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サツマイモを焼く基本

秋においしいサツマイモ。収穫してから保存するとデンプンが糖に変わるため、糖度が増し、より一層おいしくなります。

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これは紅あずまですね。最近、出回るようになったシルクスイートを使うとねっとりした仕上がりになります。個人的には紅あずまもさっぱりしておいしいと思いますが、女性受けするのはシルクスイートという感じでしょうか。

保存温度は12度前後。新聞紙に包んで野菜室の下の方に置いておくと長持ちします。

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アルミホイルに包みます。

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150度のオーブンに入れて90分間焼きます。電子レンジでチン、でもいいような気がしますが、それだと甘みが出ません。鍵を握るのはβ-アミラーゼという酵素。この酵素が働くことでデンプンが麦芽糖に分解され、独特の甘みが出ます。この温度は品種によって変わりますが、一般に70度前後。つまり、この温度帯をなるべく長く通過させることが甘みを引き出すための必須工程ということになります。

だったら70度で低温調理すれば甘くなるんじゃね? と考えるのは早計です。デンプンが分解されて糖になるわけですから、もちろん限界があります。また、ペクチンが硬化してしまう温度(参考『カブのソテーをジューシーにする下処理』)なのも問題です。サツマイモをやわらかくするためにはある程度の温度が必要なのです。180度の加熱だと糖がカラメル化してしまうので焦げてしまいます。かといって125度以下の加熱だと気化熱によってサツマイモが冷やされ、低温で加熱することになってしまうので仕上がりが硬くなってしまいます。

以上の考察からベターな温度帯は140度〜160度あたり。品種や目的の仕上がりに応じて後は微調整するというのがいいでしょう。

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90分経った状態がこちら。

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甘く焼き上がっています。ほくほくとした仕上がりが好みならこのくらいがおいしいでしょう。加熱を長時間するとほくほくからねっとりした食感に変わっていきます。

もっと甘くしたいという場合は今度はアルミホイルを外して、さらに150度のオーブンに30分間入れます。

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単純に水分が飛んで、糖が濃縮されるはずです。

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皮と身のあいだに隙間ができて皮が剥きやすくなるのもメリット。ただ焼くだけですがいいおやつですね。一緒に出す飲み物は熱いほうじ茶があいます。ちなみにサツマイモのポタージュやスイートポテトをつくる場合はデンプンが粘つく原因になります。しかし、焼き芋にしてからであればデンプンの量が減っているのでミキサーなどを使ってもまったく問題ありません。この焼く下処理はサツマイモ調理の基本になるので、頭の片隅に入れておきます。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!