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最新調理テクニック紹介『黒ニンニクのキャラメル』

最新調理テクニック紹介。今日はオブラート+新素材系のレシピ。はじめに書いておきますが「すごく美味しい」というレシピではないです。

新素材の黒ニンニク。黒ニンニクはニンニクを長時間加熱することで真っ黒くしたものです。時々『発酵させている』と書いてあるホームページがありますが、菌(微生物)が介在している反応ではない(どちらかというと酵素は関係あり)ので、それは誤りでしょう。

実はニンニクは野菜類のなかでも突出して糖度の高い野菜。例えばトマトが6度、たまねぎが8度〜10度(生の例です)とするとニンニクは30度、高品質のものなら40度を越えるものもあります。甘くないのは含まれているのが多糖類だからですね。黒ニンニクの黒さはチョコレートなどと同じ、メイラード反応の結果です。熟成して黒くなったにんにくはまるでドライフルーツのような食感になり、甘酸っぱい味に変わります。

ここ数年、黒ニンニクは世界のガストロノミー系のレストランで流行しています。使われ方としてはソースが最も多いようです。例えば煮詰めたバルサミコ酢と黒ニンニクをミキサーにかけてソースにしたり、とか。刻んで焼いた子羊や牛肉、豚肉の上に載せるという使い方もあります。

黒ニンニクのキャラメル
 黒ニンニク 70g
 オブラート

今日はスペインで考案された黒ニンニクのキャラメルを作ります。黒ニンニクは皮を剥き、ゴムべらで潰します。

オーブンペーパーに広げます。

四角なるように成形してください。110度〜120度のオーブンで2時間程度乾燥させるか、ディハイドレーター(低温乾燥機)に一晩かけます。

乾燥した状態がこちら。手で触ってくっつかなくなればOK。あとは包丁で四角くカットします。

そのままだと指にくっつくのでオブラートで包みます。

キャンディ風のラッピング。オブラートなので包装紙も食べられるというジョークです。

色はキャラメルなのに味はニンニク系というギャップが驚きを与えます。白味噌をベースにしたソースをディップして食べてもらうパターンもあります。キャラメルという文脈なのに甘くないというギャップが驚きを誘います。

はじめにも述べましたたいして美味しいわけではないのですが(ただ、黒ニンニク、そのものの味ですから、まずくはありません)驚き系のスナックなので、あくまで一口だけ食べてもらうという感じ。ガストロノミー系のレストランはすでにおいしさを求める場所ではなくなっているので、それはかまわないと思いますが、むしろ考えるべきは黒ニンニクを使うことの是非です。

昨年、ある講習会でミシェル・ブラス・トーヤ・ジャポンのシェフを務めるシモーネ・カンタフィオの話を聞いてきたのですが、彼は「自分が料理をする際に気をつけているのは流行っている食材に手を出さないこと。みんなが黒ニンニクを使っているからといって、黒ニンニクを使うようなことはしない」と語っていました。なるほど、という意見です。目新しい食材は慎重に料理に取り入れたいもの。ま、このテクニック。アプリコットなどのドライフルーツでも同じようにキャンディにできるので、その方向性で使うなら問題ないかもしれません。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!