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「何かを始めるのに、遅いなんてことはない」U-25の背中を押す、Traimmuの“次の一手”

社会には、「毎日楽しそうに働く人」と、「毎日つまらなそうに働く人」がいる。もしこの記事を読んでいるあなたが後者なら、最後までこの記事を読んでみてほしい。なぜなら、明日から「毎日楽しそうに働く人」になるきっかけがつかめるかもしれないからだ。

長期インターン募集サービス『InfrA』、20代をエンパワメントするメディア『co-media』を運営する株式会社Traimmuは、2018年よりU-25のキャリアを支援する新たな事業構想を形にしようとしている。

サービスリリースを直前に控え、founderの高橋慶治・佐野貴之が創業までのストーリーを振り返った。大学の講演がきっかけで起業を決意した話から、四畳半のアパートでがむしゃらに働いた上京秘話、そして画一的なキャリア選択の刷新に挑む現在までを紐解いていく。

ステータスより、価値創出。Traimmuのルーツはスタートアップに魅せられた学生時代

ーーお二人がTraimmuを創業されたのは、まだ大学生の頃だったとお伺いしています。代表の高橋さんにお伺いしたいのですが、もともと起業をしたいと考えていたのでしょうか?

Traimmu代表取締役・高橋慶治

高橋慶治(以下、高橋):いえ、そもそも「スタートアップ」という言葉すら知りませんでした。外資系金融企業や外資系のIT企業など、いわゆる“勝ち組”といわれる企業に就職しようと思っていたんです。

ーー大企業とスタートアップでは、働きかたも給与体系も違います。何かきっかけがあったのでしょうか?

高橋:大学1年生の頃に、外資系金融企業が主催する3日間のワークショップに参加したことが分岐点でした。ビジネスモデルや働きかたを間近で見ても、いまいち魅力を感じることができなかったんです。

「ゼロから価値を生み出していないな」と。当時はステータスに憧れていたんですが、あまりワクワクすることができなくて。

ーーそこで、「スタートアップ」に興味を持たれた?

高橋:そうですね。たまたま同時期に、投資家の前田ヒロさんが大学で講演をされていました。彼がいうことには、「ヒップスター(デザイナー)とハスラー(マーケター)、そしてハッカー(エンジニア)がいれば、スタートアップが作れる」と。

そして、世界を見渡せば、学生たちがスタートアップを立ち上げて世の中に価値を創出しているというのです。そのお話を聞いて、直感的に「自分もやりたい」と思いました。

ーーそれから、実際にビジネスをされたのでしょうか?

高橋:その講演で隣の席に座っていたエンジニアに声をかけ、早速サービスを作りました(笑)。結果として解散してしまいましたが、大阪市からシリコンバレーに派遣され、現地の投資家に向けてピッチをしたこともありましたね。

ーーちなみに取締役の佐野さんは、どのようにして高橋さんと出会われたのでしょうか?

Traimmu取締役・佐野貴之

佐野貴之(以下、佐野):僕はもともと学生のうちに起業したいと思っていて、一人でサービスを開発していたんです。そうした情報発信もしていたので、それを見た高橋からFacebookでメッセージが送られて来ました。

ーー佐野さんが手がけたサービスを見て、起業のオファーを受けたと?

佐野:今でいう、ソーシャルナンパですね(笑)。当時自分も学生で、学生向けのサービスを作っていたんです。現在Traimmuが展開する『co-media』や『InfrA』 のルーツになっているサービスで、二人でグロースさせていこうと話しました。

ーー当時手がけていたサービスについてお伺いできますか?

佐野:『co-mender』という、内定者と就活生のマッチングサービスです。開発の背景には、困っていた友人を助けたいという思いがあります。

その友人は昔からパイロットを目指していたんですが、所属していた大学からパイロットになる人はほとんどいません。なので、なかなか情報を得られずに困っていて。

彼は無事にパイロットになることができましたが、パイロットになることが決まった数ヶ月後に、実は同じ学科の先輩にJALの内定者がいたことが分かったんです。

ーー非常に非効率な情報収集をしていたと。

佐野:おっしゃる通りです。その光景を見て、きっと氷山の一角だと思ったんですよね。身近に話を聞いてもらえる存在がいることを知らずに、就活で苦労している学生がたくさんいるのではないかと。

内定者の持っている情報は、就活生にとって貴重です。なので、「話を聞きたいです」、「ESの添削をして欲しいです」と気軽に先輩に相談できるプラットフォームを作りました。

「インターン」の草分けになる。試行錯誤の末に生まれた『co-media』・『InfrA』の開発秘話

ーー『co-mender』に続くサービスとして、『co-media』を開発された理由をお伺いできますか?

高橋:『co-mender』を開発したのはいいものの、マッチング数を増やさないとビジネスになりません。佐野が開発を手がけ、僕が営業をしてサービスのグロースを目指しました。その一つの手段が、メディアを持って情報発信することだったんです。

『co-mender』に登録してくださっている方のインタビューを記事にして投稿していたのが、『co-media』でした。

ーーでは、どちらかというと副次的なサービスであった『co-media』の方が、反響が大きくなったということでしょうか?

高橋:そうです。あれよあれよとPVが伸び、既存サービスを差し置いて、学生向けメディアでは国内No. 1規模に成長しました。

ーーなるほど!では、『co-media』が成長したと同時に法人化を?

高橋:とはいえ、全く「ビジネスにはなっていなかった」のです。大学時代は二人とも大阪に住んでいたんですが、そもそも大阪ではスタートアップが立ち上がるような環境が整っていなくて。

ヒト、モノ、カネ、そして情報が全くない。とにかく、資本の集まる場所に行かなければいけないと痛感しました。そこで月に一度東京に足を運んでいたんですが、緩やかに「インターン」の需要が高まっていることを知ったんです。

佐野:学生向けのサービスを展開していたので、なんとなくそうした情報があることは知っていたんです。そこで、企業と学生をつなぐ長期インターンシップの募集サービス『InfrA』を構想しました。

高橋:その構想だけを頼りに、僕は東京へ拠点を移すことを決意しました。佐野が大阪に残ってサービス開発に専念していましたが、僕は東京で投資家が主催するイベントに何度も足を運んだんです。そこで投資のオファーをいただき、2015年に法人化しました。

佐野:法人化が決まり、『InfrA』のベータ版ができたところで、高橋に遅れる形で東京に合流。これが、Traimmu のスタートです。

高橋:ただ、当時はとにかく貧乏暮しでしたよ。家賃4万円もしない超ボロアパートに住んで、ひたすら営業をする毎日でした。家にはアリが沸いてくるし、全身が原因不明の痛みに襲われたり…(笑)。

佐野:僕は四畳半の家に住んでいましたね。ひたすら働いて、寝るためだけに家に帰る…そんな日々でした。

ーーサービスがグロースしたきっかけを教えていただけますか?

高橋:一つの契機になったのが、経営者の「カバン持ちインターン」です。

「カバン持ちインターン」…選考を経た1名の学生が、有名経営者に1日密着だける贅沢なインターン企画

高橋:株式会社DeNA会長・南場智子さんや、C Channel代表取締役・森川亮さんのカバン持ちができるインターンを企画したところ、非常に大きな注目をいただきました。

佐野:以来、徐々にサービスが成長し、現在に至ります。ただ、まだ自分たちが描いている成長曲線には到達できていません。追加の資金調達も視野に入れていますし、今年はさらにギアを上げていきたいと思っています。

くすぶった若人の「やる気スイッチ」を押す。キャリアパスを自分の手で描いてほしい

ーー2018年の事業構想について、お伺いさせてください。

高橋:今までは学生に絞ってサービスを展開してきましたが、今後はターゲット層を広げていきます。25歳以下の、いわゆる「第二新卒」世代にもフォーカスしていきたいと思っているんです。

ーーその背景をお伺いできますか?

高橋:「新卒」であることが価値になる現在の就職活動を変えていきたいんです。学生時代に留学をしたり、休学してプログラミングを学んだり、もしくは卒業後に世界を旅したり…誰しも自由なキャリアを歩む権利を持っています。しかし現在の就活制度では、新卒資格がなくなった途端にキャリアが狭まってしまいます。

高橋:またファーストキャリアが自分に合わず、すぐに退職してしまった場合、それだけで選択肢が少なくなってしまう。若い年齢のうちにいろいろなことにチャレンジして、じっくりとキャリアを検討できる社会にしたいんです。

ーー社会人になってからでも、一度インターンをして、再スタートを切ってもいいわけですもんね。

高橋:もちろんです。最近では、社会人の方から「インターンがしたい」という相談をいただくことも増えました。

佐野:画一的なキャリアパスしか描けないのは、勿体無いですよね。もっと自由に、働くということを考えられる機会があるべきだと思っています。

ーーちなみに、インターンがキャリア選択のなかで重要な理由はどうしてでしょうか?

高橋:長期インターンのいいところは、「やる気スイッチがオンになること」です。劇的な変化が訪れるわけではありませんが、インターンがきっかけになって、その人自身の人生が動き出します。

僕自身、学生時代に長期インターンで変わった一人でした。実際に社員が3人しかいない会社で働いたことで事業の作り方が分りましたし、リアルな経営を知ることができました。だからこそ今の自分があると思っているのですが、こうした経験が学生時代にしかできない風潮はあまりに悲しいことです。

「就活があるから留学にいけない」など、意味のない時期の制約によって、自分のやりたい事を諦めてしまっている人も少なくありません。そういった意味のない制約は、社会から取っ払いたいんです。学校を卒業してからでも、キャリア選択の手段として「社会人インターン」があってもいいはずです。

佐野:僕も学生団体を立ち上げたこと、自分でサービスを立ち上げたことでしか見えない景色を見ることができたからこそ、今こうして起業という選択肢を持つことができています。やはり、経験することでしか得られない選択肢があるんです。

社会人になっても、長期インターンによって「やる気スイッチをオンにする」ことは可能です。僕たちのサービスを利用することで、きっかけがほしい若い人たちの背中を押してあげることができればと思います。

高橋:そうですね。サービスとしてさらにもう一つ展開を考えているのですが、それはまた次回の機会に!(笑)

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株式会社 Traimmuへのご連絡は代表の高橋まで

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