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土屋昌巳リマスターBOX「Masami Tsuchiya SOLO VOX EPIC YEARS」全曲クロスレビュー(2):2ndアルバム「TOKYO BALLET」

 さて、今回はボックスセット「Masami Tsuchiya SOLO VOX EPIC YEARS」の2枚目である、2ndアルバム「TOKYO BALLET」がテーマです。このアルバムがリマスターされているということが、長年の悲願といいますか、期待するところの大部分といいますか、それほど重要な作品だということは、下記のレビューからも理解していただけると思います。それでは前置きもほどほどにして、レビューに移りたいと思います。

◆2nd「TOKYO BALLET」(1985)

〜オープニング〜

@tpopsreryo:
土屋昌巳のリマスターBOX「Masami Tsuchiya SOLO VOX EPIC YEARS」全曲クロスレビュー企画、本日も早速始めたいと思います。いつもとおり、@junnoviさんとの雑談レビューとなります。本日は2ndアルバム「TOKYO BALLET」です。よろしくお願いします。

@junnovi:
はい、第2回ですね。よろしくお願いします。

@tpopsreryo:
さて、1stアルバム「RICE MUSIC」はまだ一風堂に在籍している中で豪華ゲスト陣(特に変態ベーシスト2名)を迎えてワールドクラスクオリティのサウンドを作り上げたわけですが、その後JAPANのギタリストに呼ばれたり、「すみれSeptember Love」の大ヒット等で一気にスターダムにのし上がりました。


その流れの中で1983年一風堂の4thアルバム「NIGHT MIRAGE」がリリースされますが、これは土屋と見岳章の2人組となったといえどもほぼ土屋のソロといっても良い仕上がりで、ゲスト陣のSteve JansenやPercy Jonesらのプレイぶりが目立つ作品でした。そして本作を最後に一風堂は自然消滅していくことに。

しかし翌年1984年に一風堂のラストシングルとして「ムーンライト・マジック」がリリースされます。これは一風堂名義とは言ってもほぼ土屋ソロと思っても良いのですが、実はこれがその後の2ndアルバムへと続くサウンドスタイルの予告編となっている重要な転換期の楽曲であると考えています。

タイアップ曲ということもあって非常にキャッチーなメロディと、PPGっぽいメタリックな質感を持つシンセの使い方。そのあたりはしばらく土屋ソロサウンドの代名詞となっていきますが、それがはっきりと確信させてくれたのが、土屋の1stソロシングル「スターライト・シャワー」です。
という時系列となりますので、本日は「TOKYO BALLET」の本編の前に、ボーナストラックとして収録された「スターライト・シャワー」ほか4曲を先に各曲レビューしていきたいと思います。それから本編の各曲へと進みますので、ご了承ください。

@junnovi:
土屋昌巳がソロアルバムを通じて何を表現したかったのか、そういうことをつい考えてしまうんだけど、こうやって時間が大分経って振り返ると、意識して変化を作っていったんだろうね。それがベーシストの変化だろうし、「TOKYO BALLET」での井上鑑の起用なんだろうね。「HORIZON」とか「TIME PASSENGER」からすれば、「TOKYO BALLET」はかなり歌謡曲寄りな音が多いけれど、昔から井上鑑は好きなんで、今回の振り返りで好きなアルバムになりました。

@tpopsreryo:
「TOKYO BALLET」の井上鑑起用は本編で触れるとして、確かに当時は「すみれ〜」やJAPANのおかげで土屋の知名度も高かったし、CMにも起用されたり俳優もしたりで、売れ線に寄っていった時期でしたね。


ボートラ1曲目「スターライト・シャワー」
ボートラ3曲目「スターライト・シャワー (Special Mix)」


@tpopsreryo:
ボーナストラック1曲目「スターライト・シャワー」。叙情的なピアノが見岳章なので実質は一風堂なのですが、バンドではありえないゴージャズなポップソングでソロデビューです。ゴージャズなストリングスアレンジが三枝成章。あのハートカクテルや11PMのって言ったら怒られますが。
この楽曲の核となる爆音ドラムは村上ポンタ秀一ですが、その他ギターやベース&シンセは土屋自身が担当。どおりでベースがおとなしいとは思いましたが、このギラッとしたシンセの使い方が実にニューウェーブ感覚を刺激するもので、ストリングスのゴージャス感に引けを取らず、絶妙なバランスでした。
この流れでボーナストラック3曲目の「スターライト・シャワー(Special Mix)」にいきますが、これは三枝ストリングスアレンジをフィーチャーしたバージョンですね。ほぼイントロに追加したという印象しかありませんが。なお、一風堂の2枚組ラストライブアルバム「live and zen」に付録されています。

@junnovi:
これは「TOKYO BALLET」への過渡期の楽曲やね。歌い方が「TOKYO BALLET」になってる。メロディも明るいし。オーケストレーションの処理、実は井上鑑じゃなく三枝成彰なんやね。当時は成章やったけどw たしかに井上鑑みたいに緩~いロングトーンなのと違って、メロディに沿ってユニゾンを多用してる。
そっかこのドラムス、村上ポンタなんや。私、この人ってどこかしかでそれなりに聴いてるはずなんやけど、世間のすこぶる高い評判とは違って、私の心に引っかかることが余りなくて、王道なんか、安定感抜群なんか分かんないけど、この曲でもあまり引っかからないんです。私はここは三枝成彰やなw

@tpopsreryo:
そうやろうね、三枝になるやろうね。ハートカクテル好きだったもんねw クレジットを確認して村上ポンタだったんだけど、こちらも余り気にしてなかった。ただこのドラム処理は気に入っているんですよね。リバーブの響きとか。これが80年代中期のノスタルジーってヤツなんですけどw

@junnovi:
センセが書いてる通り三枝って私の中では「Heart Cocktail」。でもテレビに出たらやたらと浮き名を流すモテ男、口を開けば小うるさくてズレた言説を繰り広げるオッサンになってしまうんで、違和感を覚えてた。かなり昔、NHKの「みんなのうた」で「こきりこ節」のアレンジしてたのが三枝成彰との出会いだった。
彼をフォローする訳ではないけど、6枚もある「Heart Cocktail」というサントラの中では、松岡直也ばっかりがリマスターされてもてはやされてるけど、一番あの世界を表現していたのは三枝成彰であり、島健だった。だから今でも大切に聴く愛聴盤なのです。ただテレビに出るとなぜかややこしいw

@tpopsreryo:
しかしなぜこの曲のストリングスアレンジを三枝に依頼したんだろうというのが不思議だったんですよね。当時のスノッブな空気というか、なんとなくクリスタル的な空気というか、そんな芸能界的な渦にひょんなことから三枝も土屋も巻き込まれてしまった接点がそういう出会いを生んだのかもしれないね。

@junnovi:
確かに普通に考えてこの二人が一緒にするって考えにくいよね。だからこれ限りになってるね。多分あれこれ難しいことを言うから、めんどくさくなったんやと思う。って知りもしないのに勝手なことを書く私。

@tpopsreryo:
そうそう、それこそ11PMで出会ったといっても違和感ないくらいの接点だしねw まあ嫌になったというより一期一会で頼んでいるんでしょう。土屋本人も三枝の参加を知らないのかもしれない。


ボートラ2曲目「B-side Passion」

@tpopsreryo:
ボートラ2曲目「B-side Passion」。これはシングル「スターライト・シャワー」のB面ですが、タイトルからしてなんか手抜き感が漂うんですよね。でもサウンドとしては非常に好みな方でして、相変わらずのメタリックなシンセとドラムのジャストな感覚がたまりませんね。このドラムはSteve Jansenでしょう。

@junnovi:
この曲は「TOKYO BALLET」に入っていてもおかしくない雰囲気の曲やね。ハンドクラップが1個入れてるのとか、Aメロの相槌の「アイラービュー」が軽いな~。サビも軽いな~。何を狙ってる? でもセンセも書いている通りドラムスが粒立ってるね。この音は「TOKYO BALLET」ではなかった音。というか再生できてない音。

@tpopsreryo:
どのパートも軽くて手グセ感が半端ないのよね。しかしこのドラムの強烈な主張のおかげですごく好きな部類のサウンドになっているのです。スゴく前ノリじゃないですかドラムが。いわゆる幸宏ドラムなんで、どう考えてもSteve Jansenやね。タムのつんのめり感は幸宏的でなくてSteveらしいし。

@junnovi:
センセの言う手グセって、パッと反射的に体が動く、スグに体から出てくる、そういうものだから、時代の空気や文脈を如実に物語っていて、時代のノリや良くウケていたパッセージをジャストに表出するものだから、その時代の音楽が好きな場合、たまらなくなる。そんなことを言いたいんかなと思う。


ボートラ4曲目「"AQUA"NOSTALGY」

@tpopsreryo:
ボートラ4曲目「"AQUA"NOSTALGY」。これは前回のボートラ、写真集「ALONE」の6曲に連なるアンビエントインストですね。「NIGHT MIRAGE」を経て随分と洗練された印象です。ヤン富田のスティールドラムをフィーチャーして土着的リズムと共にPROPHET-5のモワッとしたサウンドが包み込みます。
後半からは情感たっぷりのパッドサウンドにメタリックシンセ、ギターで発していると思しき鳥の鳴き声を模したフレーズが出てきて、まさにウォーターランドの装いを呈しています。このコード感であればBGM的にも聴き苦しさはないですね。

@junnovi:
スティールドラムな音で何が表現できるかを試行しているような作品やね。いわゆるアンビエントっぽい。音色がどうしても南国を連想させるんやけどね。センセと違ってでもこの長さ、いる? エラソーなこと書いちゃうけど、自分の音楽を客観視することが足りてない感じがする。

@tpopsreryo:
8分と長いんですけど、後半にしっかり盛り上げどころを用意しているのでまだ聴ける範囲内なんですよね。好きなコードワークだからかもしれないですが。ただやはり彼は歌ってなんぼだというのも再認識するわけですが。


〜イントロダクション〜

@tpopsreryo:
というわけでボートラだけで前置きを長くしてしまいましたが、いよいよ「TOKYO BALLET」本編に移りたいと思います。実はこの「TOKYO BALLET」というアルバム、長らくリマスターを待ち望んでいた作品でしたので、このBOXが出た時は喜びもひとしおだったのです。今回のBOXはほぼこの作品目当てでした。
なにせCD盤の音質が悪くて。オリジナルが85年というCD初期の痩せた音、再発が悪名高いCD選書で薄っぺらいケースに痩せた音を忠実に再現していたので、長らくリマスタリングを渇望していたわけで、今回のリマスターには期待していました。そしてしっかりその期待に応えてくれたと感じています。
作品全体の印象としては、がっつり歌謡曲テイストに寄せてきたなという感じでしたが、そういう傾向になることは、「スターライト・シャワー」からの流れから推測されたことで、流行に敏感なオシャレなニューウェーブ歌謡といった立ち位置に知らず知らず収まっていたということなのでしょう。

@junnovi:
ホントにセンセの言う通りで、もうとにかくこのアルバムのCDの音は本当に悪かった。「音痩せ」という言葉を20年近く時を経てセンセから知った私だけど、それで真っ先に思ったのはこのアルバム。お金のない学生だったし頑張ってレンタルCD屋で借りたのに、何だろうこの残念な音はと。
晩秋の朝晩の冷え込みに耐えられずに弱り切った蚊のような、そんな痩せ細った音。小さく、遠く、何言ってるか分からない音であれこれ聴いても、つらさと失望が募っただけだった。
今回のリマスターで私が一番恩恵を受けるだろうなと思っていた作品なんだけど、普通に聴けるアルバムになっていて、ちゃんと鑑賞できるようになっていて、思わず嘗てのひどさを忘れてしまったほど。いやはや音楽うんぬんを語るには、良い音で聴かないとダメだなぁと思ったわ。なので嘗ての評価はほぼゼロだったんだけど、今回の聴き直しで「こんなに楽しくて良いアルバムだったんだ!」と思い改めたよ。
前作「RICE MUSIC」で当面のカタルシスは吐き出したから、今度はちゃんと落ち着いて作ろう、そして少なくとも前作と趣向くらいは変えてという意図は十分に感じる内容になってるように思う。次作「Life in Mirrors」への布石になる面もあるけれども、このアルバムでの数曲、特にポップな曲とか若さの残滓のような曲が作られちゃんと具現化したから、カタルシスを経た高いプロ意識で作られた名作が生まれたんじゃないかと思うようになりました。あ~こんなことを言える日が来るとは思わなかった。積年の憾み、スッキリした~。

@tpopsreryo:
ある程度の音質というのは必要なんですよ。高級オーディオとかハイレゾとかそんなことではなく、しっかりマスタリングすることの重要性を再確認したというか。特にこの作品に関してはサウンドのタイプとしてそんな恩恵を最大限に受けると思っていたから、やっとまともに聴けることが嬉しかったんです。
なお作品全体の印象は各曲レビューで少しずつ確認していくということで、各曲レビューに移っていきたいと思います。

@junnovi:
そやね~。ホンマにそう思う。でもここまで仕上げてきて来るとは思わなかったよね!
あと、土屋昌巳の楽曲って、だし、うま味、コク、そういうところにある気がするねん。聴いてておいしいと思うような、うま味のある音楽。「TOKYO BALLET」は総じて歌謡曲っぽいけど悪くないなぁと思ったよ。では各曲紹介やね。


1.「SUDDENLY 突然の明日」

 作詞:竜真知子 作曲・編曲:土屋昌巳

@tpopsreryo:
1曲目「SUDDENLY 突然の明日」。ノイジーギター全開のオープニングナンバー。既に当時の土屋サウンドの代名詞となったPROPHET-5の倍音豊かなメタリックシンセがこれでもかと畳み掛け、Emulator IIによるガラス音やボイスサンプルを大胆に使用、そんなギラギラ感も含めてもやはりロックですよねえ。
竜真知子の書く歌詞がなんていうかベタベタなので、その辺りが歌謡曲然とさせるのですが、サウンド面では本作のパートナーに井上鑑を起用しているので、グッと硬質感が増しているといった印象です。彼のProphetやEmulator、そしてPPGがこの後も大活躍。Fairlight CMIはおそらくページRでの使用ですね。

@junnovi:
何よりも先んじて触れておきたいのは、当時発売になったCDの音の悪さについてだけど、さっき書いたからこのアルバムについては半分言いたいことが済んだ感じw アルバムの入口付近で音の悪さで退出しちゃってたから。その先がなかったから。だから各曲のコメントはほぼ新曲を聴くような感じになってます。
で、この曲。何かが始まるような、開かれていくような期待を感じさせる一定のベースラインとコード進行。それと感電したようなピリピリというシンセの細かいフレーズに既聴感はあるけど私は好き。こういうエッセンスでポップな仕上がりに。もちろんこれで全然OKなんだけど、ただこの後に出る「HORIZON」や「TIME PASSENGER」に比べると、電流を流すタイミングが一定で、工夫が足りない。「HORIZON」に収録されている「冬のバラ」のオケヒットのジャン!ってやつ、不規則すぎて全然読めなくて、身悶えるんだもん。

@tpopsreryo:
その感電ビリビリがグラス音のサンプリングやね。Emulatorの。明らかにリズムの一角として使用されているけど、あの部分がただの歌謡POPSでは済まさないぞ、という矜持が見え隠れしているんだよね。個人的にはBメロの高速ドモリングボイスはさすがにやり過ぎだろうと思っていますがw

@junnovi:
おっと書きましたねBメロの唐突感。私書こうかどうか悩んで結局控えたんだけど、その通りw ピリピリ音はEmulatorなんや!

@tpopsreryo:
井上鑑のEmulator-IIやね。このアルバムの良いところの1つに、各曲のクレジットに使用したシンセが記載されているんだよ。なので、Bメロの唐突感もピリピリも実は井上鑑の仕業だよ、多分w

@junnovi:
前髪ウェービーな井上鑑。大好きなアレンジャー。見た目と違って、攻撃的でスパイシーなアプローチをするよね。もちろん三枝成彰も好きやでw テレビ以外でw

あと、竜真知子については、アカンね。悪いけどアカンわ。ベタベタやわ。時代におもねってる。杉林恭雄がいい。

@tpopsreryo:
竜真知子の起用は「すみれ〜」からの流れなので、あわよくば「すみれ」の夢再びを狙った本作であると考えると、あながち間違った選択ではないと思うのね。おそらく当時彼に期待されている部分ってそこにあったと思うから。

@junnovi:
そっか。でもね「すみれ」もそうやし、この「TOKYO BALLET」でも出てくるし、褒めてる杉林恭雄もそうやし、某長渕もそうやし、某谷村もそうやし、要はフォーク系は皆そうなんやろけど、わたし、その「ライライ」っていう歌回し、初めて言うかもしれんけど、ホンマに嫌いやねん。何なん ライライ って、ライ 麦か!?

@tpopsreryo:
まあまあ、他はともかく「すみれ」ではライライはほんの数秒だから許してやって。存在感はあるけれどもw

@junnovi:
あ、それはまもなく出てくる曲ですw ホンマ意味が分からへんねん。この件についてはなんぼでも言えるけど、この辺にするわ、ホンマやめてほしい。あとベイベーとか乱発するのも、あんまし好きちゃう。ゲーとかベーとかガッチョラー(中山美穂「Rising Love」参照。しつこいけどw)は良いんやけどw


2.「SILENT HUNTERS」

 作詞:竜真知子 作曲・編曲:土屋昌巳

@tpopsreryo:
2曲目「SILENT HUNTERS」。これはずっと好きな曲。どんだけ暴れ回って狂っていてもこれは好きなんですw 初期の一風堂を受け継いているようなシャウト系歌唱、三方向から執拗に繰り返すマリンバとオケヒットが混ざったかのようなシンセリフ。これだけでも笑えます。せわしなくて最高。
「SUDDENLY」もこれもドラムはFairlightの打ち込みだと思うのですが、このジャストなノリが生み出すバキバキ感が実に良いですね。このマシナリー感、イントロの腑抜けたサンプルボイスもご愛嬌。そして全体的に乾いた音処理がギターに良く効いているのもこの楽曲の重要なポイントです。
あと、後半の畳み掛けるようなシャウトは明らかにライブを意識した構成なのが少し鼻につくというか、必ず客席に向かって「Silent Hunters!」って叫ぶんだろうなって想像できてしまうのが小っ恥ずかしいです。最後の「Danger~~!」はカタルシスを感じるのでアリです。恐らく土屋史上最後のシャウトw

@junnovi:
いい曲やわ~。ホントに良く聞こえるようになった。これはかなりポップで分かりやすいメロディ。Bメロの唐突さもあるけど良くまとまっていて、やっぱり好きな曲になるね。曲の最後まで走り切る感じも良い。OPのぼんやりした英語のコーラスも中々嬉しい。でも英語自体はベタ。
2番のAメロの後のギターソロ、カッコ良い! 分かってやってるよね~。土屋自身の歌も裏声まくってる。シャウトをあちこちでしてるし、終わり方がパタッと終わるし、潔いわ~。若いなぁ~。それにしても「囁きは甘い罠さぁ~」ああ、なんて安直な歌詞!w 腹立つわー。何が言いたいねんって思うわ。ああまた悪口w

@tpopsreryo:
そうそう、大事なこと言い忘れてた。2周目Aメロ後のギターソロ! もちろんかっこいいんだけど、これ彼の得意技だよね。今後頻繁にこの位置でギターソロ入れてくるもんね。このパターンが出たの初めてかなひょっとして。彼の楽曲群を語る上で非常に重要なポイントなので。

@junnovi:
そうそう。そうやんね。この一服するような挟み込みが良いんよね。予定調和な展開に広がりを与えてる。

@tpopsreryo:
このタイミングでのギターソロの挿入は彼の専売特許かもしれないね。それくらい今後頻出してくると思うよ。思わず待ち構えてしまうもん。来るぞ来るぞってw

@junnovi:
あと、あのライブとかで一緒に歌うのを強要されるの、イヤやなぁ~。ちゃんと最後から最後まで自分で歌えって思う。いきなりマイクを観客の方に向けるなって思う。歌いたかったら勝手に自分で歌うし、ほっておいて欲しい。そもそも、マイクを向けたからって一緒に歌えてなんかないし。一体感なんて皆が皆それぞれに味わうもんだろうし。いくら好きなミュージシャンでもあのパフォーマンスはイヤ。

@tpopsreryo:
一体感を強要されるのが得意ではないので余りライブには参加しないのは同意なのですが、ここでは一緒に歌うのを強要しているのではなくて、恐らく天井に指を突き上げて叫んでる土屋なんですよw ロックスターですよね。同時期に森山達也のプロデュースやってるからその影響かなあ。

@junnovi:
ああ、この時期になるんだ、「JUST A PRETENDER」。もっと後かと勝手に思ってた。天井に指突き上げてるって、フレディー(マーキュリー)みたいやね。ただこういったエモーショナルな部分は、一定水準以上にリアルな音によらないと楽しめないと思う。リマスターをして、曲が俄然元気になってこそ楽しめるようになったと思う。よろし。


3.「LIKE A FOREIGNER」

 作詞:竜真知子 作曲・編曲:土屋昌巳

@tpopsreryo:
3曲目「LIKE A FOREIGNER」。「さよならフォリナー」という名前でシングルカット。当時期待されていたのはこうした路線というのがわかりますね。この楽曲に関してはメロディ重視のポップソング。歌詞もベタだし中村哲のサックスも派手さは控えめ。唯一主張するのは打ち込みスネアのフィルイン。

@junnovi:
かなりポップ寄りで軽めの憂いを帯びたメロディ。サビのメロディもどこか懐かしく白く霞んだ思い出を振り返るような雰囲気があるものの、オリジナリティに欠けてると言えるかも。あとOPから始まってサビのところでメロディに呼応する3つの下る音のモチーフは、土屋が良く使うものなんやろね。例えば「TIME PASSENGER」の「水鏡」も3つの下る音でモチーフが構成されてるでしょ?
あと、この曲についてはドラムスのスネアの音が本当に悪い。速い4連打が随所に出てくるけどこの処理も1曲目のチリチリ電流音と一緒で、何度も出てくるのにタイミングは同じ、音色も同じで工夫が足りない気がする。まぁそういう均一的な扱いはその後の作品では見られなくなるし、こういう中庸でポップな音楽も安心して聴けていいなぁと思う。

@tpopsreryo:
あのスネアなんかはまあテクノの残滓というか、打ち込みはああでないといけないというか、一種の美学みたいなのがあるんだよね。そういう意味では本作ではまだテクノポップの陰を引きずっているとも言えるんだよね。サンプラーのガンガンな使い方といい機材の使い方もあからさまだし。


4.「THE FOREVER HOUR」

 作詞:Tod Barron and Chi 作曲・編曲:土屋昌巳
 ストリングス編曲:井上鑑

@tpopsreryo:
4曲目「THE FOREVER HOUR」。本作唯一の英語詞曲なので雰囲気がNIGHT MIRAGEです。ヒヨヒヨフレーズが目立つミディアムバラードですが、これはリマスターのおかげで2名のアフリカンパーカッションのグルーヴと繊細なベースプレイがより堪能できます。少し評価が上向いた楽曲です。
テクニカルなベースをプレイしているのは当時はまだShi-ShonenやReal Fishで駆け出しだった渡辺等。Percy Jonesとはいかないまでも十分クオリティの高い演奏です。実は今までは音質が悪くてこのプレイを堪能できるところまでいかなかったので、これは嬉しい恩恵なのです。

@junnovi:
私はどこか楠瀬誠志郎の「aisA」を感じさせるぁと思ってました。ここで井上鑑を明確に意識しました。でも楠瀬の「aisA」は1988年なのでまだだいぶ後か…。ようやくアルバムらしい曲が出てきましたな。フガフガいう音(センセの「ヒヨヒヨフレーズ」の方が的確やねw)

線の細いピアノ。プォーンという渡辺等ベース。間奏やエンディングのギターソロが「Life in Mirrors」の「Lapis」に通じるdryで響きのある音が良いね。サビの終わりの裏声でリバーブ強化して消え去る処理が独特やね。ライブだったらのけ反りながらちょっと遠い目をして歌うところ?w

@tpopsreryo:
フワーンっていうパッド音色はEmulator-IIのサンプリングコーラスだと思うのですが、アレとジョーストリングスとの相性が良いですよね。ヴォーカルのリバーブ処理も確かに独特で良い。伊東俊郎は土屋の初期ソロを支えたエンジニアだけど、彼も良いミックスするんですよね。

@junnovi:
ホンマによぉそこまで機材分析ができるねぇ~。今日は特にそういう分析のコメントが踏み込んだものになっていて感心しきりでごわす。歌い終わりのリバーブ処理、そうなんやね。印象派の絵画のように滲んで輪郭がなくなり、やがて闇に消えていくよう。その後のパーカッションも軽妙で納得なわけです。ええ。


5.「NIGHT IN THE BABYLON」

 作詞:竜真知子・土屋昌巳 作曲・編曲:土屋昌巳

@tpopsreryo:
5曲目「NIGHT IN THE BABYLON」。遂に登場してきましたバビロン。その後の路線に影響を与えた楽曲であると思います。もともとカッコ良い楽曲と思っていたのですが、リマスターでさらに評価が上がりました。オケヒット大活躍! それに呼応するかのようなリズム感の塊のようなギタープレイが素晴らしい。
オケヒットとギターのサウンドの隙間というかタイミングが絶妙なんですよね。そして忘れてはならない渡辺等の独創的なベースフレーズ。Mick KarnやPercy Jonesのようなベースを探してたら彼を見つけたんでしょうね。変態2人とまではいかなくても十分テクニカルでアガりますよ。
そしてここでもまた出ました。2周目Aメロ直後のギターソロ。本当に必ず出て来るんですよね。しかもそのギターソロが漏れなくカッコ良いものだから毎回期待してしまうのです。

@junnovi:
この曲は結構オケヒットが頻発していて、このA面の最後に来たハイライト。思い切ったオケヒットの乱発。元王朝の交鈔乱発みたい? それにしても渡辺等のベース、センセも書いてるけど、ここでもものすごく攻めてるね。サビのところでちっちゃくベースがプゥプゥ鳴ってるのが良いねぇ。

@tpopsreryo:
渡辺等のベースプレイはリマスターで甦りましたね。彼は堅実なイメージがあったので、少し惚れ直しました。

@junnovi:
でもそういういい点を加味しても、私はこの曲そんなに好きじゃないねん。センセには悪いんだけど、しつこいオケヒットに飽きてしまうねんw あと既に言ったけど、例の「ライライ」がここでも出てくる。ホンマにもうね何て言ったらいいのだろ。何やねんって。って大概言ったからもう良いっかw
あとさ、音楽には関係ないけど、曲名の「The」は要らないように思う、多分(自信ないw)。life in THE Tokyoとかmade in THE Japanとか言わないし。こういうところは、曲はあとに残るから、ちゃんと押さえとかないとずっと恥ずかしいことを晒されることになってしまう。別に英語が得意じゃないけれど、一時期聴いてたSweepというミュージシャンの英語も「?」なる曲名が多かった。「It's the fallin' in love」なんてちょっと語法が分からないし、「Condition of love」では歌中で「♪条件~」と言ってるからConditionsじゃないととか・・・。Grass Valleyの「Dance in the heaven」のTHEとか。
曲に集中したくても、気になってしまうねん。受験英語しかしてない人間やけど、これはヘンやっていうのはさすがに分かるわ。

@tpopsreryo:
英語は苦手なので上手く言えないんだけど、例えばBABYLONが城という解釈であればtheがついても良いのかしら? あと「Dance in the heaven」も一般的な天国ではなくて、個人的な、例えば彼女=天国という解釈ならtheがつくとか・・・全然良くわからないんだけどw

@junnovi:
え? あれ? 急に自信が・・・。ちょっと恥ずかしい・・・。でもでも、語法としておかしいんちゃうかなぁ・・・。ちゃんと文法書見て書いてないから、アカンわ~w まぁ、無闇に冠詞をつけて箔をつけたりするのも、ちゃんと語法を守らないと曲名みたいな目立つところでそれをやってしまうと、程度が・・・と思うのです。


6.「TOKYO BALLET(東京バレエ)」

 作詞:竜真知子 作曲・編曲:土屋昌巳
 ストリングス編曲:井上鑑

@tpopsreryo:
6曲目「TOKYO BALLET」。アルバムタイトルチューンにしてシングルカット曲。そしてCMタイアップという。行くぞすみれの2番煎じ的な楽曲ですね。音の空間の作り方、サックスやボイシングコーラスやピアノが入れ替わりに登場する美しいイントロが雰囲気たっぷりです。
この楽曲は生ドラムで青山純がバシバシ叩いています。そしてここでも例の2周目Aメロ後、今度はサックスソロを挿入してきます。ほんとこの構成が好きなんですね。類似楽曲として森山達也の「LOVE,かくし色」がありますが、そこではちゃんとサビ後にサックスソロが来ます。土屋の十八番なんですねやはりw

@junnovi:
言わずと知れた表題曲。これをB面の1曲目に持ってくるんやね。OPでは不穏なコードで、内向的な音楽なんかなと思っていたら、サックスが伸びやかに奏でられ、歌が始まると思いのほかオープンな世界。しかもしゃくれたようなAメロはどこか気取ってる雰囲気で、Bメロの処理も美しく、そしてサビでは一気に花開くようで一層美しさが際立つ。緩慢なオーケストレーションも硬質なピアノも井上鑑。緩慢さにかけては大滝詠一の「Niagara Songbook」の井上鑑の右に出るものはないけどね! 

ただサビのところで土屋昌巳が「♪トーキョーバレェ~」って歌った直後に出てくる呼応するフレーズが独特で何とも言えない味わいがある。そこがおいしい。

@tpopsreryo:
まああれやね、恐らくもう少し遅いタイミングでの制作期間だったら、サックスは矢口博康が吹いていたと思いますわw この作品リアルフィッシュメンバー結構関わってるし。

@junnovi:
そやね渡辺等とかまさにそうやもんね。「tenon」リマスター欲しい・・・。
そして「LOVE,かくし色」!w 懐かしい!! あったあった!! 意外とセンセ、この曲評価高くない感じやね? そこはやっぱり「すみれ」の二匹目のどじょうやから? あと、「LOVE、なみだ色」って曲もなかった? もっと最近の歌で。

@tpopsreryo:
いやいやそんなことないよ、結構好きな部類ですよw あれは「すみれ」のドジョウと言うよりも「TOKYO BALLET」のドジョウなのよ。しかも同時期の双子的ドジョウ。だってリリースが4日違いなんだもんw
「LOVE涙色」はあやや(松浦亜弥)のアレねw

@junnovi:
スゴ。そうなんや4日・・・。としてもよぅこんな似たタイプの曲を。

@tpopsreryo:
同じ土屋アレンジを4日間隔でシングルリリースという・・・当時土屋に求められていたサウンドなんでしょうね。違う曲だけども競作といっても良いかもしれませんね。


7.「ALIEN」

 作詞:竜真知子 作曲・編曲:土屋昌巳

@tpopsreryo:
7曲目「ALIEN」。これは宇宙っぽいタイトルと思いきやなぜか南国風味で肩透かし食らった楽曲ですね。エイリアンらしさはドモリングサンプリングボイスで消化していますが、しつこくこのボイスが登場して来るので一層気味の悪さが際立ってきます。サビ後の逆回転処理のわさわさ感もエイリアン風味?
本作を通じて気になるのは今回ベースで参加している渡辺等と渡辺モリオのW渡辺。特に渡辺モリオはマライア出身で清水靖晃らとつるんでいたので、もっと面白いフレーズを出しそうなものなんですが、本作では徹頭徹尾目立たないプレイに終始しているんですよ。彼なりの主役引き立て役なのでしょうか?

@junnovi:
ゲゲゲとかギギギとかいってるのがエイリアン? でも1拍目に2つのアクセントがあったり、シンセの音もスティールドラム系なんで南国系。レイを首にかけた宇宙人?w Bメロの小さい合いの手が笑える。サビの合いの手は、良くあるデュエットソングのそれになってるから、別に何がどうということはない。サビ後半の3度のコーラスワークもなんじゃらほい。リラックスして作ってるのは良く分かるから、ま、それはそれでいいんでしょうけどね。この辺りは次の曲と同じく、飲み会の人数合わせみたいな気がしてしまうんです。

@tpopsreryo:
ドモリングボイスが大活躍している曲なので、まあ遊び要素もふんだんに入っていると思うんですよね。絶対井上鑑がEmulator IIを楽しんでるよねこれw 当時はサンプラー黎明期だったから、こうした使用法が流行っていたこともあるんですけどね。

@junnovi:
ドモリングボイスって表記が、どうしてもドモホルンリンクルに見えてしまう。もちろん使ってないけどw 井上鑑も若かったんやね~。


8.「MANNEQUIN」

 作詞:竜真知子 作曲・編曲:土屋昌巳

@tpopsreryo:
8曲目「MANNEQUIN」。これは他の楽曲とはまた違った質感を持っていますね。アコーディオンが福原まり、サックスが戸田誠司、ベースが渡辺等。もうお分かりですね。SHI-SHONENがバックを務めているんです。しかしドラムは友田真吾ではなく青山純。なぜ?結果的には青山で問題はないのですが。
Aメロのコードワークに少し引っかかる部分はあるんですが、基本はアンニュイなフレンチっぽさを醸し出しつつという、実は土屋としては異色な楽曲なのかもしれません。あとこの楽曲だけCASIO CZ-101の記載があるのですが、恐らく泡のようなポワポワッて音なんでしょうかね。

@junnovi:
ポワッポワッと水泡が2つ生じてる。それも執拗に同じパターンで。やりたかったんやろね、この水の音を曲に入れるってことを。でも飽きるわ。入れすぎ。曲終わっても4回も。入れすぎ。でもセンセの指摘するクレジットに載ってる面子を見て納得。たしかにREAL FISH! だからかな?w

@tpopsreryo:
REAL FISHというよりSHI-SHONENやね。矢口博康と美尾洋乃は呼ばれてないわけだから。まあ友田が呼ばれてないのは気の毒としか言いようがないけど、そこは土屋昌巳の青山純への信頼があったからかもしれませんね。

@junnovi:
そっか~。私はSHI-SHONENはほぼ聴いてないからなぁ。了解です。それにしても青山純は「TIME PASSENGER」で再活躍するわけやね~。
REAL FISH「tenon」の「水がわたしにくれたもの」だったと思うんだけど、あれはホンマにしつこかった・・・。耳にいつまでも残る、ビンの中に10円玉落としたような音が延々と続くやつ。それと同じやね、この水の音は。あと、この曲もドラムスの音が潰れてる。青山純やのに。あゝ残念。。。

@tpopsreryo:
ドラムの潰れ方に関しては、思えば85年頃ってこういう処理されていたと思うので、時代の産物という解釈をしています。まだbit数が粗い時代だったから。


9.「最上階のバタフライ」

作詞:竜真知子 作曲・編曲:土屋昌巳
ストリングス編曲:井上鑑

@tpopsreryo:
9曲目「最上階のバタフライ」。噂の自殺名バラード。この歌詞のモチーフって沖雅也ですよね。47階と55階の違いはあるけど最上階には変わりないし。サウンド面ではドラムの処理が素晴らしい。あの入り方がタムのフィルインも含めてリマスター効果が現れています。そして2周目Aメロ後のソロほんと好きねw

@junnovi:
沖雅也! 日景(忠男)さん。「沖は、沖は・・・!(ウググッ!)」というくだりが今も忘れられません。その日景さんについて「(沖雅也の)叔父であり、父であり、恋人だった」と当時週刊誌に書いていて、衝撃だったのを覚えています。まずは曲についてよりもこのことを書かないと、私の気が収まらないのでw

で、落ち着いたところで楽曲のコメントを。
学生当時から折に触れてセンセがいい曲だからと薦めてくれたのを思い出すねん。でも私はどっちかというと苦手なんです。あ~でも複雑やな。
まず苦手と思うのは、「♪震わせたぁ~~~」「♪ふりぃぃ~~~」の部分の狂気が恐ろしくて、ヒステリックな声質で歌うこの部分を聴くことになるから。とはいうものの、サビの終わりの「♪天に一番近い場所から」の薄い水色の空に向かって登って行く様な穏やかで赦しの心に満ちた旋律は、とても美しい。ちょっと神々しいくらい。よくこの単純なのに、素晴らしい納得感を残す旋律を作ってくれたなぁ。このフレーズがなかったらこの曲は救いのない狂気の曲のままで終わってたと思うから。後年の「PERFECT DAYS」や「水鏡」といった、おそらく本人が思っている美しさよりも美しい。単純な旋律なのに、赦しや憧れといった高い精神性の表出がここにはある。井上鑑のストリングスアレンジが効いているんやろうね。良い一体感。あと曲の終わり方については、五段活用終止形みたいな3連チャンは、大団円の演出なんかも知れないけど、ちょっとそれまでの繊細さを極めた作りに比べると粗野な処理に思えるねん。
まるでその場に放り出されて取り残されてしまう感じを抱いてしてしまうんです。ま~この曲については、センセの強い推薦もあって他の曲よりも多く聴いてきたってことは言えるんだけど、日景さんも死んでもうた今、結構落ち着いて聴けますねって今日の今日まで沖雅也なんて思いつきもしなかったけど。

@tpopsreryo:
本作の中では好きな曲だったのかもしれないね当時は。でもわかってるでしょ、ワタシ根本的にバラード嫌いなんですよ。でもこの曲のどこが好きだったかというと、1周目最後のドラムの入り方一発なんですよ。あのパワフルな入り方。タムでさえあの力強さ。青山純ならではのタイトなフィルインなんです。
確かに最後はうるさいくらい連打連打でエンディングするけど、それさえも許してしまうほどこの楽曲のドラムが好きなんです。もちろんメロディも美しいし、沖雅也モチーフの歌詞も身にしみる部分はあるけれども、土屋の裏声は霊魂を呼び覚ましてしまうアニマニズムはあるけども、この楽曲はドラム。

@junnovi:
ああ、そこね。ちょっとどこまで下りていくのかという長めのキレッキレのフィルインね。確かに。納得です。


10.「UNKNOWN SOLDIER」

作詞・作曲・編曲:土屋昌巳

@tpopsreryo:
10曲目「UNKNOWN SOLDIER」。唯一の土屋作詞作曲。「NIGHT IN THE BABYLON」と同じチームなので、ベースはブイブイ言っています。アフリカンパーカッションの2人は本作で実に良い仕事をしていますね。ドラムレスでもグルーヴがやはり違います。そして2周目Aメロ後のソロ(以下略
サウンドにしても旋律にしても、その後の3部作へ続く世界観がここに打ち出されていますね。合いの手風に入ってくるフレーズはもう「Stay in Heaven」の予告編のようですしね。そういう意味では本作も決して突然変異的ではなく、土屋作品の流れの一部であることをここで再確認できるわけです。

@junnovi:
センセはクレジットに沿ってバビロンとセットの曲という分析。そうやね。そのとおりやね。で、私はここにもう次作「Life in Mirrors」への布石を見ます。と思ったらセンセもしっかり言ってるw 2:35あたりのギターソロの最初の音はまるでアラビャなソプラノサックスみたいで、魔法のランプや空飛ぶじゅうたんが出てくる勢い。それにしても2番のAメロのあとのソロ挿入、ホンマにセンセの言う通り、好きなんやねぇ~。今日でもどんだけ出てきましたか?w もうお家芸レベルやなw あと、これはホンマ自分でも意味が分からんのやけど、何でか私はPINKの「MACHINEGUN HEART」を思い出すねん。訳わからへんわ、自分で自分のことw

@tpopsreryo:
本作では6曲に出て来たな。ギターソロが4回、サックスソロが2回やね。昔から本当に気になっていて。本田恭之(GRASS VALLEY)の2周目Aメロで入れてくる一瞬違うシンセフレーズと同じくらいw それはGVの時にいくらでも話すけどw

@junnovi:
この曲構成は、今でもやっぱり亜流のままだから、市民権は得られなかったんだろうけど、今日もすでに書いたことだけど予定調和な曲展開にしない変化球が良いと思うねん。本田もそうだったっけ? ま、それはGRASS VALLEYリマスター発売記念の全曲レビューの時にしっかりとやりましょw


11.「風石」

作曲・編曲:土屋昌巳

@tpopsreryo:
11曲目「風石」。当時CD盤のみに収録されたインスト。また出ましたアンビエント。こういうのも本当に当時好きだったんですね土屋が。サティっぽいピアノに土着的リズムとアコギ、アコーディオンが繰り返し繰り返しという、まさにおまけというかデザート的存在です。それ以上でもそれ以下でもないです。

@junnovi:
コレ、当時のCDのボートラなんやね。写真集の6曲と比べると、まぁ冬の日本海っぽさは減ったけれど、ペリーヌ物語みたいな、どこか売れない楽団やサーカス座、次の公演地に移動するヨーロッパ内陸のうらぶれた退屈で貧しい光景を描いているよう。少し村松健のトーンが増しました。


〜エンディング〜

@tpopsreryo:
それでは「TOKYO BALLET」のまとめにいきましょう。流行におもねりながらも時代に即したデジタルテクノロジー、特にサンプラーを大胆に使用したサウンドメイクで土屋特有のロック&ポップスを目指した作品でしたが、次作への布石も含めて実は継続性のある作品であったと思います。
特に今回何度も俎上に上がった「2周目Aメロ後のソロ挿入」という様式美を確立したことは、その後の土屋昌巳というソロワークスにとって重要なポイントであると言えるでしょう。
とはいえ、流行に寄せたサウンドはここで一段落。土屋昌巳のアーティストとしての本格化は間近に迫っています。こうした作品を通過して見つめ直した先が、あの3部作へと繋がっていくと考えると、本作も重要な作品であることに間違いないわけです。あと、個人的にはやはりリマスターが嬉しかったです!

@junnovi:
歌謡曲寄りのロックアルバムであり、美メロも重視した作り。そしてセンセの言う通りサウンド面でもぬかりなく仕上げてくる。ベースの個性は『RICE MUSIC』より控え目になったけど、ひどすぎた当時のCDの音が今回のリマスターで素晴らしく生き返って楽しく聴くことができたと思うね。アラビャ志向の原点というか端緒がここにちゃんとあったという意味ではセンセの言う通り、一つの大きな流れの中で捉えることのできる作品だったと思いますわ。

@tpopsreryo:
リマスター効果という点では今までどちらかといえば注目してなかった渡辺等のベースプレイや石川明とBabe Hannaの2人のパーカッションプレイの良さが光ったと思います。あとドラムのパワーも増しましたしね。やはりリマスター、嬉しかったですw

@junnovi:
そういう意味では一度OMFでノミネートされながらも、復刻実現ならず見送られたときは、中々の失望感を抱きましたね。その後しばらくして今回のBOX仕様で全作品がリマスターで発売されるとなると、一気に申し込みがあったようであっという間に復刻実現されて、往年の無念が晴らせたというもんですね~。

@tpopsreryo:
というわけで土屋昌巳SOLO VOX第2夜「TOKYO BALLET」のクロスレビューは終了です。次回は3rdアルバム「Life in Mirrors」です。お疲れ様でした!

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