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第6章 銀河と宇宙 50

天文宇宙検定1級公式参考書極・宇宙を解く-現代天文学演習」を読んで、わからない用語や整理したい内容をまとめています。
ど素人がまとめていますので、誤り等指摘いただけると嬉しいです。

銀河回転

銀河円盤が扁平な形状となっているのは、円盤内のガスや恒星が銀河中心の周りを同じ方向に回転運動しているためである。この回転を銀河回転という。
対してバルジの部分が膨らんでいるのは、恒星が銀河中心の周りをランダムに運動しているからである。

銀河回転の速度は銀河の重力と遠心力が釣り合う速度となる。
そのため、回転角速度は中心から遠ざかるほど小さくなる(差動回転
(これに対し、DVDのように回転角速度がどこまでも一定の回転を剛体回転という)
渦巻銀河の場合、銀河中心付近では剛体回転に近いが、全体として差動回転となっている。

渦巻銀河の傾き角

渦巻銀河を斜めから見ると、楕円状に見える。
これは円形の銀河系を斜めに見ているからである。この角度$${i}$$(真上から見たときは$${i = 90°}$$、真横から見たときは$${i = 0°}$$)は、楕円状に見える渦巻銀河の長半径を$${a}$$、短半径を$${b}$$とすると

$${\cos i = \frac{b}{a}}$$

で計算される。

渦巻銀河の回転曲線

銀河のある点の視線速度は、その点の電波やスペクトル線などのドップラー遷移を観測することによって求めることができる。
銀河全体の視線速度は、銀河中心の視線速度$${V_0}$$となる。
また、視線速度の大きい側が我々から遠ざかるように、小さい側が我々に近づくように運動していることになる。
そこから銀河の回転速度は、長軸状のある点νの視線速度を$${v(r)}$$とすると

$${V(r) = \frac{|v(r) - v_0|}{\sin i}}$$

で計算することができる。

銀河の回転速度と質量分布

銀河の中心から距離$${r}$$の位置にある質量$${m}$$の恒星が、速度$${V}$$で銀河回転している場合、この恒星に働く遠心力$${f}$$は、

$${f = \frac{mV^2}{r}}$$

で計算される。

さらにこの恒星に働く銀河の重力$${F}$$は、銀河中心から半径$${r}$$の旧内に含まれる全質量$${M(r)}$$によって

$${F = - \frac{GmM(r)}{r^2}}$$

で計算される。

渦巻銀河の回転曲線とダークマター

多くの渦巻銀河を観測し、その特徴をまとめると
 ・銀河中心付近では回転速度は距離にほぼ比例している(剛体回転)
 ・その増加が止まった後は、
   A.回転がほぼ一定になるもの
   B.徐々に減少するもの
  の2タイプに分けられる
となります。

このうち、Bについては太陽の周りを回る惑星の運動と同じで、ケプラー回転と呼ばれる。銀河の外側であることを示している。

ではAのように一定の回転速度(フラットローテーション)というのはどういうことなのでしょうか?
速度が一定ということは、速度を一定にするだけの質量があるということであり、$${r^2}$$に密度分布が反比例していることになります。
フラットローテーション銀河では、光や電波、X線といった様々な電磁波を用いて観測できる恒星やガスの質量が、銀河の回転速度から求められる全質量の数分の1から10分の1程度にしかなりません。
このことは、渦巻銀河には恒星やガス以外に重力を担う物質が大量にあることを意味しています。
この物質が光や電波で直接観測できない未知の物質ダークマターなのです。

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