T-POPS的80年代アイドルソング「裏」ベスト100女性編(4)

 裏ベストとなってきますと、同じアイドルの同じアルバムから何曲もランクインする場合が多くなってまいりますが、決してネタ切れとかではありませんで、それほどよい楽曲が多いということはそれはいわゆる「名盤」ということになるわけです。必然的に全体としてただ単純にクオリティが高いというわけですね。80'sアイドルのアルバムはその売り出し方やリリース頻度の関係から作り込まれたコンセプチュアルな作品は少ないのですが、その分実験精神に溢れた野心的な楽曲や、アレンジャーの粋を尽くしたテクニカルな名曲などが収録された作品も多いのです。
 そんな中から勝手に選りすぐりました今回のランキング、本日は第40位〜第21位まで。いよいよ佳境に入ってまいりました。お楽しみに。



40位:「U.S.Sunrise」 我妻佳代 (1988)

 作詞:森雪之丞 作曲:安藤高弘 編曲:鷺巣詩郎

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アルバム「Merry! Go Round」収録。鷺巣白玉シンセも滲むミディアムバラードで、これもブリッジ部分の異常に長いタメが特徴。秀逸な作曲は後年00年代アニソンの名曲「ハレ晴れユカイ」を編曲する安藤高弘。


39位:「流星少年」 八木さおり (1988)

 作詞・作曲:谷山浩子 編曲:武部聡志

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アルバム「MERLIN」収録。全面的に多彩な電子音が飛び交う完全なるスペイシーテクノ歌謡。バタ臭さの残る谷山浩子楽曲をSF感覚の強いサウンドメイクで浄化する武部聡志の鬼の仕事ぶりが目立ちます。


38位:「粉雪感傷」 島崎路子 (1988)

 作詞:戸沢暢美 作曲:川上明彦 編曲:米光亮

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アルバム「フルーレ」収録。斉藤由貴を彷佛とさせるピュアネスを持つ古いタイプのマイナー歌謡曲が、80年代末に急成長した米光亮の大胆なサウンドメイク&パワフルドラムにより、アルバム中最も派手なロック調に変身。


37位:「ストレンジRAINに包まれて」 富田靖子 (1986)

 作詞:川村真澄 作曲:滝沢洋一 編曲:戸田誠司

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アルバム「Birthday Special いつだってWith You」収録。戸田誠司のギミカルなマシナリーサウンドが炸裂。ロービットなスネアと共に高速ベースとシンセブラスが動き回る。


36位:「BABYLON」 中森明菜 (1985)

 作詞:Sandii 作曲:久保田麻琴 編曲:井上鑑

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アルバム「BITTER AND SWEET」収録。サンディー&ザ・サンセッツ作詞作曲を井上鑑が熟練の技で編曲した渋いニューロマPOPS。幻想的な井上のシンセプレイがアイドルらしからぬ世界観を演出。


35位:「マリオネットの憂鬱」 本田美奈子 (1986)

 作詞:秋元康 作曲:筒美京平 編曲:新川博

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アルバム「LIPS」収録。2nd以降の下世話なくらいの妖艶ロック路線を体現した楽曲。コーラス・エレドラ・ブラスが盛り上げる中、ヴォーカルをぶった切ってのスラップソロからの「わ〜〜↓♪」が白眉。


34位:「Liberty Girl」 中山美穂 (1987)

 作詞:北山瑞穂 作曲:佐藤健 編曲:鷺巣詩郎

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アルバム「ONE AND ONLY」収録。中山美穂楽曲でも鷺巣ド派手サウンドは止まらない。物凄いシンセベースの動き、過剰なディレイのカッティングギター、必要以上に粘るシンセと味が濃過ぎる。


33位:「月世界ナイト」 スターボー (1983)

 作詞:松本隆 作曲:細野晴臣 編曲:清水信之

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アルバム「STARBOW 1」収録。恐怖のスターボー歌唱が存分に楽しめるボコーダーも多用したド直球のこのテクノ歌謡は、細野晴臣は作曲のみで清水信之編曲によるもの。テクノポリス風カウントの茶目っ気も。


32位:「オアズケ」 伊藤つかさ (1984)

 作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:船山基紀

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アルバム「オススメ!」収録。矢野顕子作曲のかわいらしいエレポップ。AメロとBメロ繰り返しのシンプルな構成でも2周目Aメロでは電子タム連打、間奏では矢口サックス、ラストは金属的なギター等バラエティ豊か。


31位:「耳の中の部屋」 早瀬優香子 (1986)

 作詞:竹花いち子 作曲:桐ヶ谷仁 編曲:西平彰

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アルバム「amino co de' ji」収録。アンニュイ性たっぷりのノリの良いマイナーエレポップ。桐ヶ谷仁の書くメロディも隙がなく、西平彰のアレンジ力は特に間奏の珠玉のフレーズ展開にて発揮される。


30位:「続けて」 原田知世 (1985)

 作詞:佐藤ありす 作曲:大沢誉志幸 編曲:井上鑑

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アルバム「パヴァーヌ」収録。後藤次利型ヨーロピアンPOPS路線の前哨戦となる名曲。しかしこれは大沢誉志幸作曲に井上鑑編曲で、コクの深いベースラインが軸の緻密なリズムが特徴。サビでのメジャー転調に救いの手が。


29位:「アクエリアス」 麻田華子 (1989)

 作詞:斎藤雪絵 作曲:松本佳絵 編曲:井上日徳

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シングル「1人でいいもん」B面。彼女の井上日徳(井上ヨシマサ実兄)編曲仕事にも注目。丁寧に組み立てられたリズムに元気なブラスや唸るギターを導入、曲が進行に従って徐々に派手に盛り上げる手法が効果的です。


28位:「グッドラック・チャーム」 島崎路子 (1988)

 作詞:平出よしかつ 作曲:小森田実 編曲:杉山卓夫

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アルバム「フルーレ」収録。このアルバムは高品位メロディと緻密なサウンドとのバランスが絶妙。この曲はコモリタミノル&杉山卓夫の力強いリズムと哀愁イントロ、爽やかなサビが連動した煌めきPOPS。


27位:「猫のフィーリング」 伊藤つかさ (1986)

 作詞:サエキけんぞう 作曲・編曲:鈴木智文

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アルバム「夢の振子」収録。つかさmeetsポータブルロックその2。キラーフレーズを得意とする鈴木智文作編曲で、圧迫的な打ち込み+電子音満載、強烈リズムでサウンドは完全にダンスボランティア。


26位:「霧雨のステンドグラス」 原田知世 (1987)

 作詞:秋元康 作曲・編曲:後藤次利

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アルバム「Schmatz」収録。この頃にはすっかり堂の入った後藤ヨーロッパ路線を聴かせます。(たとえMylène Farmer「Plus grandir」のほぼパクリだとしても)のっぺりしていた原曲を少しいじったサビの旋律が珠玉の出来。それに留まらず全体的にクールな空気を身にまとい幻想的な世界を構築。


25位:「How come~どうしてこうなの?~」 
斉藤由貴 (1988)

 作詞:蓮田ひろか 作曲:渡辺格 編曲:武部聡志

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アルバム「TO YOU」収録。これまた完成度の高い名バラード。宗教的な空気の中でアコギとファンタジックなシンセ、ナチュラルな斉藤の癒し歌唱が完璧に融合。サビが本当に泣ける。


24位:「SCOOOP!」 川島なお美 (1985)

 作詞:NAO美 作曲・編曲:山川恵津子

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アルバム「SCOOOP!」収録。山川恵津子編曲隠れた良質仕事。地面を蠢くシンセベースにバスドラ連打、荘厳なシンセコーラスが絡む中、Bメロのしっとり感を柔らかい白玉シンセが見事にロマンチックに演出。



23位:「へんネ!」 伊藤つかさ (1984)

 作詞:國木田あこ・TAKE' 作曲:タケカワユキヒデ 編曲:清水信之

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アルバム「オススメ!」収録。説明不要の清水信之流エレポップでその後の彼女の迷走記念碑的楽曲。分裂気味なセリフ回しもアレですが歌にも冒険的なエフェクトが施され、ラスト少し音が下がる肩すかし感はやはり変。


22位:「真っ赤なシューズを飛ばす時」 奥田圭子 (1985)

 作詞:秋元康 作曲・編曲:見岳章

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アルバム「クレッシェンド」収録。何事が起こったのかと思わせる不穏なイントロで始まる見岳章印の前衛デジタル歌謡。 驚くべきサンプル連打からのランダムノートに最後はシンセソロ弾きまくり。


21位:「ME HER スクランブル」 本田理沙 (1989)

 作詞:阿久悠 作曲:NOBODY 編曲:船山基紀

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アルバム「ME HER スクランブル」収録。過剰なサウンドを潜り抜けた89年だからこその洗練されたポップソング。船山基紀によるシンセ音色に訴求力がある中で控えめなNOBODYメロが完璧。

↓ 41:25〜「ME HER スクランブル」









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