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柑橘類の薄皮を酵素で除去する

柑橘類の薄皮、いわゆる瓤嚢(じょうのう)を除去する際、工場では塩酸と水酸化ナトリウムを使いますが、モダニストキュイジーヌのテクニックではペクチナーゼを使います。

ペクチナーゼはペクチンを分解する酵素の総称。一般的には細菌から抽出するか、回収したものです。コスト的に考えると大規模での使用は難しいですが、キッチンで使う分には手軽です。写真のペクチナーゼはモダニストパントリーから購入したものですが、ペクチナーゼ自体は日本でも粉末状の製品が比較的、簡単に入手できます。

さっそく試してみましょう。

厚い皮を剥いて

小袋にわけます。

水を張って、ペクチナーゼをたらします。量を増やせば分解が早く進みますが、少量(3ml〜5ml)で充分。

こちらが常温で一時間置いた状態。まだじょうのう膜は溶けていませんが、触ってみるとぬめぬめとした感じ。ペクチンが溶けているのがわかります。

薄皮を剥いてみます。柔らかくなっているのがわかります。

こんな感じに外側の部分もべろりと剥けました。

一つ一つ、剥いていくのもそれなりに手間です。そこで冷蔵庫で一晩、置いておくことにします。ペクチナーゼは温度が高いほど反応が早く進みますが(50℃まで)、冷たい状態でも分解が進むそう。

じゃん、という具合に一晩経った状態がこちら。

この状態で水に晒します。じょうのう膜が溶けているので洗うだけで薄皮が除去できる、という仕組み。

完璧に剥けました。

一晩放置の洗浄という形だと、白い部分が多少残りますが、食感としては気になりません。

食品工業の世界ではペクチナーゼは果汁の濁りを除去したり、搾汁率の改善に用いられており、ワインの製造にも使われています。ジュースを透明にするテクニックには冷凍濾過法がありますが、ゼラチンを使うと風味成分が失われてしまうのが難点。その点、ペクチナーゼを使えば色と新鮮さを損なわずにペクチンを除去することが可能です。ジュースの透明化は別途ご紹介します。

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樋口直哉(TravelingFoodLab.)

樋口直哉 作家・料理家 主な著作として小説『スープの国のお姫様』(小学館)ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)など。新刊『新しい料理の教科書』が1/17日に発売されました!

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