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野音の、はなし。

2017年、5月。
8年ぶりに、大学生の頃から大好きなバンド・
クラムボンが日比谷野外音楽堂(通称・野音)で
ライブを行う。

運よくチケットを
手にすることができてからというもの、
わたしの頭の中は 野音のことでいっぱいだ。
8年前の野音のライブ。
あの時は確か10月10日で、
わたしは自分がなにになりたいのか、
なにをしたらいいのか、何もわからず
ただ、言葉とおんがくと演劇が好きで好きで。持て余したエネルギーを
ライブにぶつける大学生だった。
不安ともやもやを音楽のグルーヴの中に
ひた隠しにしてやり過ごす、20歳だった。

クラムボンの野音ライブは、
いつも入場ゲートでひとりひとつ、
シャボン玉セットが配られる。
各々が好きな時にシャボン玉を吹いて、
野音という空間を埋めてゆく。

せみしぐれの夏、
残暑の匂いのする秋の夕暮れ。
ヘリコプターの細かい音が鳴り響き、
ビルの灯りが灯った野音の空が
シャボン玉で埋め尽くされるその様は
ちっちゃな魂がたくさん たくさん
空に向かって、音に乗って
旅に出てゆくのをぼんやり眺めているような、
まるで、夢のなかのような光景だった。

あれから8年。
また、クラムボンと野音で再会できる。
わたしはシャボン玉を吹くだろう。
あれから変わらず、何者でもないわたしは
小さく涙を流して、
野音の広く大きい空にシャボン玉を放つだろう。

あの頃から、変わらないことがある。
クラムボンの音楽が好きで、
今もここにあるということ。
あの3人のような大人に、今もなりたいということ。

5月の野音の空が、いまから楽しみです。

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#clammbon
#おんがくのこと
#音楽
#music
#音楽と記憶

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