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おいしさの新常識、スピンオフ

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cakes余談『しょう油の話』

cakesで『樋口さん、どれがいちばんですか?』という連載をしているのですが、三回目はお醤油。 連載ではキッコーマンのしょう油をいくつかをオススメしましたが、他にももちろんおいしいしょう油はたくさんあります。 原材料に黒大豆を使った「菊醤」なんかはオススメしていますが、問題はやっぱり鮮度の低下。昔、どこかの本で読んだのですが、ある料理屋さんでは一日の営業のはじまりに小瓶の醤油の封を開け、翌日には賄いに回して、お客さんには出さないというほど、酸化は気になります。家庭では料理

シンプルがんもどきの作り方

cakes『おいしいをつくる料理の新常識』の明日の更新は「がんもどきの煮物」です。 豆腐系のメニューは「そそられない」のか、PV的には伸びない傾向があるのですが、こういう地味な料理こそ、たまに作っていかないと残らないので(消えてもええやんという意見もあるかもしれませんが)意識的に取り上げるようにしています。 さて、cakesに掲載する煮物のがんもどきは市販品を使っているのですが、がんもどきは自家製するとおいしい。こちらで作り方を紹介します。 がんもどきにはもめん豆腐を使

〈フランス料理という考え方〉について

cakesの更新は「ポトフ」です。 「ポトフにはフランス料理の基本が詰まっている」と書きましたが、そもそものフランス料理とはなにか、という話をします。 フランス料理という構造1985年に公開された伊丹十三の映画「タンポポ」。前作「お葬式」に続く二作目として撮られたこの映画は食べ物をテーマに扱い、西部劇風の見立てのなかで展開するメインストーリーと無関係なサブストーリーが展開されますが、サブストーリーのエピソードにフランス料理を扱ったものがあります。 フランス料理店を訪れた

酢素麺の作り方

明日、更新予定のcakes連載「おいしい」をつくる料理の新常識」では「酢を使った作り置き、3種」を紹介しています。 こちらで紹介するのは「酢そうめん」の作り方です。蒸し暑くなってきたので「そうめんもいいか」と。そうめんつゆではなく、酢を入れてさっぱりさせたかけだしで食べるそうめんです。 かけだし 水    600cc 鰹節   15g 薄口醤油 50cc なんでこちらをcakesに載せなかったのか、というと僕のレシピではめずらしく「薄口醤油」を使っているからです。この調

肉餃子の作り方

専門外なので中華系のレシピはnoteやcakesに載せていないのですが、日本生まれの料理ならはいいかな、となったのが今回のテーマである焼き餃子。 餃子は専門店が生餃子や冷凍餃子という形で販売しているのでそれを買った方が簡単ですし、合理的なので、cakesでは焼き餃子の『焼き方』を詳しく解説しています。 とはいえ僕も子供の頃、餃子作りを手伝った思い出がありますが、餃子はみんなでつくると楽しいもの。週末に人を集めて、餃子パーティーなどいかがでしょうか。 肉餃子 豚肩ロース 

からしバターの作り方

本日、更新のcakes連載では『究極の卵サンド』を紹介しています。 ここで登場しているのがからしバター。レシピの記述はこうです。 室温に戻してやわらかくしておいたバターと辛子を混ぜ合わせて、からしバターをつくっておく。 これだけだとわかりづらいので、バターが硬くてパンに塗れないという事態に陥りそうなので、こちらで補足しておきます。 バターを室温に戻してやわらかくすることを料理用語で『バターをポマード状にする』と言ったりします。問題はポマードという単語。ポマードは整髪料

cakes連載とブルーチーズとチョコレート

cakes連載の更新今日は二つの材料でできる極上のチョコレートムース。 noteでも以前、載せたレシピだけど、チョコレート種類を変えながら試作を繰り返した。ちなみにチョコレート系のお菓子の場合、製菓用として売られているチョコレートよりも板チョコの方が失敗の確率が少ない。(丁寧にコンチング=すりつぶし処理がされているため)総じて日本のチョコレートは口溶けを優先させるために粒子が細かいので分離するリスクが非常に低い。大手メーカーの技術力はすごい。 結局、糖分の割合をどれくらい

【補足】サーモンの皮のとり方とカリカリ焼き

1/26日更新予定のcakes連載のテーマは『サーモンのムニエル』。ムニエルにするときは皮をつけたままでもいいんですが、除去してから焼いたほうが食べ手には優しいです。 魚の皮を除去する場合は尻尾側から包丁を入れて、皮を引くのが一般的。このときは包丁を動かさず、魚の身を右、左に引っ張りながら作業すると上手にできます。ところが鮭のように大きな魚や切り身の場合はなかなか難しい。 簡単なのは真ん中に包丁を入れて、皮目まで到達したら包丁を寝かし、切る方法です。この方法のメリットは自

缶詰でできるひよこ豆とツナのサラダ

cakesの連載の更新です。 これ、すごくおいしいレシピ(だと思う)なのですが『肉じゃが』とか『角煮』みたいな誰もが知っている名前の料理じゃないので、PV的には苦戦すると思います。『ひよこ豆? ないよ、そんなの』みたいな反応もあるだろうし。でも、新しい料理(と食材)を知ることは人生を豊かにすると思うんですよね。だから、時々はこういう料理を紹介していきたいので、皆様リンク先の閲覧のほど、よろしくお願いいたします。 cakesレシピの元ネタはハレーラというラマダン明けにつくる

豚バラ肉の黒胡椒煮付けの作り方

cakes連載の更新。 テーマは『豚の角煮』でした。この豚の角煮の問題点は『一度目の下茹で90分』→『二度目の本加熱60分』と時間がかかること。その点を踏まえて、こちらでは30分くらいの煮込み時間でなんとかおいしく食べられる豚バラ肉料理を、というコンセプトで考案したレシピをご紹介します。 豚バラ肉 300g 砂糖   15g 塩    3g 酒    100cc 水    200cc 醤油   大さじ1 砂糖   大さじ1 黒胡椒  好みで 豚バラ肉は加熱時間を短

そばがきの作り方

大晦日に年越しそばのレシピを書きました。 これは乾麺を使っています。かけだしがやや多めの分量になっていて1Lできます。一人前400ccが目安ですから、200ccほど余る計算になりますが、じつはここがレシピの肝。ギリギリの800ccでつくるよりも味のブレが少なく、誰がつくっても安定するのです。乾麺って水気の切り方や種類によって、表面に付く水分量がかなり違うので、味が薄くなったり、濃く感じたりと安定しないのが難点なのですが、たくさんつくることで解決しています。 最近は道の駅な

cakes連載〈「 おいしい」をつくる料理の新常識〉第24回余談「軽いパンケーキ ベーコン風味のメープルシロップかけ」

cakes連載の第24回。テーマはパンケーキ。 今回のパンケーキはベーキングパウダーで膨らませた。さらに軽くしたいという場合には卵の力を借りることになる。つまり、メレンゲを混ぜるのだ。 軽いパンケーキ 材料 小麦粉   100g グラニュー糖 大さじ2 塩     ひとつまみ ベーキングパウダー 小さじ1 卵     1個(卵黄と卵白にわける) 牛乳    100cc その前にベーコン風味のメープルシロップをつくる。これはイギリスのシェフ、ヘストン・ブルメンタールのアイ

cakes連載〈「 おいしい」をつくる料理の新常識〉第23回余談「里芋のそぼろ煮の作り方」

cakesの更新。今日のテーマは鶏そぼろ。 鶏そぼろはお弁当の定番。炒り卵と一緒にして、二色の丼にすることが多いけれども、今回は親子丼に仕立ててみた。 とろとろの親子丼のコツは「蓋をしない」こと。蓋をしてしっかりと火を通すとふんわりと仕上がるので好みだけれど、ご飯との一体感は蓋をしない半熟タイプの方が上。ちなみに親子丼を考案した人形町玉ひでの厨房には蓋がないので、このタイプがやはり王道と思われる。 谷崎潤一郎が贔屓にしていたかしわ料理屋としても有名ですよね。 鶏そぼろ

cakes連載〈「 おいしい」をつくる料理の新常識〉第22回余談小松菜の辛味成分はどこまで引き出せるか?

cakesの更新。副菜系はPVが低いことが判明しているので、皆様よろしくお願いいたします。 で、おひたしです。お浸しは青菜を茹でて醤油をかければいいのですが、保存を考えると色々と工夫する必要が出てきます。また、軸は残すのがセオリーですが、実は切り落としたほうが格段に長持ちします。土には細菌が多く棲んでいるため、ですね。 下記のような記事も載せたことがあります。 さて、今回の余談は写真の小松菜料理の試作に失敗した話です。この小松菜。アブラナ科の野菜ですから、辛味成分を持っ