T-POPS的80年代アイドルソング「裏」ベスト100女性編(5・終)

 まあ20曲ずつというのは結構あっという間ということでして、いよいよこのシリーズも最終回ということになります。いろいろなアイドルソングがありますけど、アイドルが歌うからこそわかりやすさが求められてくると思いますし、それなりにインパクトも必要であると。そのためのキラーフレーズであり、グッドメロディであり、チャレンジングなサウンドであったり、そういう要素が絶妙に絡み合って生まれる醍醐味が、アイドルソングの魅力と言えるのではないかと思います。これは別に80年代だから、ということはなくて、現在でも同じことだと思うんですけどね。
 というわけで、いよいよベスト20のカウントダウン。第20位〜第1位まで一気に行きます。最後までお楽しみください。



20位:「Jive」 中森明菜 (1988)

 作詞:Qumico Fucci 作曲:都志見隆 編曲:三宅純

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アルバム「Femme Fatale」収録。三宅純編曲のゴージャスな打ち込みラテン歌謡。前のめりなティンバレスやブラスヒットの音の短さが逆にノリの良さを生み出しています。Bメロの意外な入り方も美しい。


19位:「虹のマジック」 渡辺満里奈 (1987)

 作詞:秋元康 作曲・編曲:山川恵津子

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アルバム「EVERGREEN」収録。まず全体的なメロディの展開がこれ以上にないほど秀逸。Aメロ〜サビにかけて徐々にリズムの球数を多くしていく工夫も巧みで、ブラスのディレイも相まって極上の爽快感。


18位:「さよならの美術館(ミュージアム)」 原田知世 (1986)

 作詞:湯川れい子 作曲・編曲:後藤次利

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アルバム「Soshite」収録。極めてクールな質感のイントロは勿論、Aメロから跳ねるリズムワークと細かなギターのノリが尋常でない。ラストにAメロをもってきての動き回るシンセブラスという構成も素敵。


17位:「火星のプリンセス」 スターボー (1983) 

 作詞:松本隆 作曲:細野晴臣 編曲:清水信之

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アルバム「STARBOW1」収録。テクノポップ特有の直線的なベースラインと早過ぎないアナログリズムの上空をフライングギターが飛び交うサウンドを、スターボー星人のぶっきらぼう歌唱で完成に導きます。


16位:「Rising Love」 中山美穂 (1986)

 作詞・作曲・編曲:角松敏生

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アルバム「SUMMER BREEZE」収録。太いベースとコード進行で一聴して角松敏生楽曲と認識。前半から角松が見え隠れするなと思えば、ラストは完全に角松フェイクだらけになる稀代の主役交代曲。


15位:「水のルージュ (Berlin Version)」 
小泉今日子 (1987) 

 作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:土屋昌巳 ブラス編曲:中村哲

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アルバム「Phantasien」収録。シングル曲が土屋昌巳編曲でライフインミラーズの世界へ。土屋ギターはいななきまくり、ブラスの入れ方も完全にステイインヘヴン。


14位:「左右のエレベーター」 原田知世 (1986)

 作詞:川村真澄 作曲:Casey Rankin 編曲:後藤次利

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アルバム「Soshite」収録。シンセベースとシーケンスとの掛け合いが絶妙なクールビューティーPOPS。コーラスへのビブラート、ギターへのディレイ、スネアへのゲートリバーブとミキサーも大活躍。


13位:「不思議劇場(はてなシアター)」 伊藤つかさ (1986)

  作詞:細田博子 作曲・編曲:白井良明

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アルバム「夢の振子」収録。チープなサンプリング音を散りばめた白井良明前衛的メルヘンPOPS。ドシンッドシンッ!とこれ以上ない圧力のドラムが響き渡り、変調コーラスは奇妙な世界を演出。


12位:「小悪魔(ル・プアゾン)」 中森明菜 (1988)

 作詞:麻生圭子 作曲:西村麻聡 編曲:三宅純

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シングル「TATTOO」B面。西村麻聡曲を三宅純がド派手な打ち込みブラスPOPSに料理。ムーディーなトランペットのイントロに太すぎるベースが自由に動き回る。せわしないブラス&ギミックも満載。


11位:「リモコンボーイ」 我妻佳代 (1986)

 作詞:谷穂ちろる 作曲:柴矢俊彦 編曲:鷺巣詩郎

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アルバム「OH!CHAPPY」収録。電波曲の元祖とも言うべき突き抜けたダンサブルテクノ歌謡。ギミックの限りを尽くしたリズムトラックや間奏前の早回しボイスを駆使したカオスなブリッジが正直怖過ぎる。


10位:「彼女にかまわないで」 麻田華子 (1989)

 作詞・作曲:斎藤雪絵 編曲:井上日徳

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アルバム「Ya!」収録。89年に現れたテクノ歌謡の隠し球。トラックは少なそうなのにリズムの小技の多さと多彩な高速シーケンスの重ね合わせがお世辞にも派手とは言えない曲に独特の花を添えています。


9位:「未来聖女」 セイントフォー (1984) 

 作詞:岡田富美子 作曲:坂井和男 編曲:船山基紀

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アルバム「ザ・オーディション」収録。焦燥感を助長するイントロや間奏の壮大で主張の激しいいななきギター以上に、Aメロのリズムギターのキレの良さが素晴らしい。特徴的なベースラインとの混ざり方も文句なし。


8位:「タキシード・ムーンで夕食を」 キララとウララ (1985) 

 作詞:岩里祐穂 作曲:細野晴臣 編曲:細野晴臣・船山基紀

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アルバム「ダブル・ファンタジー」収録。細野晴臣と船山基紀の奇跡のコラボ編曲。サンプリングをリズムに組み込むセンスに抜きん出る。掴み所のない細野メロディをフェアライトで機械仕掛けに。


7位:「不思議・少女」 真鍋ちえみ (1982)

  作詞:阿久悠 作曲:細野晴臣 編曲:清水信之

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アルバム「不思議・少女」収録。清水信之スペイシーアレンジの決定版。特にイントロからAメロにかけてのアルペジオシーケンスは絶品で歌謡史に残るレベル。サビの明るく転調&ふわふわメロディは流石の細野節。


6位:「Linne Magic」 中山美穂 (1987)

 作詞:田口俊 作曲:小室哲哉 編曲:鷺巣詩郎

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アルバム「ONE AND ONLY」収録。小室哲哉meets鷺巣詩郎。これはもうやり過ぎの一言。明らかなTM的ダンスリズムにこれでもかと唐辛子をぶっかけまくる鷺巣シンセ&ギミックが炸裂。


5位:「意地悪な魔法使い」 堀ちえみ (1984) 

 作詞:森雪之丞 作曲・編曲:白井良明

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アルバム「プラムクリーク」収録。この曲はほとんどムーンライダーズ。堀ちえみの声をかき消す勢いの合いの手とか完全にライダーズ面々のオタ芸。白井良明実験場の中でおじさんに囲まれた健気なちえみ情が眩しい。


4位:「Off Limits」 菊池桃子 (1987)

 作詞:田口俊 作曲:林哲司 編曲:鷺巣詩郎

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シングル「ガラスの草原」B面。ラ・ムー結成直前のソロシングルなのでほとんどラ・ムーそのもの。異なるのは編曲の鷺巣詩郎による(Ana「Shy Boy」をほぼパクりながらの)変にしつこいギミックの導入。間奏のクラップ&ドラムの入れ方は心臓に悪い。


3位:「クロッカス・ヒルで逢いましょう」 島崎路子 (1988)

 作詞:戸沢暢美 作曲:遠藤京子 編曲:清水信之

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アルバム「フルーレ」収録。か細い歌唱の割にパワフルな音というギャップが絶品なアルバム中でも、清水信之流メランコリックな世界観が白眉な名曲。腰の入った爆音ドラムが良い意味で前に出過ぎ!


2位:「象使いのインド人」 少女隊 (1987) 

 作詞:秋元康 作曲・編曲:後藤次利

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アルバム「ZOO」収録。余りにドラムが激し過ぎる。特に打ち込みツーバス高速連打は圧巻の一言。イントロ&ラストはほぼバスドラのみの部分もあり。左右に振る幻想的な白玉や気持ち悪いタム等後藤次利の最高迷作。


1位:「アリスの恋」 真璃子 (1986) 

 作詞:ありうべ雁子 作曲・編曲:山川恵津子

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アルバム「真璃子」収録。山川恵津子&森達彦コンビ渾身のメルヘンファンタジア歌謡。リバーブ&ディレイ+モジュレーションを駆使したサウンドの数々、特にラストの吸い込まれるマジックシーケンスの効果が凄過ぎる。






















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