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ハンドル、曲げていこうじゃないの

ボタンは取れる、タオルは落ちる、最高に沈鬱な気持ちで始まった土曜日、大遅刻の私にも笑顔を崩さない聖人のごときわが恋人(同日、異国に3万人もの視聴者を抱えるユーチューバーであることが発覚)と、ものすごく久しぶりにお芝居(…というと正確じゃないかも…)を観に行った。ちなみに、明日のアーの公演である(タイトル画像は公演パンフから)。こんなに面白いものがすぐに観に行けるなんて、東京は最高なのか?ご機嫌で帰宅。ずっと公演に行きたいと思っている五反田団の、俳優さんたちの演技が観られたことも嬉しい。

創作活動の多くは「こっちに曲がったら(あるいは曲がらされたら)どうだったろう?」って想像から始まってるんだろうな、と考えさせられるような公演だった。当たり前のようなことだけど、想像力って生きる力だなと思えて嬉しかった。自分のおじいさんと仲が良くなかったさくらももこさんが、優しいおじいちゃんを漫画で描いた、って切なくなるような「現実の改変」がされた創作もあるけど、もっと異次元っぽい改変が、私の好みかもしれない。

例えば、知らない間に終わってしまったらしいハライチのラジオ番組で、岩井さんが言ってたこと(要約)。
「おれ、珪藻土のバスマットを使ってるんだけど、あまりにも吸水するから、そのうち体内の水分も吸われてミイラになるんじゃないかと思う」。

例えば、穂村弘さんが、対談集か何かで言ってたこと(またもや要約)。
「ハンドルを見たら、これがぐにゃぐにゃだったらどうしようって考えちゃう」。

坂口安吾が『堕落論』で書いてた、「ほんとうのことというものは、ほんとうすぎるから、私はきらいだ」。ほんと、ほんとだよ安吾!
居場所のない会議室をゼリーで満たしたり、満員電車の外側にハワイを広げたり、脳内じゃあ魔法は使い放題なんだから。「ふ」と笑える一瞬のために、曲げていこうじゃないの、ハンドル。曲げていこうじゃないの、世界。

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