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〈食と生活〉オレンジのクリームブリュレ

まずは余談から。

食べ物を扱うnoteで食中毒の話からはじめるのは気が引けるが、こうした事件が起きるとがっかりする。調理不足の熊肉は論外だが、別に牛肉や鶏肉、豚肉にだって(ジビエに比べれば遥かに少ないが)リスクはある。先日、雑誌を読んでいたらあるシェフが110度のコンビオーブンで子牛肉を芯温52℃まで加熱する料理を披露していた。

ウェルシュ菌は53℃までは増殖を続けるので、芯温52度で一瞬という調理はリスクが高い。個人的にはやはり54.4℃以下での加熱は避け、菌が適切な数まで滅菌されるまで加熱を続ける=パスチャライズするのが原則だと考えている。もっとも、食品安全の専門家に聞くと安全の基準は曖昧なパスチャライズではなく「75度で1分」と言うので、味と安全の兼ね合いは難しく、ここに料理する人の気持ちが揺れる余地がある。とはいえ、仔牛肉はもう少し加熱をしたほうがおいしいと思うのだけれど、どうだろうか。

ここ十年、料理雑誌やインターネットメディアでも肉の断面の写真が増えた。その多くが血が滴るような、と形容されるロゼ色だ。ある特殊な条件で調理された料理が、美味と喧伝され大衆化する。そこに落とし穴が待っている。これからanovaなどを使った調理器具が普及していくと、同様の事件が起きるかもしれない。

ノロウイルスなどの昔はわからなかった食中毒原因はこれからも発見されていく。知識は常に更新されるものだから、勉強を怠ってはいけないということだと思う。

『クレームブリュレ オランジュ』の作り方

恒温調理機はデザート作りにも力を発揮する。例えばプリンなどは85度で加熱すれば失敗することがない。

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