昨秋のマイルチャンピオンシップでは1分33秒4、前走の阪急杯でも1分20秒2と9歳とは思えない頑張りを見せてはいるが、いずれも着順は二桁。
ここでの好走も簡単ではないように思う。

⑥レイエンダ(⋯)

2019年は富士ステークスで直線ほぼ最後方からメンバー最速の33秒0の上がりで追い込んでノームコアから0秒1差2着の好走もあったが、母ラドラーダの産駒は完成度の高さで勝負する馬が多く、5歳を超えると成績が急激に落ちる。
年度代表馬にも輝いたレイデオロでも例外ではなく、本馬も前々走でダートを使われて迷走中。

6歳になって迎えた前走でセントライト記念以来となる2200mの京都記念を使われて今回は一気に600mの距離短縮。昨年3着に好走しているとはいえ、昨年と同じ57kgのハンデでは厳しいと見る。

⑦ベステンダンク(⋯)

昨春のマイラーズカップではインディチャンプにこそ子ども扱いされたものの、秋に富士ステークスを勝つヴァンドギャルドに先着する2着に好走。

続く都大路ステークスでは不得手とする道悪に加えて58kgの斤量を背負って約2年ぶりの勝利。
秋の始動戦となったスワンステークスは約1年半ぶりとなる短距離戦ながら8着とはいえ0秒4差。
キャリア47戦を誇る8歳馬でも、まだまだ元気。

昨春のマイラーズカップでは1分32秒7で走って2着に好走しているだけに良馬場で行われる点は歓迎だが、京都を中心に使われているように急坂が構える中山よりは直線平坦の京都がベスト。
直線急坂コースならせめて前半はゆったり流れて欲しいところで、中山1600mがハマるようには思えない。

⑧ショウナンライズ(⋯)

昨年のニューイヤーステークス5着を最後に、9戦連続での二桁着順に沈んでいる。
明け8歳馬に一変を望むのは酷に思う。

⑨テルツェット(⋯)

新馬戦の快勝から将来を期待されたシルクレーシング所属のディープインパクト産駒。
降雪による開催順延で再輸送を余儀なくされ、約4か月ぶりのレースでも6kg減った状態での出走となった2戦目のミモザ賞(3着)に頭部の裂創による出走取消と昨春は不運が重なってクラシックは断念したが、夏の新潟から1勝クラス→2勝クラス→3勝クラスとレース間隔を空けながら一気に3連勝。

前走の節分ステークスからノーザンファーム天栄に放牧に出されて満を持しての重賞初挑戦。
これまで唯一敗れたミモザ賞は度外視できる状況であったし、まだ底を見せていない魅力は確か。

ただ、3連勝中に記録した上がりは全て33秒台でまだ420kg台と小柄な牝馬で瞬発力が武器のディープインパクト産駒といった印象が強く、中山1600mを素質だけでクリアできるかどうか。思い切って消す。

⑩マイスタイル(⋯)

一昨年は京都金杯での2着を皮切りに本レース3着、夏には函館記念で重賞初制覇、秋にはスワンステークス3着好走と飛躍の一年と言える活躍ぶり。

GⅠマイルチャンピオンシップでもインディチャンプから0秒4差の4着に逃げ粘ったが、続く阪神カップから一転。13着に大敗すると、休養を取って立て直しを図った翌年の阪急杯でも12着と続けての二桁着順に沈む結果に終わり、横山典騎手へと乗り替わった本レースでも14着に敗れた。

阪神での2戦は敗因を掴み切れないが、昨年の本レースに関しては、レース前から豪州遠征に向けての検疫で東京競馬場での在厩から中止による調整面での狂いもあってか10kg馬体が減っており、レースでも大外枠から57.5kgのハンデを背負ってペースが流れていた先行集団に突っ込む無謀策もあった。

3年連続での挑戦となる今年は0.5kgハンデが軽くなって57kgでの出走。ここで勝ち負けできるだけの力は備えているが、今回は休養期間中に裂蹄もあって1年ぶりのレースであることを考えると簡単ではない。

⑪カテドラル(○)

3歳時はアーリントンカップ2着に、アドマイヤマーズから0秒1差の3着に好走したNHKマイルカップ、秋には古馬とのマイルチャンピオンシップでインディチャンプに0秒5差まで迫る最速上がりを繰り出して6着。

マイル路線での飛躍を期待された昨年だったが、年明けの京都金杯を後方から回ってきただけの17着に敗れると、苦しくなった時にやめてしまう気難しさを出し始めて安定しない成績に終始。結局、リステッド競走の朱鷺ステークスで挙げた1勝に終わった。

5歳を迎えて、約2か月ぶりのレースだった前走の東京新聞杯は中団からメンバー2位タイとなる33秒5の上がりで鋭く伸びてアタマ差の2着に好走。
ハンデGⅢレベルなら勝ち負けできる能力があることは確かでもアテにしづらい気性で、相手が弱かった朱鷺ステークスを除けば、好走したレースは自身の上がりが33秒台。

中山1600mという舞台が未知数でありながら4番人気では妙味が薄いが、押さえておく。

⑫メイショウチタン(▲)

2勝クラスは一発で卒業を決めたものの、3勝クラスで足踏みが続いていたが、5度目の挑戦となった前々走の豊明ステークスでオープン入りを果たした。

雨中の重馬場が味方したと見る向きもあるが、2歳時には1分20秒5の好時計で未勝利を卒業しており、それまで阪神1400m【3.1.0.3】、その他【0.0.1.7】としていた中で初めて阪神以外で挙げた勝利。

最も得意としていると言える阪神1400mを舞台にした前走の阪急杯は中団から0秒6差の6着。
自身より前にいたレシステンシアやミッキーブリランテにも劣るメンバー8位となる34秒1の上がりは厚い壁に跳ね返された格好であるが、レコード決着の中、持ち時計を1秒近く縮める1分19秒8の好時計で走っており、叩き台だったとはいえインディチャンプとは僅か0秒2差は大健闘といえる内容。

これまで気性面を考慮されて1400mを使われ続けてきただけに今回は1600mへの距離延長が一番のカギになりそうだが、中山への長距離輸送をクリアできれば、ペースが比較的流れやすい中山1600mならスピード持続能力を活かせるかも知れない。

⑬トーラスジェミニ(⋯)

シンガリ人気で激走した昨春のエプソムカップに鮮やかな逃げ切り勝ちを収めた巴賞。
函館記念では1000m通過が58秒8の速いラップから11.8 - 12.0 - 12.1 - 12.4 - 12.6と掛かっていく消耗戦ラップを差し馬のワンツー決着する中で4着。

その後もリステッド競走を2勝しているが、重賞での5戦はすべて掲示板外。
プレッシャーを受けることなくマイペースで運べると渋太いが、重賞にもなるとハナに立つまでにも脚を使う必要が出てくる上に、そうそう気分良くマイペースの逃げは許してはくれない。

今回は前走で鮮やかに逃げ切った東風ステークスと同じ中山1600mが舞台のハンデ重賞。
4勝を挙げる中山コースは舞台としては最適だが、今回は最内枠のスマイルカナを叩いてハナを奪いに行く必要がありそうで、マイペースに逃げられるか。

⑭アトミックフォース(△)

前有利の馬場とハンデ54kgの恩恵はあったが、昨春の新潟大賞典では2着に好走、不良馬場のエプソムカップでも離れた3番手から5着に健闘。

その後の飛躍も期待されたが、夏の間にフレグモーネ発症があったり順調さを欠いて当日の馬体重も10kg減っていたケフェウスステークスに、立て直しを図った今冬の白富士ステークスではプラス28kgと減った以上に馬体が増え過ぎる誤算。

コンディションの問題から二桁着順が続いたが、マイナス12kgとひと叩きされて絞れた前走の東風ステークスでは初の1600mながら4着と変わり身を見せた。

2度目の1600m戦でさらなる上昇も期待されるが、着順こそ4着でも勝ち馬からは0秒7離されており、差しが利きづらい展開の恩恵があったことも確か。
これまで東京と新潟を中心に使われて、直線に急坂のあるコースでは【0.0.0.4】と半信半疑でもあり、本質的には1800〜2000mがベストの印象で、中山1600mが適条件には正直思えない。

狙い目はここを使っての新潟大賞典のように思うが、11番人気の伏兵でこの枠の並びなら好位の外から運べそうで、大穴として期待してみる。

⑮エメラルファイト(⋯)

一昨年のスプリングステークスを勝って以降は13戦して着外続き。自分からやめてしまう気性の問題で昨春のメイステークスでブリンカーを着用したものの、効果はその一戦のみで以降は再び二桁着順。

一時はダートに矛先を向けたりもしたが、前々走の東京新聞杯からより深いブリンカーに替えたところ、前走の東風ステークスでは前述のメイステークス以来となる6戦ぶりの5着掲示板確保。
勝負とは無関係なところとはいえ、最速上がりは2歳時の朝日杯フューチュリティステークス以来、約2年と3か月ぶり。

復活に向けて光が射したかにも思えるが、初めてブリンカーを着用したメイステークス以降はまたやめるようになっており、前々走より着用している深いブリンカー効果が今回も続くかは不透明。様子見とする。

⑯ウインカーネリアン(取消)

昨春の皐月賞は稍重でレース上がりが35秒8と掛かった中で2番手から粘り通しての4着。コントレイルとサリオスには離されたが、3着のガロアクリークとは僅か0秒2差で大健闘と言っていい内容だった。

ダービーは勝負処から失速して17着に大敗。レース上がり34秒3も厳しかったが、自身の上がりが36秒1と全く粘れておらず、2400mの距離か2月から連戦の疲労もあったかも知れない。

自己条件から再出発を図り、レース間隔が空いた札幌と初冬の中山ではいずれも僅差ながら、それぞれ5着→4着に敗れたが、前走の幕張ステークスで無事にオープン入りを果たしてみせた。
翌日の中山記念でコースレコードタイのタイムが出たように開幕週で時計が出る馬場ではあったが、1分31秒台で走って番手から最速上がりで2馬身半をつける快勝は文句なしの内容。

異常なスローペースで流れやすい2歳戦を除けば、今回の上がり34秒5は自己ベストで、瞬発力戦ではキレ負けしやすいタイプだけに、良馬場で行われる中山はコースとしては一番適しているといっていい舞台。
大外枠でなければ本命も考えていたが、右前脚の挫跖により無念の出走取消。

【結論】
本命 ④ルフトシュトローム

どの人気馬にも死角があるだけにワイドBOXで高配当を期待。 ワイドBOX:②③④⑪⑫⑭

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