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ホワイトアスパラガスの塩昆布和えの作り方

スーパーに行くと輸入のホワイトアスパラガスが安価で売られているのを発見。さっそく買って帰りました。ペルー産のホワイトアスパラガスです。

ペルーは世界的なアスパラガスの産地。もともとは缶詰用のアスパラガスを生産していました。1990年代後半から生鮮用の輸出を拡大しました。日本でもホワイトアスパラガスは缶詰用で、消費されるのは主にグリーンアスパラガス。グリーンアスパラガスは食べるけれど、ホワイトアスパラガスの食べ方がわからないという方も多いのでは?

基本的にはホワイトアスパラガスもグリーンアスパラガスも食べ方は同じです。根本を折って、折れるところから上は食べられます。アスパラガスは鮮度が落ちるとこの下の部分からセルロースがリグナン(木質)に変化していくので、加熱時間を伸ばしても食べることはできません。野菜は煮れば食べられますが、木はいくら煮ても食べられないので。

グリーンアスパラガスと違うのは、ホワイトアスパラガスを食べるときはしっかりと皮を剥くのがポイントという点。皮むき器でしっかりと剥きましょう。皮が硬いんですよね。

家庭ではアスパラガスが入る鍋がないので、フライパンで茹でるのが手軽です。水にさきほどの根本、皮を入れて火にかけます。

ところでホワイトアスパラガスは「水から茹でる派」が多い印象です。どちらが正解か、というのはありませんが、個人的には「湯から茹でる」方式が合理的に思えます。

理由1 水から茹でると水量によって沸点まで到達する時間がブレる

水から茹でる場合は水量や火力によって、沸点まで到達する時間に違いが出て、結果として茹で上がりが安定しません。ゆで卵を茹でるときに沸点から茹でた方が仕上がりが安定するのと同じです。

理由2 湯から茹でることで皮や根本からエキス分を抽出したアスパラ出汁で茹でることができる

皮と根本を入れたのはよく言われる香りづけのためではなく、あらかじめ液体の濃度を高めておくことで、アスパラガスからの成分流出を抑えるのが目的。 以前、ブレゼという調理法を紹介したときにも同じ説明をしましたが、濃い調味液のなかで加熱をすることで浸透圧による成分の流出を抑えることができる、というわけです。

水から茹でると沸点まで到達するまでのあいだにもアスパラガス本体からエキス分が茹で湯に出てしまいます。まったくのナンセンスです。

茹でる湯の濃度を高めておき、エキス分の流出を抑えるために塩を多めに入れます。目安としてはパスタを茹でる時の塩分(重量比目安で1%〜1.5%くらい)です。よくアスパラガスの茹で汁は出汁としてリゾットなどに使えます、という文章を見かけますが、この方式だとかなり塩っぱくなるので出汁としての利用は無理です。しかし、パスタの茹で汁として転用できるのでそれほどもったいなくないか、と。

沸騰したら弱火に落として、ことこと5分煮て、エキス分を皮や根本から抽出します。

そこからはじめてアスパラガスを投入。茹で時間は8〜10分です。

茹で上がり。これくらいの太さは8分、もっと太い場合は10分という感じです。グリーンアスパラガスと比べてやや柔らかめに茹であげるのがおいしさのコツ。

これがアスパラガスの茹で上げです。好みでオリーブオイルを振って食べましょう。注意点は茹で湯につけたまま冷まさないこと。茹で湯につけたまま冷ますと味が抜け、缶詰のようななんとも痛ましい状態になります。なんらかの理由で茹でてから提供するまでに時間がかかる場合は、やむを得ず氷水にとり、水気を切って、濡らしたキッチンペーパーをかけた状態で保存します。提供する前にとっておいた茹で湯で温める、というわけです。

太めで味の強いアスパラガス(例えばボルドー産など)はエグミもやや強ので、こんな風に斜めに小さく切り

塩昆布とオリーブオイルで和えるにもオススメです。

塩昆布が入るとエグみが春らしいほろ苦さに感じられます。ホワイトアスパラガスをスーパーで見かけたら恐れずに買って茹でてみてください。普段食べている缶詰とは違うので、ホワイトアスパラガスの味を見直すはずです。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!