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三つ星級の卵料理『アルページュ・エッグ』

卵料理には様々な加熱方法がありますが、今日は個人的に気に入っている三ツ星レストラン「アルページュ」のシェフ、アラン・パッサールさんの卵料理をご紹介します。「卵のショーフロワ キャトルエピスとメープルシロップ風味」という料理です。冷たいクリームと温かい卵黄という組み合わせの料理です。

この料理、現在は『アルページュ・エッグ』という名前で世界中のレストランでオマージュされています。例えば同じ三ツ星レストラン「Manresa」のシェフ、デヴィッド・キンチさんはカルフォルニアのレモンのピュレとコリアンダーのはちみつで風味をつけた料理を開発しています。構成要素さえ理解すればアレンジは自在です。

卵のショーフロア(original by alain passard From Arpege)
卵 4個
生クリーム 100cc
シェリービネガー 小さじ1
キャトル・エピス 少々(またはカレー粉少々)
塩(フルール・ド・セル) 少々
シブレットのみじん切り 適宜
メープルシロップ 少々

今日用意したのは米粉と緑の野菜を食べて育った健康な卵。あっさりとした日本的な味わいが特徴です。

この料理、卵の殻ごと調理するため、ちょっと特殊な道具が必要です。この道具はエッグカッターと言います。

フランス語でトック・ウフと言いますが、卵の上部をキレイに切るための道具です。

この道具で卵に衝撃を与えると切れ目がはいるので、それを手がかりにして、ペティナイフの先やカミソリなどで殻の上部を切ればOK。

ちょっと失敗してガタガタになってしまいましたが、大丈夫でしょう。卵白は出して、卵黄だけにしますが、卵白を少し残すようにします。卵白は他の料理やお菓子に使いましょう。

65度から70度の湯で5分間温めます。鍋の底から泡が立っているくらいの温度で す。卵をとりだして手の甲に当てて熱く感じらればOK。卵黄は半熟に火が入り、白身は固まっているはずです。さきほど白身をすこし残してください、と書いたのは中身の重みで殻の船が安定するから。

そのあいだにクリームをつくります。生クリーム、シェリービネガー、キャトルエピスをボウルにあわせて泡だて器でゆるめに泡立てます。お酢が入っているので意外と早く硬くなるので、あまり泡立て過ぎないように注意。ここにマスタードを少量入れても味が引き締まっておいしいです。

キャトルエピスは香辛料 ミックスでジンジャー、クローブ、ナツメグ、ペッパーを混ぜあわせたもの。なかに はシナモンをいれる人もいますが、メーカーによって配合が異なるので好みのものを 選んでください。もちろん自家製もできます。分量は2つまみぐらいにしました。味付けのために塩も1つまみほど入れて、味見をします。すこし酸味を感じるくらいでOKです。


縁の白身は固まっていますが、卵黄はとろとろの状態。フルール・ド・セルとシブレット(シブレットは自分で育てていないと入手が難しいので、セルフィーユのみじん切りでも可)を振ります。

さきほど作ったクリームを絞り入れます。

最後にメープルシロップを数滴。この甘味の使い方がパッサールさんの料理の特徴ですね。ちなみにこの応用で塩を胡椒を多めに振った目玉焼きにメープルシロップをかけてもおいしいです。温かいうちに急いでサーブします。

かき混ぜながら召し上がっていただきます。とろとろの卵黄とクリームの酸味、そこにかすかに香るキャトルエピスが印象を強めます。非常に単純な料理ですが、組み合わせは絶妙。この料理のポイントは卵の火入れです。加熱方法を見直すことで単純なコック・ムイエ(半熟卵)が見違えるほど美味しく仕上がる、というわけ。古くからある料理を見直すことで、新しい味覚を創造した好例だと思います。

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樋口直哉(TravelingFoodLab.)

樋口直哉 作家・料理家 主な著作として小説『スープの国のお姫様』(小学館)ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)など。新刊『新しい料理の教科書』が1/17日に発売されました!

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