ノンアルコールペアリング研究その3〈紅茶のタンニンとバルサミコを組み合わせた軽い赤ワイン風〉
ノンアルコールペアリング研究の〈その3〉です。
その1はこちら。
その2はこちらです。
ノンアルコールペアリングを分析すると、今の所二つの手口があるようです。一つは飲み物を『濃度の薄いソース』と考える方法です。サラダに柑橘を使ったドリンクを添えるのはこの考え方。こちらは飲み物単体でもおいしいクオリティに仕立てることが重要。しかし、料理の味に勝たないようにする必要があります。
2つ目は『ワインをノンアルコールに置きかえる方法』。先にワインを念頭に置いて、そこから味や要素を抽出し(ややデフォルメして)落とし込んでいく形です。今回の肉料理にあわせるべく、紅茶のタンニンとバルサミコを組み合わせた赤ワイン風のドリンクをつくりますが、この飲み物は味としては甘味+酸味+タンニン(タンニンの渋み=収斂味は味覚ではなく触覚に近いのですが)でバランスをとり、ブルーベリーのかすかな果実感とアールグレーのベルガモットの香りを加えています。
冷凍ブルーベリー 90g
グラニュー糖 10g
バルサミコ酢 大さじ1
水 500cc
紅茶(アールグレー)4g
紅茶以外の材料をすべて鍋に入れて、沸かします。弱火に落として3分間。
バルサミコ酢を加えることでブルーベリーの色がきれいに出ます。
必ず火を止めてから、紅茶を投入します。使用する紅茶の質によって苦味の出方が変わってくるので、紅茶の量だけは調整する必要がある、かもしれません。苦味が強いな、と思ったら温度をもうすこしさげて抽出する手もあります。
ラップをかけて3分間。
リードキッチンペーパーで濾します。
香り成分が揮発するとよくないので、氷水で温度を下げます。
出来上がり。かなりワインのような色合いですが、ノンアルコールです。単体で飲むと「すばらしくおいしい!」という飲み物ではありませんが、料理と組み合わせることではじめて力を発揮します。ステーキ系の肉料理なんかにあわせるのがおすすめです。
このあたり厳密に考えるとノンアルコールかどうか微妙なラインになるのですが、最後に煮詰めたカシスのリキュールを加えるともう少し味にボリュームが出ます。これ、難しいのはノンアルコールなのか、ローアルコールなのかという定義の問題になってくるからです。『加熱調理による酒類のアルコール含量の変化』という論文によると10分の加熱でアルコール分を1%以下にできるので、ローアルコールという定義であればOKかもしれません。ローアルコールを含めるとペアリングがすごく楽になるので、今後、こちらの飲み物についても研究を進めます。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!