「まず写す」というフェーズについての思考

初心者が行う行為のひとつ

プログラミングでは「写経」、イラストでは「模写・トレース」があります。
これは初期での学習に良いとされ初学者に推奨される行為、プログラマは「最初は写経がいいよ」、イラストレーターは「ただひたすらに描く」というセリフに覚えがあると思います。

しかしなぜそれが良いとされるのか

経験してみれば確かにそうですが、これから入門しようという人にそれを教えても、教わる側は実感が湧かないものです。
言われても終わりのない行為のように思えて、その効果が本当にあるのか他に効率が良い学習方法があるのではないか、など思考を巡らせ二の足を踏んでしまう事もあると思います。
詳しく理由を教えてくれる人は多くありません。あっても経験則からくるものが多く、実感が湧かない場合が多かったりします。場合によっては「あなたが何をしたいか分からないから私には教えられない」と先達者に言われ、教えを乞うても拒否される可能性もあります。

初学者だからこそ「何も」分からない

エンジニアの知的生産術」では以下のように述べられています。

大雑把に情報収集できないなら、片っ端からやるしかありません。大雑把な全体像の把握ができない状態は、理解を組み立てるための材料が足りていません。大まかな説明を読んでも頭の中でイメージが湧かないなら、イメージするための知識がそもそも欠けているのです。
「何から学べば効率が良いか」と考えて足踏みをしてしまうことはよくあります。しかし、最初は「何から学べば効率が良いか」を判断する材料すら持っていません。そこで足踏みをしないで、まずは材料を手に入れることが必要です。

全く活用できる知識と経験がなければ、効率が最悪でも手を動かし最初から作業するしかないと思います。
同書では、その最中でも学習の効率化については考え続ける必要があるとも述べられています。

イラストやデザインも同じようなことが言えるのかも

模写やトレースから得られるものが多いのは事実です。
それは初学者だけでなく経験者も同様です。
けれどそこに共通しているのは「新しい知識」という点です。
新しい知識を得るためには真似をするのが手っ取り早いです。それでも初学者と経験者で学習効率が変わるのはメンタルモデルの形成だったり重要な部分を適切に認識できる知識によるものだと思います。
スマホの電源の入れ方を知っている人は、日頃iPhoneを使っていてもAndroid端末の電源を難なく入れられるでしょう。これがメンタルモデルであり、経験者が近い分野の知識を得るには先に得た知識を流し込みながら学習できる、という点が強みになっています。
同じ行為でも既に持っている知識と経験で学習効率は一気に変わるものです。初学者は当然、知識も経験も持っていないのでやはり何が本質なのか何が大事な情報なのかを、最初から知ることは出来ないのだと思います。
ゆえに写経やトレースで具体的な作品を作っていき、その中からふとしたタイミングで重要な部分である共通項を認識し、抽象化・モデル化ができるのだと思います。

抽象と具象レベルでの認知

どういった学習プロセスをたどると技術力が身に付くのか

上記記事では学習を具象・抽象的な知識を用いて問題解決にあたるプロセスが記載されいています。
知識の抽象化を用いれば、得られた知識を効率よく他の問題にも活用できるのではないか?という思考です。
これは先に紹介した書籍と近い思考になっています。
きっと初学者が最初に得る知識は、この記事で述べられている「その問題しか解決できない「具体的な知識」」なのかもしれません。

まとめ

・写経やトレースは最初に行うものだが、それは「参考になる材料を一切持っていない」という理由がひとつある。
・メンタルモデルなどの応用できる知識が無いならば効率が最悪でも材料を集めないといけない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?