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生クリーム入り日本風カルボナーラの作り方

カルボナーラは人気のパスタ料理。「本場では生クリームは入れない!」「パンチェッタではなくグアンチャーレじゃないと」「パルメジャーノじゃなくて本場ではペコリーノロマーノ」となぜか議論の対象になることが多い料理ではあります。

たしかにイタリアでは普通、カルボナーラに生クリームはあまり使わないそう。本場では・・・・・・という意見は正しいようです。しかし、本場イタリアにも生クリーム入りのリチェッタ(レシピのこと)はあるようです。
(参考dissapore.com『Panna nella Carbonara: riusciranno 4 venerabili maestri a fugare i noti dubbi degli italiani?』(カルボナーラに生クリームを入れるか?))

もちろん、日本やアメリカのレストランでも生クリームを入れているお店はあります。本場や正統という宗教論争をする前に考える必要があるのは生クリームを入れることにはどのようなメリット、デメリットがあるのか、ということ。

今日は生クリームを入れた究極カルボナーラをつくります。生クリームを入れると味が重くなるという人がいますが、入れるのはほんの少量なのでくどくはなりません。むしろ、ほんの少しだけ入れることで劇的においしくなるのです!

カルボナーラ(生クリームありバージョン)
パスタ(今回はパスタドンナリサ製スパゲットーニ 2.15mmを使用) 80g
パンチェッタ 40g
卵黄 一個
パルメザンチーズ 7.5g
ペコリーノロマーノ 7.5g
生クリーム(45%) 大さじ1
(オイル 少々)
黒胡椒 適量

まずはパスタの選び方からです。カルボナーラには元々はマッケローニでつくられて いたという説もあるほどなので、太いパスタのほうが向いています。またパスタは成形する金型がブロンズダイスかテフロンダイスかでメーカーによって表面の食感が異なります。ブロンズダイスはざらざらしているのでソースのノリが良く、テフロンダイスはつるつるなので食感が滑らか。好みで選びましょう。今回使ったドンナリサはブロンズダイス製です。

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他にマルテッリ、ディチェコ、メヌーチなどがブロンズダイス製です。もっともナポリに行くとパスタにはペンネを使うのが一般的のようです。

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チーズは2種類使います。本来、カルボナーラはローマ生まれなので、 ペコリーノロマーノというチーズだけを使うのが正しいという意見がありますが、 複数の種類を混ぜると複雑味が出ます。もちろん、どちらか一方だけでもOK。またチーズは専門店で購入しましょう。

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さて、ソースを混ぜ合わせます。生クリームを少し入れた理由は「滑らかさを長持ちさせるため」と「提供温度を上げるため」です。生クリームを混ぜることで卵黄の凝固温度が下がり、卵黄が固まるのを防げます。 また、滑らかさを長く保つことができるので、キッチンと客席の距離がある場合には生クリームを少し入れるとよいでしょう。
最大のメリットは提供温度が上がることです。イタリア人は少し冷めたパスタを好みますが、日本人にはやっぱり熱々のほうがおいしいはず。量に気をつければくどくはなりません。

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ソースは混ぜ合わせるます。あっさりさせたければ全卵を使いますが、卵黄だけのほうが舌触りがいいか、と思います。

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1%の塩水でパスタを茹でます。太い麺の場合、袋の表示時間を信用せず、予備実験をしてベストな茹で時間を検討しましょう。今回は十五分茹でです。

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パンチェッタを少々の油で炒めて、軽いきつね色になったら余分な油を拭き取り ます。これがくどくならないコツ。また、パンチェッタではなくグアンチャーレ(豚の頬肉の塩漬け)を使うのが本場流です。なかなか手に入らないのでパンチェッタを使っています。他の代用品としてベーコンを使う場合は、さっと茹でて燻製香を抜いてから炒めます。ベーコンを使うなら棒状に切った豚の三枚肉に塩を振って一晩置いたものを使った方が美味しくできるか、と思います。

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パスタのゆで汁50ccを加えて沸かします。(あっさりさせたければここで加える液体を白ワインに変えます)

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またカルボナーラは冷めるとソースの粘度が増し、重たい食味になってしまいます。温かいパスタを提供する場合、お皿をきちんと温めておくことも大事です。お湯を張って温めておきます。盛り付ける前に湯を捨てて、軽く拭けばOK。

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さて、茹で上がったパスタを和えます。表面に卵黄のソースをまぶす前にパスタ自体 に旨味を含ませておきたいので、原則である〈熱いパスタに熱いソース〉を守りましょう。またこの時、鍋底に多少の水分が残っていることを確認しましょう。足りなければゆで汁を足して調整します。

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火を止めて、ソースを投入します。ここからは予熱を使い、手早く和えていきます。鍋のふちや底 をこそぐための耐熱ゴムべらが必須です。

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ソースの温度を計ってみると68度。これが目安です。卵黄は64度くらいから 粘度が上がりはじめ、70度で完全に凝固しますので、それを超えないようにします。(もしも、ソースに生クリームを入れないのならフライパンではなくボウルの方にパスタを移し、予熱で和えます)

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皿に盛りつけて、黒胡椒を振ればカルボナーラの完成です。しっとりとしてコクのあ る仕上がりですが、重たく感じられないのは、油をきちんと拭き取っているから。カルボナーラはいわばイタリア版卵かけご飯(といってもアメリカ人の要望でつくっ たという説がありますが)材料が少なく手早くできる便利な料理です。

また、パスタをおいしくつくるにはできれば一人前ずつ、一度に作れるのはおいしくつくれるのは二人前くらいまでです。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!