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ノンアルコールペアリング研究その4〈りんご水を使った白ワイン風〉

前回は『ワインをノンアルコールに置きかえる方法』を採用し、赤ワイン風のドリンクをつくりましたが、今回は白ワインです。

白ワインの酸味は酒石酸 、リンゴ酸 、乳酸などに由来し、その香りは柑橘系のフルーツ、例えばレモン、ライム、グレープフルーツ、オレンジや桃、あんず、りんご、梨などの香りを持つもの。他にトロピカルフルーツ(パイナップル、マンゴー、キウイ、ライチ、パッションフルーツ)、蜂蜜やハーブなどの草の香り(寒い地域のソーヴィニヨン・ブランを飲むと感じるあれですね)白い花のような香りが含まれているものもあります。

今回はリンゴをベースに、ドライマンゴーでマンゴーのフレーバーを足し、カモミールで白い花の香りを加えました。

りんご水を使った白ワイン風
リンゴ 1個
水   500cc
ドライマンゴー 20g〜25g
アーモンドスライス 10g(Opition)
カモミール  3g
アスコルビン酸(ビタミンC) 1g またはレモン汁少々

アスコルビン酸は見慣れない添加物かと思いますが、要するにビタミンCです。ビタミンCにはクエン酸が含まれているので、酸味を加えられますし、もう一つは還元剤として作用し、色が悪くなったりするのを防いでくれます。なければもちろんレモン汁でも大丈夫ですが、今回のレシピではレモンの香りは入らないので、入れるのであれば控えめに。

本当はリンゴ酸も加えたいところなのですが、入手しやすいさを考慮してアスコルビン酸オンリーにしています。リンゴ酸を使ったレシピも今後、紹介するつもりです。ジャムとかにはリンゴ酸を使うと、クエン酸よりもずっとおいしくできます。

さて、リンゴをベースにしましたが、そのジュースをベースにすると〈りんごの香り〉になってしまい、甘味が出てしまいます。りんごの香りが強いと脳が「りんごの香りがするんだからきっと甘いんだろう」と認識して、糖分以上に甘味を感じてしまうからですね。解決策としてはリンゴを煎じる方法をとります。

リンゴは皮を剥き、チーズおろし器で粗くおろします。鬼おろしなどでも大丈夫だと思います。

分量の水、ドライマンゴーを加え、火にかけます。沸いたら弱火に落とし1分間加熱します。イメージとしてはコンソメを煮出す要領です。

これはオプションですが、アーモンドスライスを中火にかけたフライパンで乾煎りします。お菓子作りでは使えないくらいちょっと焦がすのがポイント。ナッツの香りを加えることでヴァン・ジョーヌのようなナッティーなニュアンスを加えて、複雑味を足しました。

火を止めて、カモミールとアーモンドスライスを投入。火を止めて30分以上、煎じます。カモミールにはリンゴや蜂蜜のような香りがあるので、全体を穏やかにまとめてくれます。

おっと、アスコルビン酸を加えるのを忘れてないように。蓋をして放置しておけばOKです。

風味が出たら、キッチンペーパーや晒などで濾します。この漉すというのはペアリング用ドリンクの基本です。前回「濃度のある液体はソース」で「濃度のない液体はドリンク」という話をしましたが、ワインでもビールでも固体から液体を抽出し、漉すことで飲み物になるんですね。

このリンゴの出し殻は残念ながらおいしくないので捨てるしかありません。ただ、このドライマンゴーはすごくおいしいのでぜひ、つまみ食いしてください。

ドライマンゴーを入れているので色がすごくきれいに出ますね。さっぱりとした酸味とカモミールの香り、かすかにナッティーなニュアンスを感じます。加熱した魚介類や甲殻類を使った料理などと高相性です。今回、使ったりんご水のテクニックを憶えておくとフレーバーを変えるだけで他にも展開できます。

ノンアルコールペアリング研究シリーズ、だんだん使う材料が増えてきて、錬金術みたいになってきましたが(笑)ぼちぼち続けていきます。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!