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東美濃へいりゃあよ

この春、故郷界隈が朝ドラの舞台になると知ってずいぶん前からワクワクしていました。が、思えば忙しない朝のルーティンに優雅なNHK鑑賞を組み込むことはまず不可能。録画や土曜日の再放送に賭ける手もあるにはありますが、あまちゃんすら観なかった私には恐らく今回も縁がないでしょう。
しかしこの国民的ドラマの流行にはいっちょ噛みしておきたい!と無闇に気持ちを高まらせ、週末に所用がてら帰省ルートで車を走らせてきました。


たいした計画も立てず、メインロケ地の岩村町や情緒あふれる町並みの大正村あたりまで足を伸ばしてみようか?などと気の向くまま国道19号線をぐんぐん辿る。目的地までもう一息という道の途中、ふと目に飛び込んできた《竜吟の滝》の看板に私はなぜか引き寄せられるようにハンドルを切り、閑散とした駐車場に停車しました。ここはロケ地巡りの観光客が立ち寄ることもなさそうな、地元の小さな小さな名所です。まだまだ続く予定のドライブ、少しリフレッシュに山道でも歩こうかと予定変更です。

春なのに赤く染まった紅葉、陽光に透けて新緑とのコントラストが素敵。

地名にちなんだドラゴンの巨大オブジェ。
東濃地方は美濃焼の産地として窯業が盛んで、至るところで陶芸オブジェが出迎えてくれます。ワールドワイドな大作も多く、この近所には「世界一大きい狛犬」、「世界一大きい茶壺」、「世界一大きい皿」もあります。いずれもギネス認定の肩書きに恥じない大迫力の傑作です。


渓流沿いのハイキングコースを下流からてくてくと上がって行くと、間もなく舗装のない土が剥き出しの山道に。川風が爽やかです。もうすぐ水芭蕉の季節ですね。

たいした距離を歩くでもなく水音が近付いて竜吟の滝が見えてきます。清流の大瀑布!とまでは言えませんが、舞い上がる飛沫が心地良く、癒やし効果は十分です。ふらっと立ち寄ったので三脚の用意がなかったのは悔やまれますが、1/6400秒の荒ぶる水滴もなかなか面白いものです。

滝壺に吸い込まれる轟音を聴きながら、すぐ脇を通り抜けて更に上流へ。こんなに真横まで近づけるのも、小さな滝ならでは。

大岩の裂け目に根ざして垂直に伸び上がる樹木、その下の隙間から身を起こす新芽。この辺りはもう手付かずの大自然、厳しい道なき道…、と思いきや《さわやかウォーキングコース ⇒》の看板が。JRさん、なかなか攻めるなぁ。

突然シシ神様やコダマが現れてもおかしくないと思えるほど美しい逆光。こういった自然美に向けてシャッターを切るのは、何というか「撮らされてる」気がして悔しくなりますね。パノラマで肉眼に食らった衝撃をフレームに閉じ込めるのは難しい。前の週末にもうちの近所の裏山を歩きましたが、やはり緑のスケールが違います。

思いのほか山歩きが楽しくなって奥へ奥へと歩き回り、復路ではギフチョウ?ヒメギフチョウ?との出会いも。縞模様で小さなアゲハのような、岐阜県と縁ある名前の可愛らしい蝶々です。撮らせてはくれなかったけど少しの距離を共にして、ひらひらと山へ帰っていく後ろ姿を見送りました。坂を勢いで下って車まで戻ると、汗はかいたしお腹は減ったし、今日はもう撤退だ!と更なる予定変更、と言うか目的地未達で計画頓挫です。ま、それでも久し振りに存分の深呼吸ができる充実した一日になりました。


さあ次こそは大正村まで!できれば朝ドラの最終回までに。
ちなみにドラマで東濃弁がどのくらい使われているか把握していませんが、「いりゃあよ」は東濃弁で「おいでよ」という意味です。是非。

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