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よく冷えた白ワインとの相性抜群の『ズッキーニのポワレ、ミント風味』

夏野菜のズッキーニのシーズンもそろそろ終わり。しかし、本当においしいのは名残の今の時期だと思います。

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このズッキーニ、成長が早いので収穫時期が難しい野菜ではありますが、あまり小さいものや味がのっていないのでトマトなどと組み合わせたりする必要があります。あまいにも大きいものはとろけるような食感になるので、長時間加熱すると性質が生きてきます。とはいえ、写真くらいの大きさがベスト。

まずはズッキーニをどう切るか、という部分で判断が問われます。

こちらの本の野菜の章で

茎や根を食べる野菜もあります。茎は主に栄養を伝達する役割を持ち、野菜の地上部を物理的に支えています。そのため、繊維質が強いものが多いので、アスパラガスは皮を剥いたり、セロリは筋をとったりします。
根を食べる野菜の代表としてはニンジンや大根、ビーツがあります。根は植物を土壌に固定し、水分と栄養分を吸い込むための器官で、栄養分を糖の形で貯蔵する働きもあります。野菜はそれぞれ水分や栄養分を吸い上げるための維束管と貯蔵組織の構成が異なり、例えばニンジンは中心部の維束管を貯蔵組織が取り囲む形になっているので、中心部は味がやや薄く、外側は甘いのです。ビーツは維束管と貯蔵組織が同心円状に層をなしているので、断面を観察すると縞模様になっています。
貯蔵組織に糖を蓄えている野菜は甘味があります。ちなみにカブは茎と根のあいだが膨らんだもの、ジャガイモは地下茎が発達したもので、少しだけ性質が異なり、デンプンを多く含むジャガイモはしっかりと加熱しないと食べられません。

と説明しましたが、ナスやズッキーニはここでは説明していない果実野菜(果菜と呼ばれています)です。果菜はそれぞれ性質が異なりますが、基本的には糖類を含み、消化にもいいものが多いです。

野菜は時期によって切り方を変えるのがコツです。ズッキーニは未熟な状態で収穫しますが、走りのズッキーニは繊維や種、皮もやわらかいので、縦に二つ、あるいは4つに切ってソテーしたほうがおいしく食べられます。しかし、今のような名残の時期になると繊維もしっかりしてくるので、輪切りにするのが正解。

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厚さもポイントです。こんなふうに1cmくらいの厚さについ切ってしまいがちですが、、、

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2cm厚〜2.5cm厚に切るのがベターです。その理由はこの後、わかります。

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枝付きの部分も食べられるので、切り落とさないように。やや硬めなので、半分に切っておきましょう。皮のすぐ内側にある維管束から水分が出てくるのがわかります。この水分には糖分が多く含まれているので、ちょっとベタベタしますね。

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ボウルに入れて、オリーブオイル大さじ1と重量の0.6%の塩で下味をつけます。

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フライパンにズッキーニを並べ、中火にかけます。

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2分程で焦げ目がつくと思うので、裏返して火を弱め、さらに3分間焼きます。

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ここからが最大のポイントです。さきほど切ったとき、ズッキーニの維管束から水分がじわっと出てきましたが、ズッキーニは皮と皮のすぐ下の部分に隠された味があります。そこでズッキーニの皮目をじっくりと転がしながらさらに5分ほどかけて焼いていきます。

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途中で油を除去します。

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皮にしっかりと焦げ目をつけます。仕上げにオリーブオイルを小さじ1加えて、器に盛り付けます。

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仕上げの味付けに少量の塩を振ります。さきほどのは下味の塩、これは味付けの塩です。二段階にわけて塩を振るのもポイント。

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フレーバーを加えるためにミントを刻みました。ミントとズッキーニは仲良しですが、バジルやローズマリーとの相性もいいのでこのあたりは手に入るハーブを使ってください。オススメはミントかタイムですが、大葉でもいいですよ。

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ミントをふりかけたら、、、

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隠し味のビネガーです。米酢でもかまいません。

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フォークの先から数滴落とします。わずかな酸味を加えることで味が複雑になります。

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でき上がり。よく冷やした白ワインとの相性が抜群の料理ですが、魚料理の付け合せにもなります。同じくシンプルに焼いたサーモンや鯛なんかとあわせる場合はレモンを添えるといいですね。

肉を焼くのとおなじくらい野菜に火を通すのは神経を使うのですが、なぜかおざなりに扱われがちなので、毎回は無理だとしても一年に3回くらい(走りと旬と名残)は気合を入れて、料理してみてください。毎回、水分量や味が異なり一筋縄ではいきませんが、できたてをつまみながらワインを飲むのが最高で、報われるおいしさです。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!